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音楽が鳴り続ける夜のために

コロナウイルス感染拡大は想像以上にすさまじい影響を世の中に与え続けている。

政府による自粛要請により人が集まると認められるイベントは大小関わらずそのほとんどが中止(もしくは延期)するに至った。あくまでも自粛要請ではあるものの実際にイベントを開催しようとすれば”不謹慎””危険”という名のもとに糾弾されるため、事実上は自粛でなく中止をしなければならない状況だ。

もちろん感染拡大を防ぎ命を守ることは何にも代えがたい最重要事項なので、そのためにある程度強引な手法をとらなければならない状況になってきていることは理解している。

一方で、それによって生活が奪われる人たちはどうすればいいのか。できる限りの配慮(表現が違うかもしれないけれど)をしたうえで取るべき手段を、ここ数年間したり顔して多くの人々を踏みつぶし続けている過度な自己責任論に任せて気が付かないふりをしたまま実行していないだろうか。考え続ければ続けるほど暗い気持ちが襲ってくる。

世の中も暗くなっている。ちょっと買い物に街に出ても人はあまり見かけない。学校が休校になり仕事との兼ね合いに悩む親御さんたちの顔からは疲れと不安が読み取れ、仕事に向かう満員電車に揺られる人たちの不安といら立ちもひしひし感じる。花粉症の薬がほしくてドラッグストアに入って店員さんに声をかければビクッとされるし、バスの中でくしゃみをしたらいぶかしげな顔を向けられて距離を取られる。SNSは暗い言葉や怒りの言葉が飛び交い、振り返ってみれば最近の自分のツイートも後ろ向きなものばかりだ。

こういう時にいつも助けてくれるのはエンターテイメントなはずだった。誰かにとっては漫画、映画、ドラマ、テレビ・・・僕にとっての音楽だ。

でも今、音楽は世の中の敵にされようとしている。ライブハウスでコロナウイルスの感染者が出た。たまたま場所がライブハウスであっただけなのに、今やライブハウス(とそこに集う若者たち)が感染拡大の温床のような報道がなされて敵視されている。正直、思うところは山ほどある。冷静に受け止めて『何熱くなっちゃってんの?』的な視線を向ける人たちに抗いたい気持ちも強くある。

ただ、今抗っても傷口を広げるだけなのだ。それよりも大事なことはこの状況が落ち着いたときに音楽が再び多くの人にとっての生きる糧になるよう、音楽産業の今を支えることなのだということに今更ながらに気が付いた。

音楽産業は傷つきながらなお、今でも多くの音楽を愛する人たちに勇気を与えてくれている。自分たちの様々な事情を飲み込んで泣く泣く公演中止を決定したアーティスト含む関係者全員に対してはファンのことを考えてくれた愛を感じるし、手探りながらも実施された無料配信ライブの数々には勇気と笑顔をもらえた(BAD HOPとNUMBERGIRLが同時進行的に裏同士で見れる日が来るなんて思わなかった)。

これまで(そしてこれからも)自分を支えてきてくれた音楽に対してできる限りの恩返しをしたいと常々思ってきたけれど、間違いなく今がそのタイミングなんだ。熱いこと言っちゃうけど『国が音楽を助けてくれないなら我々ファンが助けてやるさ』という気持ちに他ならない。

僕自身、今週頭から(暫定的に来週末まで)在宅勤務になっているので食事は自宅だし飲みに行くこともなく支出が少なくなっていることも相まって、今週は自分でもびっくりするくらい音楽に対してお金を使っている。

これを機にストリーミングサービスで気になっていた作品たちのアナログ盤を個人レコード店の通販で買い、春から着れるようなアーティストグッズを買ったり、仕事をしながらストリーミングサービスで音楽を聞き続ける。気になった音楽関係のクラウドファンディングに投資し、初めて投げ銭ライブも経験してみたという具合だ。

それぞれは大した金額ではないかもしれないけど、この苦しい状況を乗り切り世の中が落ち着きを取り戻した後に、再び当たり前に音楽が鳴る日々を迎えるために少しでも助けになれればという思いを形にして表明したつもり。

そういえばライブハウスへの支援関連をあまり見かけないのだけど、もしあるならばできる限りの支援をしていきたいと思っている。それこそドリンク引換券〇枚セットとかバーカウンターにボトルキープ可能みたいな形でお金を払う支援などライブハウスが大好きでこの状況を少しでも支援したいと思っているお酒好きな大人に好評なはず。ライブハウスの関係者の皆様どうですかね??

ちなみにお金を使うことだけが全てとは思ってないです、念のため。それぞれがそれぞれの立場で支援したい気持ちを形にすることが大事。自由に使えるお金が少ないというなら公式のストリーミングサービスで好きな音楽聞きまくればいいし(違法アプリは支援が形にならないので駄目ですよ)、youtubeでオフィシャル動画を見るのも良い。ただ今の僕はそれなりにいい歳の大人で、音楽にずっと魅せられ続けているから出せるお金を出しているだけという感覚なのです。

あと、少し驕りになるかもしれないけど今音楽にお金を使うことは若い人たちのためにって気持ちも強い。これまでの人生を曲がりなりにも楽しく生きてこれたのは間違いなく音楽のおかげっていう自負があるし、きっとこれから同じような思いを持つことになる若い人たちも沢山いるはず。だからこそ、今このタイミングで音楽の歩みを止めさせないためのアクションが大事なんだ。

来月4月11日、偶然にも僕の36回目の誕生日に初めての子供が生まれる予定。多分その子も将来音楽を好きになったり、救ってくれる音楽で会う瞬間がきっと来るはず。そういう時のために今やれることをやってみよう。

元来、あんまりスピリチュアルなものを信じたりはしないほうなのだけれどこういう時だからこそポジティブで愛あるサイクルを回していきたい。

もしこれを読んで少しでも何か感じてもらえる人がいたら一緒に今だからこそ、今しかできないポジティブな何かをしましょう。

基本的に全文無料で公開していますが面白かったと思って頂きましたらお願いします。書籍や音源購入、子供や猫たちのグッズ購入に使用させて頂きます。