POG2022の振り返りと、2023に向けて
はじめに
ダービーが終わり、競馬的な1年のサイクルが終わった。この週末からは、また新たに2歳馬がデビューし、来年の大舞台に向けての戦いが始まる。まだ消化しきれない部分も多くあるが、これからはじまるドラマに期待したい。
POG2022-2023の振り返り
桜花賞前にも中間報告的なものを書いたが、改めて。
1位:ノッキングポイント
父モーリス 母チェッキーノ 母の父キングカメハメハ
6戦2勝(2-1-0-3) 収得賞金1,700万円 本賞金6,580万円
東の新馬戦1番乗りで、クラシックに向けて楽しみな発進だったのだが、そこからなかなか嚙み合わないことも多い中、毎日杯2着で17番目で出走にこぎつけた。本番も枠順発表までnetkeibaなどの想定騎手が〇〇の状態(内々には追い切りにのっていた北村宏司騎手で話はついていて、その上での事情だとは考えるが)、外枠からの競馬であったが、直線までワクワクさせてくれた。まだ成長余地もありそうだし、将来的にはマイルにいくのか、中距離に行くのかは分からないが、個人的には是非来年の大阪杯で見てみたいなと思う。
2位:ディンディンドン
父ドゥラメンテ 母ベルアリュールⅡ 母の父Numerous
1戦0勝(0-0-1-0)収得賞金0万円 本賞金180万円
アドマイヤリードの半弟。ベルクレスタの全弟。ダートで下して3着…ののち春に登録を抹消。一応乗馬になるとのことだったので、どうか幸せな第二の馬生を。
3位:ウンブライル
父ロードカナロア 母ラルケット 母の父ファルブラヴ
6戦2勝(2-2-0-2) 収得賞金4,700万円 本賞金9,700万円
ステルヴィオ=ステルナティーアの全妹。2戦2勝でもみじSを制したパフォーマンスはかなり高いものだった。そこからは状態面や精神面の課題もあってパフォーマンスを発揮しきれないレースが続いたが、NZT2着→NHKマイル2着と巻き返してきた。特にNHKマイルは1頭抜けた伸び足も惜しくも届かず…という競馬だった。もともと不安があった右前脚のオステオコンドローマ(骨軟骨腫)の除去手術を実施。ゆっくり休んで秋以降、兄を超えるようなパフォーマンスを見せてほしい。
4位:リバティアイランド
父ドゥラメンテ 母ヤンキーローズ 母の父All American
5戦4勝(2-1-0-0) 収得賞金1億8,750万円 本賞金3億7,400万円
阪神JF、桜花賞、オークスとG1を3連勝。どうも「POG期間でこれまでで1番稼いだ牝馬」になるらしい。桜花賞でぶち抜いた姿にも、オークスでグレード制導入後最大着差で突き抜けた姿にも、ひたすら衝撃を受けた。牝馬3冠やその後の古馬との戦いに向けて、無事に夏を過ごしてほしい。将来的にはマイル~2000前後がベターな気がする。もちろん力が抜けていたが、それに加えて完成度というアドバンテージも高かった。これからの戦いでどうなるか、注目。
5位:ディオファントス
父モーリス 母ディオジェーヌ 母の父ディープインパクト
6戦0勝(0-1-1-4) 収得賞金0万円 本賞金513万円
2戦2勝のリブーストの半弟。2着、3着はあったもののもう一つ勝ちきれず、今は放牧に出ているが、もう一押しのところまでは来ているように思う。形としては機動力っぽいモーリスで、成長力がかなりありそうな血統馬。この休みをうまく生かしてほしい。阪神内2000や小倉の中距離戦がベターだとは思う。
6位:ジュエルアズギフト
父サトノダイヤモンド 母ラヴアズギフト 母の父Tiznow
1戦0勝(0-0-0-1) 収得賞金0万円 本賞金0万円
年明けデビューの予定もフレグモーネで回避、新潟千直の未勝利でデビューも10着。体力的なものかノド的なものかは分からないが、どうも距離が持たなそう?なのか、本質的には長いほうが良さそうだとは思うが…。とはいえ上がり3Fだけで見ればメンバー内3位の脚自体は使っていた。使ってもらえるかは分からないが何とか…。
7位:ノイアーターク
父ロードカナロア 母クールドボーテ 母の父Dabirsim
8戦0勝(0-0-0-8)収得賞金0万円 本賞金218万円
宝塚記念デーの新馬戦、現地で見ていたのだが、パドックから馬っ気前回、レースでもそのままで回っていただけ、即去勢。ダート1200mを使っている近走は4着→4着と一定の前進を見せており、展開一つ向けば一発も。帰厩しておりそろそろ復帰戦もありそうで。
8位:ガルヴァナイス
父リアルスティール 母カヴェルナ 母の父キングカメハメハ
8戦0勝(0-1-2-5) 収得賞金0万円 本賞金814万円
