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10/13。そして、僕らの生活はつづく。

5:41起床。

天気は曇り。


幸せだな、と思う。パートナーが――大切な人がいることが。僕なんかにそんな人ができるなんて、1年前は思いもしなかったよ。僕はずっと、1人で生きていくんだって。そう思っていたから。だから……何ていえばいいのかな。なんだか、まだ夢の中にいるみたいだ。でも、これは現実なんだ。夢よりも、ずっとずっと幸福な、現実なんだ。


今日から、パートナーがうちにいる。
同棲、始めました。
来月には、入籍します。


……と、いってみたものの、僕らの生活はそんなに変わらない。今までは、パートナーが休みの度にうちに来ていたけど、これからは、うちがパートナーの帰る場所だ。変わったのは、それくらいかな。僕ら自身は、何も変わらない。まあ、そりゃそうだよね、って感じかな。


式は挙げません。でも、両家の顔合わせはします。というか、しないとね。


僕からしたら、結婚するっていうのはそんなに大それたことじゃないんだけど、親にとってはそれなりに重大なことだから。……それなり、どころじゃないか。自分の子どもが、結婚というライフイベントに立つんだもんね。それって、どんな気持ちなのかな。「結婚? まあ、いいんじゃない?」みたいな軽い気持ちにはなれないんだろうな。だって、僕はパートナーのことをよく知っているけど、親はよく知らないもんね。知らないっていうのは、不安なことだから。だから、顔合わせのときに、その不安をしっかり溶かしてあげたいと思う。


昨日、両親に顔合わせの詳細についてLINEした。定期的に連絡を取っているのは母さんの方なんだけど、「お父さんの方にも送ってあげなさい」といわれたので、父さんの方にもメッセージを送った。父さんは、なんだか怒っているみたいだった。


「怒ってはないわよ」
母さんに電話してみると、そういわれた。
「かわいい子どもが結婚するから、複雑な気持ちなのよ」
「それに、あなたは私には色々話すけど、お父さんにはあんまり話してないでしょう? 本当は、もっともっと頼ってほしいのよ」
「(顔合わせするときの)お店、さっそく調べてたわよ」


僕は、父さんが苦手だ。理由は色々あるけど、僕は、父さんは自分のことしか考えていない人だと思っていた。母さんのいっていることを全部信じるわけじゃないけど、でも、父さんは蚊帳の外だったから、自分だけ除け者にされたように感じたのかもしれない。父さんのことは苦手だけど、僕は父さんによく似ているから、その気持ちはわかる気がする。僕は、ちょっと反省した。


空、明るくなってきたな。僕は、うんと伸びをする。今日から、今までとは少しだけ違う、新しい日々が始まっていく。

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