見出し画像

遠隔催眠:電話越し等で気をつけたいこと

初投稿です。何を書いて良いのか迷っていましたが、SNSで電話越しに催眠を掛けたら不具合が起きたって話を見かけたので、遠隔催眠をやる際に気をつけたいことについて書いてみようと思います。

遠隔催眠でよく起こる問題

SNSの断片的な情報を見る限り、術者の想定よりも深く催眠が掛かってしまい、相手がちょっとしたパニック状態になるというのが比較的多く見受けられます。

動けなくて怖いとか、呼吸がうまく出来ないと訴えるパターンですね。

特に怖いなと感じたのは、過呼吸が起きたパターン。

原因と予防

催眠を始める前の説明不足によるものがほとんどです。要は術者の配慮不足が原因です。

安全であること、意に反した催眠暗示は基本的には受け付けないこと、解除しなくても自然に解けること、主導権は常に被験者側にあることをしっかり伝えれば不具合が起こる確率はぐっと下がります。

術者の目的によっては、自然に解けたり、被験者に主導権がある状態を好まない人もいますが、催眠術で一度不具合が起こると、その相手は二度と催眠に掛からない可能性があるので、基本的には安全を重視した方法が推奨されます。

催眠術は面白いもので、理論的に起こらないことであっても、相手がそう信じていればそういう風に起こってしまうため、事前の説明で予防線を張る必要があります。

催眠状態は理論的に存在しない可能性が高いとはいえ、相手の思い込みを利用するという側面があります。幽霊の存在を信じている人にとってその存在と恐怖が実在するように、相手がどう信じているかが重要にのるので、催眠状態を強く感じる(信じる)人であればそれだけ不具合も起きやすくなります。

特に不具合が起こるタイプの人は、話に聞く限り深く掛かりやすい傾向があるため、細心の注意が必要です。

場合によっては催眠術をやるべきではありません。

起こってしまった場合の対処

すぐに催眠を解くことが大事です。リラックスできる暗示を併用する方法もありますが、まずは何よりも先に解除することを優先し、それから落ち着かせます。

問題に対処できるだけの知識を

たとえ手が届く距離に被験者がいたとしても、問題が起こった際に対処できるだけの知識を持つべきです。

呼吸器に問題が起きた場合などに対処できるだけの知識は必須で、もし専門的な知識が無いのであれば、催眠そのものに手を出すべきではありません。

軽々しくやるべきではない

国によって催眠術には資格が必要だったり、法律で明確な制限があります。それだけ専門的で特殊なことをやっていることを自覚し、充分な覚悟と準備、知識が無いのであれば、やらないという選択も大事です。

どんなに簡単な現象であっても、副作用や不具合が起こる可能性はありますし、万が一そうなった場合の責任を取る覚悟がないのであれば、軽々しくやるべきではありません。

特に術者の管理が及びにくい遠隔催眠は。

どうしてもやりたい場合

早い段階で解除暗示を用意して、不具合が起こりそうな気配を察知したら、その瞬間に中断できるようにするしかありません。

遠隔でやる場合、通信が途切れても催眠状態が継続されてしまう人が極稀にいます。特に不具合は起こりませんでしたが、そういった人に出会ってからはテキストメッセージでも解けるような準備をしています。

私の場合は、特定のジェスチャーとフレーズで2種類の解除暗示を用意し、それが実際に聞くか催眠術中に必ず確認をするようにしています。また催眠術を終わる時は、この2種類の解除暗示ではなく、カウントアップによる解除を行い、相手に催眠が終わったことを明確に伝えます。

補足:
実際には催眠術を解くのに暗示を使っているため、本当の意味で催眠が解けているわけではないのですが、相手を安心させるための方法として解除暗示という手段を採用しています。

そもそも私は非状態論派に近い考えですが、既に述べたように相手が何をどう信じているかが重要であるため、配慮として型にハマった手順を使うようにしています。

また、最初に催眠術は集中が途絶えたり、時間経過でも解けるとも説明しています。

催眠術をやる基本的なステップについて

最後に参考までに、イギリスのカウンセリングで催眠術をやる際の手順を載せておきます。("THE OXFORD HANDBOOK OF HYPNOSIS"より)
1.プレインタビュー
2.誘導
3.深化
4.次の催眠のための調査
5.終結
6.ポストインタビュー

プレインタビュー、調査、ポストインタビューと相手の状態を常にチェックされているのが分かります。催眠でよくある副作用は精神障害と感情障害(鬱など)の悪化であるため、その傾向がある人にはそもそも催眠術をやらないという選択肢も必要になります。


安全な催眠術ライフを願って…


(今回の投稿では知人が使っていた表現を幾つか借りていますが、全て許可を得ています)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?