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7/16

5:43起床。

天気は晴れ。
まるで、僕らを祝福しているみたいに。

あなたはこれからも、私の光。

前略、
プロポーズしました。

昨日はいつもと変わらない、何てことのない日のはずだった。
何せ僕も、プロポーズしようなんて、そのときまで考えてなかったから。

その日、パートナーと合流したのは、8:30。
カフェでモーニングでもどう? というのがパートナーの提案。
それはいいね、と僕はすぐに承諾した。

いつもより、ちょっとだけ洒落た朝食。
僕は紅茶、パートナーはコーヒーを片手に、僕らは語らった。
語らったといっても、大したことは喋ってないんだけど。

ふいに、ある思いが自分に訪れた。

テーブルには、
空になった2人分の皿に、2人分のポットに、2人分のカップだけ。
僕は、指輪も何も持ち合わせていなかった。
ロマンチックなんてもんは、欠片も無かった。

でも。

「手、出して」
「? うん」
「あと、肘ついて」
「?? うん」

僕は、差し出されたパートナーの手を両手でしっかり握った。

「君の生まれた大事な日に、入籍したいです」

パートナーは、声に出さずに「えっ」という顔をした。

(どうやら、テーブルに肘をつくようにいったとき、
 僕が、腕相撲をしたがっていると思ったらしい。
 だから、自分の手を両手で包まれたときは「ずるい」と思ったそうだ。)

でも、そのすぐ後に、

「はい」

そう、はっきり応えてくれた。

突然訪れた真面目な空気に耐えられず、僕らは同時に吹き出した。

そりゃ、自分でも唐突だと思ったよ。
2人分のモーニングが運ばれてくるまで、
プロポーズしようなんて思っていなかったし。

でも、何でかな。
急に、いいたくなったんだ。

プロポーズっていうと、人生の一大イベントみたいになっているけど、
実をいうと、僕らは前々から結婚を意識していたし、実際口にしてもいた。
それに、僕の勤め先がちゃんと決まったら同棲しようという話も出ていた。
だから、僕らにとってプロポーズは、
法的な手続きをするためのきっかけみたいなもんだった。

けれど、そのとき僕の頭にふいに浮かんだのは、
入籍する日は、パートナーの誕生日にしたいという思いだった。

今の僕があるのは、あなたのおかげだから。

あなたが生まれてくれたから、
僕は、もう一度生まれることが出来た気がするから。

僕があーだこーだと理由を説明すると、
パートナーはうんうんと肯いてくれた。

結婚のことを「ゴールイン」なんていうこともあるけど、
きっとゴールなんて無くて、たくさんのスタートがあるだけだよ。

ゴールなんか、しなくていい。
いくつもあるスタートラインに、パートナーと2人で立てたらそれでいい。

これからも、どうぞよろしくね。
大好きだよ。

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