エアグルーヴの牝系で、4戦目はのちの京成杯2着馬オメガリッチマンとタイム差なしの2着にきているように、力自体はあると思うのだが…。5月に帰厩していたものの、現在再度不在厩になっており….。
9位:エナジーチャイム
父エピファネイア 母カリンバ 母の父ルーラーシップ
4戦1勝(1-0-0-3) 収得賞金400万円 本賞金700万円
母母がワールドエース=ワールドプレミアの全きょうだい。新馬戦を勝ちあがったものの、気性面もあって短めの距離を使っていく中で結果が出ず、距離を伸ばした1800mの1勝クラスは逃げるもあっさりだった。成長曲線的には遅めだし気性面さえクリアできれば距離を伸ばして良いと思うので、今後に期待。
10位:ビヨンドザヴァレー
父イスラボニータ 母リリーオブザヴァレー 母の父Galileo
2戦1勝(1-1-0-0) 収得賞金400万円 本賞金1,110万円
母が仏G1勝ち馬、青葉賞を勝ったヴァンキッシュランなどの半妹。新馬戦を良い勝ち方をしたが、赤松賞ではドスロー逃げでキレ負け、この後故障もあって長い休養に入っていた。POG期間終了後にはなるが、この週末の阪神1勝クラスで復帰。おかえりなさい。重賞も狙える馬だと思う。まずは無事に。大箱の1800mくらいが合う。
POG2023-2024の指名馬
1位:ラケダイモーン
父レイデオロ 母ラルケット 母の父ファルブラヴ
馬主:金子真人ホールディングス
生産:ノーザンファーム
厩舎:栗東・須貝尚介
昨年度も指名したウンブライルの半弟。新種牡馬レイデオロの初年度産駒。
この母はキンカメ系種牡馬との相性が良くアベレージも◎。ロードカナロア→レイデオロにかわったことで中距離にも対応できるはず。クラシック本線を見据えて。
2位:ダノンモンブラン
父ロードカナロア 母ヤンキーローズ 母の父All American
馬主:ダノックス
生産:ノーザンファーム
厩舎:栗東・中内田充正
こちらも昨年の指名馬リバティアイランドの半弟。こちらはドゥラメンテ→ロードカナロアにかわるが、母の配合のツボは押さえられているから、姉同様の瞬発力に富んだ馬になることを期待。朝日杯FS→NHKマイルを期待したい。
3位:ガルサブランカ
父キズナ 母シャトーブランシュ 母の父キングヘイロー
馬主:シルクレーシング
生産:ノーザンファーム
厩舎:美浦・木村哲也
これはイクイノックスの半妹。キズナ×キングヘイローといえばディープボンドの名前が一番に出てきそうだが、あのスタミナやズブさはある種特殊。母方にやや重さのあるキズナ牝馬という点では、ソングラインやマルターズディオサなどの活躍馬との共通点もあり。デビューした兄弟はイクイノックス含め3勝・4勝・5勝と優秀な母。ヴァイスメテオールも志半ばで旅出ったが、何事もなければ…と思わせる重賞ウィナーだった。桜花賞・オークスいずれでも期待。当初6月予定も乗り込みを増やし、かつルメールに合わせてのデビューになるようだ。おそらく夏の札幌か新潟あたりか。
4位:マテンロウゴールド
父レイデオロ 母ルールブリタニア 母の父ディープインパクト
馬主:寺田千代乃氏
生産:ノーザンファーム
厩舎:栗東・中内田充正
新種牡馬レイデオロの産駒②。レイデオロ×ディープのウインドインハーヘアクロス馬を1頭は指名したいなという思いがあった。このクロスに関しては重くてダートっぽくなるのではないか?という点や、小柄に出るのではないか?などの懸念点が言われていたが、それでもハマったら大きいと思う。
後ろに挙げる2頭と迷ってこの馬にしたのだが、決め手は母がフランスっぽい(牝系自体は軽そう)な点、本馬以外が初仔だった点、そして厩舎。中内田厩舎だと川田騎手はもちろん、西村淳也騎手、藤岡佑介騎手といったあたりが乗ってくれるし、リバティアイランドとの出会いで今後さらに(中距離の大舞台でも)伸びてくるのではないかと考えている。
5位:オーデンヴァルト
父ロードカナロア 母グリューネワルト 母の父スペシャルウィーク
馬主:サンデーレーシング
生産:ノーザンファーム
厩舎:栗東・林徹
重賞ウィナーのディアンドルの下で、キンカメ系との組み合わせでは2/3頭勝ち上がり、残り1頭も2着3回、3着4回と安定感あり。その基はNureyevとFairy Kingの相似クロスだろう。カナロア産駒でこのクロスを持つ、昨年指名馬のウンブライルと同様の配合だ(ノーザンダンサーは1本多くなるが)。基本的には阪神JF→桜花賞を期待したい。夏から秋ごろのデビューか。
6位:アルセナール
父エピファネイア 母サンブルエミューズ 母の父ダイワメジャー
馬主:キャロットファーム
生産:ノーザンファーム
厩舎:美浦・木村哲也
