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カトルとタタン

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いつか、どこかの「   」の子どもたちの話。毎月第2、第4日曜日更新。(全9話完結済み)番外編、たまに更新します。
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新しい日、

新しい日、

タタンは、きっと覚えていない。
でも、私は覚えている。

カトルは、きっと忘れてる。
でも、僕は思い出せるよ。
これから先も、ずっと。



「カトルカトル、
 ぼく、行ってみたいところがあるんだ」

ぼくがそういうと、
カトルに、もくもくと雲がかかった。
ぼくは、あわてて手ではらったけど、
カトルにさわってみたら、すごく冷たくなっていた。

「タタン、」
「今日だけだよ」
ぼくは、
ぼくの手よ

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タシルとタタン(あるいは、ずいぶん昔の話)

タシルとタタン(あるいは、ずいぶん昔の話)

さらさらゆれる、小麦畑。
ずっと、ずーっと遠くの方まで、つづいてる。
小麦の方が、ちょっとだけ、ぼくより大きい。
だから、ぼくがそのなかを進んでいくと、
小麦の穂が、さらさら、さらさら、顔にあたる。

「タシル、タシル」
「ああ、タタンか」

まっ赤に日焼けしたタシルが、
小麦の海から、ひょっこり顔を出した。
タシルは、ぼくよりずっと大きいから、
すぐに、ぼくを見つけてくれた。

いつものように、

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azure

azure

ちかっと光がまたたいた。
光。
光の匂い。
この匂いは、朝の匂い。

「ごめんね」
ぼくは、射してくる光にふれた。
「まだ、だめなんだ」
ふっと息をふきかけると、
光は少しずつ、少しずつしぼんでいった。
まるで、花が萎れてくみたいに。
それから、辺りはまた暗くなった。
夜が、戻ってきた。
……ううん、ぼくが戻したんだ。

「カトル」
カトルは、なにもこたえない。
眠ってるから。
ずっとずっと、眠っ

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アップルパイが逃げなかった話(もしくは、ちょっとした小話)

アップルパイが逃げなかった話(もしくは、ちょっとした小話)

「もうアップルパイは作らないでね」
 
それが、おやつを作るときの決まり文句になった。
汗までかいているタタンの頬をそっとなでて、私はこう言う。
「大丈夫よ」

きっかけは、リンゴを煮つめていたときに、
タタンに火の番をさせたことだった。
私がいつものカトラリーをどこかにやってしまって、
庭まで探しに行っていたからだ。

タタンは、何度も鍋をのぞいては、リンゴを焦がしてしまわないように気をつけてい

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sister

sister

「おはよう、カトル」
『おはよう』は、起きてる人にするあいさつだ。
だから、カトルは答えない。
まだ、寝てるから。

こんなことは初めてだ。
カトルはいつも、ぼくよりずっと早く起きる。
ぼくが起きたときには、朝ごはんができてるように。

ぐうぐう眠ってたぼくの鼻がひくひくと動いて、
パンが焼けるいい匂いをかぎつける。
ぼくは起き上がって、梯子をとととと下りる。
キッチンに行くと、
カトルがちょうど

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session

session

しゃんとん、しゃんとん。
たんとん、たんとん。
たんたん、たんたん。
たたん。たたん。

タタン。

「カトル?」
庭に、さあっと風が吹く。
ぼくの頭をそっとなでてくれる風。
カトルみたいに、やさしい風。
でも、これはカトルじゃない。
カトルは今、家の中にいる。
もうすぐ、おやつの時間だから。

「……」
ぼくは、少しだけがっかりする。
カトルが、名前を呼んだのかと思ったから。
カトルが付けてくれ

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「なんでもないよ、」

「なんでもないよ、」

「カトル、カトル」
「なあに?」
「ぼく、すごいことを発見したよ」
「すごいこと?」
「こうして、こうやってね」
「うんうん」
「こうして、カトルをぎゅっとしてね、」
「あら、あなたがこうしない日なんてあったかしら」
「そうじゃないよ、カトル。目をつぶってみて」

「……」
「……」
「……あら、花の匂いがする。カモミールかしら」
「その匂い、カモミールなんだ!やっとわかったよ」
「カモミール……

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me

me

タタン。
ぼくの名前。
大好きな名前。
口ずさむと、すごく楽しい。
大好きなカトルが付けてくれた名前だから、大好きにきまってる。

カトル?
カトルはね、ぼくのお姉さんだよ。
ぼくが、世界で一番大好きなひと。

それから、父さんもいる。
ぼくはちがうけど、
カトルは父さんがこわいみたい。
だから、父さんのことはあんまり好きじゃないときもある。
そういうときも、生きているときっとあるんだよって、

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カトルとタタン

カトルとタタン

「タタン、それは後回しにして」

 今からやろうとしていたことを遮るのは、人をがっかりさせるのだから、やめておきましょうね。
 カトルは前に(本当にずいぶんと前のことだけど)そう言っていたから、僕はがっかりした。
 カトルの言っていることにそっぽを向いてもよかったけど、さっきまでしていたことは、もうあんまりおもしろそうに見えなかった。これはもしかしたら、とんでもなくすてきなものだったかもしれないの

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