神話の時代から12才 『ポニイテイル』★54★

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「え? ペガサスもいるの?」

「わたしの角を勝手に持って行って落としてしまった、いたずら者のペガサスです。あどちゃんには世界一カッコイイ翼をあげるって言ってましたよ」

「ホント?! うわ、それを早く言ってよ!」

「だから早く行かないと。12歳の誕生日が終わっちゃいます」

「何それ、初めて聞いたんだけど。12才だけイイものがもらえるの?」

「はい。神話の時代から12才と決まっているんです。架空動物は子どもに直接シンボルを渡して、喜んで受け取ってもらえたら大人になれます。『喜んで』というのも大事なポイントです。誕生日プレゼントは、心から嬉しいものじゃなければダメです。喜んでもらえなければアウト。だから勇気がいるんです」

「ウチはペガサスの翼? スゲー! そっか、知らなかったよ。12才の誕生日には、架空動物が来るのか!」

「いえ、そういうわけではありません。すべての子どものところへ来るわけじゃないんです」

ユニは寝がえりを打つように、体の向きをグウゥンと入れかえました。

「架空動物の数と子どもの数のバランスが、何て言うか……ちょっと良くないんです」

「バランス?」

「架空動物の数は、空想が好きな子どもに左右されます。子どもたちがたくさんの空想をすれば増えるし、そうでなければ減ります。今は架空動物の数よりも子どもの数の方がずっと多いです。架空動物はどんどん減っていて……いまや、絶滅寸前です。大人の架空動物たちは、そのことについて、真剣な顔で会議をしたりしています。なにせ、ユニコーンのことを知らない子どももたくさんいるくらいですから」

「ホントに? ユニコーンを知らない子なんて、いるの?」

「ポップコーンみたいな食べ物だと思っている子が大勢います」

「マジか!」

「もし別の子が拾っていたら、こんな角はゴミ箱に捨てられてしまったかもしれません」

「ひぇぇえ!」

「あどちゃんには感謝しています。いつもバルコニーで、プーコさんと一緒にたくさん空想をしてくれていましたね。ありがとう。架空動物を代表してお礼をいいます」

「ありがとう」とユニはもう一度、とても丁寧に言ってくれました。あどはこんなにも丁寧な「ありがとう」を受け取ったのは初めてでした。

「あ、そうだ! ユニのその角、少し使わせてもらったけど……キミの角すごいね!」

「そうですか?」

さも意外そうなリアクションです。

「その角のおかげでさ、ウチ、メッチャ頭よくなった! 辞書なんかぜーんぶ覚えちゃったし空想もいっぱい文字に出来たし。ホント助かったよ!」
「いえいえ、この角には、子どもの頭をよくする働きはありません」

ユニは金色の角をぐるんと回しました。

「この角は、あどちゃんが持っている力を呼びさましただけです。あどちゃんがすごいと思った力は、ぜんぶ、あどちゃんの頭の中に眠っていた、あどちゃんの力です」

あどには自分にあんな力があるなんてとても信じられません。
あれはぜったいに、角が与えてくれた力だと思う。そう伝えると、ユニは「子どもはみんなそういいますね」なんて、大人みたいな口ぶりで言いました。自分も子どものくせに。

「でもユニさ、架空動物が子どもの数に比べて減っているなんて、ウチぜんぜん知らなかったよ。そもそも架空動物の数がどれくらいかなんて、考えたこともなかった。この学校と反対だね。この学校は動物より人間の数がずっと少ないよ」

ユニは返事をしませんでした。プーコと同じで、気にしていることが多いのでしょう。

「ユニさ、この学校に入るといいよ! そうすればいっしょに毎日遊べるじゃない!」

「ありがとう」

ユニはやさしい声でそういうと、金色のしっぽであどのほほをなでてくれました。

「プーコに角を渡して大人に変身したらさ、あの天井までジャンプしてよ。ウチはペガサスの翼なんでしょ。いっしょにジャンプしまくろう!」


『ポニイテイル』★55★へつづく

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『ポニイテイル』★51~60★

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