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夢は形を変えていくもの

GLOKEN「10年史」の寄稿文章より

GLOKENが10周年を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げます。設立に至るまでの紆余曲折や設立からの10年間には言い尽くせない思いがお有りと存じますが、今後も世界のけん玉界をリードしていかれる事を期待しております。

さて先日、映画「耳をすませば」を観る機会がありました。言わずと知れたジブリアニメの実写映画ですが、観終わった後にこんな親父でも、若かりし頃を思い出さずにはいられませんでした。ただし映画の様な甘酸っぱい思い出ではなく、中学、高校時代に思い描いていた私の将来の夢についてです。

私は中学、高校と吹奏楽部でホルンを担当していました。勉強そっちのけで部活に勤しんだおかげで成績は万年下位。それでも仲間と一緒に演奏する楽しさや、演奏会の時の高揚感は得も言えぬ体験でした。

こんな楽しいことがずっと続けば良いのにと思うことは必然的で、この時に思ったことは、自分の好きな音楽で沢山の人に演奏を楽しんでもらいたいということ、そして音楽大学に進学してプロの演奏家になることでした。

しかしプロになるためには並外れた技量と感性、そして聴く人に感動を与える力が必要になります。プロになれる人は一握りで、演奏だけで生活していく難しさ、そうした厳しい現実を突きつけられた私は、早々にプロを諦め後進の育成という名目で大学職員として就職しました。要は安定した生活を選択したわけです。

程なくして家庭を持ち子どもができ、子どもが地元のミュージカル劇団に入ったことをきっかけに劇団運営に10年近く携わることになりました。この間、子どもたちの笑顔や観客の笑顔を見て、昔感じた思いが蘇って来たことを思い出します。

冒頭で紹介した映画「耳をすませば」の中で、夢を諦めかけていた月島雫に対して天沢聖司が「夢は形を変えていくもの」と話しかける場面があります。この言葉に私自身もの凄く感銘を受けました。

今私はけん玉を通して多くの人と出会うことができ、いろんな人とけん玉をする楽しさ、けん玉で子どもが嬉しそうに遊ぶ姿を見て喜びを感じています。中学、高校の頃に体験した気持ちと同じ思いが、今けん玉を通して感じられています。

その時その時の選択によって今の自分があり、中学、高校の頃に思い描いた夢は、これからも形を変えて行くもののだと感じます。けん玉で多くの人と関わって、けん玉で喜ぶ笑顔を見ること、これが今の私の夢なのかも知れません。

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