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#113 関数 と 函数

 カンカン・ガクガクな論争が、「関数」と「函数」のどちらを使うかで、巷(チマタ)で起きる事があるようです。(私は、どちらもイイ派です。)

 元々は、箱を表す”函”という字が用いられていたようですが、明治以降に常用漢字を設ける時に”函”が外れ、「関数」が一般的に用いられるようになったようです。いくら「函」の文字が”常用外”と言われても、例えば地名の「函館」は”箱館”とは一般には今は書きません。その土地の愛着が、”常用外”漢字でも”常用”されています。

 しかし、数学の分野では今でも「函数」の表記が用いられる事があります。ある暗箱(函)"Black Box"に入れると、そこから”ある規則”に基づいて出てくることを、数学で「函数」と言います。英語では、function(機能)と下記、例えば温度が変化すると値が変化する時には、"as a function of temperature"と書きます。 入力が、ある規則(機能)によって出力されるのを”カンスウ”と呼ぶのであれば、セキ”関”(gate)よりもハコ”箱”(box)の方が、感覚的にしっくりする気がします。(”関”の方がシックリくる人もいると思います。このあたりが、カンカン・ガクガクとなる所以(ユエン)だと思います。)

 自分の研究室の本棚を見ると「函数」が書かれてあるのは、岩波の『数学公式(1、2、3)』と、高木貞治先生の『解析概論』の4冊があります。前者は大学入学時に生協のオススメで購入したのですが、大学3年生までは一度も開ける事が無く(笑)、研究を初めて”特殊函数”など”普通に解けない”時に、年に数回お世話になるという程度でした。高木先生のご本は、退官された前任の先生から引き継いだ「数学の名著」で、今までに一度だけお世話になりました。最近は、どちらもめっきり開かなく(使える公式・例題を探さなく)なったのは、インターネット上で検索して”ほぼ”同様な内容を、英語・日本語で早く・簡単(?)に探せるようになったからです。厳密解(解析解)で無くても良い時には、フリーの数値計算ソフトで簡単に値が求まる事が意外と多く,時々必要があればプログラムを組み自分でも求めます。(求められない場合には、条件を変えたりして問題を解ける形にして、解を予想して研究を進めたりしています。)そんな今でも、ウェブで全てが解決できるわけではないので、数年(?)に一度のページをめくる日に備えて、今でも本棚に「函数」が載っている本は”待機”しています。

 前回note記事は地名から消えていく”あざ”(字)について、前々回note記事は”内臓”の部首”ニクヅキ”について書きました。今回note記事は、”函数”が”関数”に変わっていった話でした。最近、消えていく話が多いですネ。さて、次の話では、消えていった何の話でしょうか? 、、、、 お後がよろしいようで。