ナミュールやラヴェルの半妹で、本馬は父にエピファネイアを配した。エピファネイア×ダイワメジャーはモリアーナが出ている組み合わせ。サンデーをクロス、さらに3代母であるキョウエイマーチの持つダンシングブレーヴ….と、スピード・スタミナともに総合力も高い。阪神JFから桜花賞でももちろん、姉2頭が4着2着と走ったオークスでも楽しみになってくる1頭。今年のエピファネイア産駒は繁殖レベルが高い年で、巻き返し期待。
7位:シトラール
父スワーヴリチャード 母ジンジャーパンチ 母の父Awesome Again
馬主:キャロットファーム
生産:ノーザンファーム
厩舎:美浦・萩原清
新種牡馬スワーヴリチャードの産駒で、本馬はルージュバックやポタジェの下。兄弟は出走した8頭中7頭が勝ち上がり、6頭が2勝以上と、優秀な母の産駒。評判もよく、6月2週目の東京芝1800mでのデビューを予定。早めに1つ勝ち星をつけるとともに、余裕をもってクラシック本線に挑戦していってほしい。ダービーっぽさもあるか。
8位:コンテネレッツア
父エピファネイア 母アドマイヤセプター 母の父キングカメハメハ
馬主:サンデーレーシング
生産:ノーザンファーム
厩舎:美浦・宮田敬介
母がドゥラメンテの全姉、エピファネイア×キングカメハメハ×サンデーサイレンス×エアグルーヴというピカピカの良血馬。スカイグルーヴの全弟。ハマれば特大ホームランになるに違いない良血だが、1つ上の全兄が頓挫もあって3歳4月までデビューが遅れたり、スカイグルーヴにしても11月デビュー、半兄デシエルトも12月デビューとやや仕上がりが遅め、かつ気性面でも難しさはある血統でもある。その中では比較的順調にいっているよう?で。
9位:デンティベス
父モーリス 母ロゼリーナ 母の父キングカメハメハ
馬主:シルクレーシング
生産:ノーザンファーム
厩舎:美浦・田村康仁
先ほどはエピファネイアだったが、こちらはモーリス×キングカメハメハ×サンデーサイレンス×バラ一族。ノーザンダンサーがうるさくなるが、Mill Reef≒RivermanやLyphardのクロスを持つパランスの良さ。POGにおけるモーリスはどうかという点はあるも、本馬は6月東京でのデビューが予定されているので、その点はクリアしてきそうか。
10位:クラッチプレイヤー
父ドゥラメンテ 母ヴァシリカ 母の父Skipshot
馬主:金子真人ホールディングス
生産:ノーザンファーム
厩舎:美浦・国枝栄
大爆発中のドゥラメンテ産駒もあと2世代。今年もガッツリ指名したいなと思っていたのだが、リストを見てピンと来て順調な馬があまりおらず…。おれでも活躍馬は出てくるように思うが、それなら一発を狙える馬を選びたい、ということで10位の枠に。と思っていたらまさかの5月末と早めの入厩。Topsider×Kingmambo、Haloの直接クロスなどの魅力があり、国枝師をダービートレーナーにしてもおかしくない1頭だと思う。
その他候補に挙がった馬をいくつか。
・ボーモンド(モーリス×ボージェスト)
→モーリス×キンカメ×サンデー×エアグルーヴでバランスよく。8位コンテネレッツアのモーリス版。昨年の経験からモーリスを2頭POGでいくのはどうかと考え…。
・ショウナンハウル(レイデオロ×リンフォルルァンド)
→レイデオロ×ディープの候補に挙がった1頭。牝系もリッスンで良いし宝塚記念の日のデビューを予定しているのだが、リッスンの分より重さが際立ってしまうのではないか、松下厩舎でどうか、そして初仔の分で。
・マウリノ(レイデオロ×マウレア)
→同じくレイデオロ×ディープ。本馬は下河辺生産馬。近親にはアユサン・ドルチェモア親子。馬格は470キロ程度でちょうどいいかなと考えたが、それでも初仔の分の分からなさはあった。早期デビューではあるようだが。
・ドゥマイシング(ドゥラメンテ×フォースタークルック)
→矢作きゅう舎×ドゥラメンテでPOGでも人気してくるであろう評判の1頭。Kingman産駒の上が1200でデビュー勝ち。血統的なバランスは悪くないと思うのだが…、馬体を見てクラシックなのか…?と思ってしまった。
・トーセンオリックス(キタサンブラック×トーセンアルニカ)
→爆穴候補。ゲート合格済。木村哲也きゅう舎。キタサンブラックのツボを押さえてはいるのだが、如何せんクロスがうるさい。トーセンの馬ということもあって情報が少なく、ほかで全く決め手がなかったり、あるいはvanのようなシェアポイントがある所がメインなら…も、リスクも大きく。
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