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ゴーストライター

【はじめに】

愛染屋の短編台本を、3日間限定で一編ずつ全文公開します!!!

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毎週更新予定ですので、楽しみにしていてくださいね~!

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ゴーストライター


愛楽ゆか

・担当

・先生


       先生の書斎。
       先生の愛用していた机、いす、ペンや原稿など、モノが生活感に溢れて置いてある。

先生、板付き。
       先生は立派な絵画を飾るような額を、自分を飾るように持ちキメ ている。つまり、先生は肖像画となっている。
       
       しばらくして、担当、入り。
       先生の書斎のあちらこちらを見やり、書斎のあらゆるものを懐かしんでいる。
       先生の残した書きかけの原稿を見て、文字をなぞるように触る。そして、先生の肖像画(先生)を見つめる。
       その後、客席に向かって改まる。

担当   先生を覚えていらっしゃいますか。……ええ、そうです。覚えていてくださって、ありがとうございます。先生の担当として、お礼申し上げます。なにせ先生は、特定のファンのいない作家ですから……。あなたは、先生のどの作品をお読みになったのですか。……ああ、そうでしたか。他の作品は……そう、ですよね。お読みにはならないですよね。先生は、ミステリから恋愛もの、スポコン、SFファンタジー……その時その時で、全く違う物語を生み出していました

       担当、先生の書きかけの原稿を手に取る。

担当   これは、先生の最後の原稿です。先生は、一ヶ月前に突然、この世を去りました。本当に突然に。ああ、それで覚えていてくださった方もいるのかもしれませんね。「天才小説家、謎の突然死」と一時期騒がれていましたから

       担当、先生の部屋を見回す。

担当   一ヶ月経った今でも、この先生の書斎に来ると、まだ先生が生きているんじゃないかって、思ってしまうんです。先生は、明るくひょうきんでいい加減でしたが、どんなときでも締め切りだけは守る方でした。何度もここへきて、原稿の催促をしました。なんだかんだ言いながらも、来るたびに先生の原稿は進んでいて。けれど……今は何度来ても、原稿が進むことはありません。そのことに、どうしようもなく悲しい気持ちにさせられます

       担当、先生の肖像画を見る。

担当   これは先生の肖像画です。今にも喋りだしそうですね。例えば……

       担当、先生が話しそうなことを、先生の真似をしながらいくつか挙げる。

担当   ああ、でも、一番に思いつくのは……先生の口癖、というか、願掛け、のようなものでしょうか。先生はアイディアが詰まると、いつもこういってご自分を鼓舞していたんです


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