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東北・北海道旅行 12日目

青森港で目覚めた朝。本州に戻ってきたなーという蒸し暑さを感じる。

この日は長女の誕生日。

朝ごはんを兼ねて、彼女の大好きなスタバでお祝い。朝から大好きなフラペチーノやらドーナッツを食べてご満悦。小学生のころから好きなドリンクがスタバのフラペチーノって・・・どうなのか。正直田舎育ちの私には理解できないというか、贅沢というか。ま、東京にいると大人が飲むから一緒にいて何も飲まないわけはいかず。。。と負のサイクルになっているわけで。
子連れの時、大人が我慢すればよいのだと。はい。子どもに罪はありません。

朝食を食べたのち、コロナで祭りが中止となっているねぶた祭を体験しようと”ねぶたの家ワ・ラッセ”へ。

アートなねぶた体験

青森駅近く再開発エリアにあるオシャレな建物。建物自体は正方形に近い特筆すべきことがない建物だが、その建物を囲むように赤茶けた銅板がリボン状にカーテンのように垂れ下がり、入口近くだけここから秘密のエリアに入れますよ。と言っているように開かれて白い建築が見える。

なんでも、東京在住のオランダ人建築家の作品らしい。

館内にはねぶたの歴史やねぶた作りの過程など、映像を交えて紹介されており、初めて見るねぶたをとても興味深く学ぶことができた。

ねぶたの歴史を学ぶコーナーを過ぎるとその先には過去のねぶた祭りで使用された山車が実物展示されている。その圧倒的な大きさ、迫力。まるで誰もいなくなった深夜、その山車に乗っている歴史上の人物が動き出すのではないかと想像してしまうほど活き活きとした姿であった。

なんでもねぶた名人と呼ばれるねぶたを専門に制作するねぶた師がいるようで、こんなところにも日本の無形文化財を支えるスペシャリストがいることに驚く。

京都の祇園祭りなど日本にはこうした山車を運ぶ祭りがいくつかあるが、その地方によって歴史があり、それを支え、伝統を引き継ぐ人々がいる。こうした日本が古来から大切にしてきた儀式を若い人たちにも楽しみながら継承していってほしいと感じた。

子どもたちもねぶたの絵を描いたり、色塗りをしたり体験型展示がところどころにあり、館内の賑やかな音楽も奏功し、とても楽しかったようだ。

また、このエリアはベイエリアと呼ばれ、港の倉庫らしい建物をリノベーションしてショッピングやカフェを楽しめるようで、若い人たちを中心に人気があるようだった。

その後、青森県立美術館へ。

巨大なあおもり犬

ここは私が訪れたいと思っていた場所。
広い公園の緑の中に真っ白い外装の平屋の建築がとても映える。美術館の建築ってその地になじむように建てられていて本当に美しい。

建築家は青木淳。ロゴや館内のサイン文字のフォントが独特で、とても印象的だった。

館内は地下を利用して展示物が配置され、青森出身の作家さんの作品が並ぶ。
特別展示なのか、ロシア出身の画家:マルクシャガールがバレエ”アレコ”のために描いた背景画の展示があった。高い天井を擁する四方壁に囲まれた巨大な空間に、負けじ劣らず、四面の壁に吊るされた大きな背景画。1日の何回か、部屋を暗くし、その背景画の前にバレエダンサーが踊り出すというインスタレーション。
日本語の解説もあり、子どもたちも興味深く見入っていた。

その後、この美術館最大の見どころで、私のお目当てのあおもり犬を見に。あおもり犬と言えば、奈良美智。彼はここ青森の出身だったんですね。

箱庭のような中庭に人の何倍もの巨大なあおもり犬の立体作品。館内からガラス越しに見るあおもり犬はまるで額縁に入った写真のようでもあり、美しかった。もちろん、館外に出て、間近でみることもできるのだが、この巨大なあおもり犬はガラス越しに見るのが正解だと、ここでも展示の妙を感じた。犬だから外にいるのが自然だしね。

その後、館内のレストランで昼食。リンゴをたっぷり使用したカレーやデザートにリンゴパイをいただき、リンゴ尽くしの青森らしい昼食を食べることができた。

その後、急遽、夫の追加リクエストで”棟方志功記念館”へ。

”わたば日本のゴッホになる”

小樽のニトリ美術館で彼の作品を小学生ぶりに見て、その大胆で堂々とした作品にひかれてはいたけれど、再び青森美術館で彼の作品に触れ、市内に記念館があることを知り、駆け付けた。

ゆっくり作品を見てほしいという生前の彼の意向と、青森市名誉市民第一号である彼の作品は大切に保管されるべきだという青森市の意向もあり、小さいけれども正倉院同様の校倉造りの建物に作品が陳列されていた。

生まれながらに左目に障害を持ち、版画に身体を寄せて彫る彼の独独のスタイル。魂を込めて彫るその様子や日本各地を巡り、油絵や倭画、書道、詞などを愛した生前の貴重な様子をビデオで見ることができたのが一番の収穫。

ちなみに、倭画とは棟方翁が版画を板で描く画として”板画”と呼んだのに対し、筆で描くのは”倭画”と独自に呼んだらしい。彼の描く倭画は宗教画のようでもあり、遊びごころを感じるその作風は、版画とはまた違う才能を感じさせものであった。

”わたば日本のゴッホになる”

彼は、そういってこの青森を出て東京に向かう。ゴッホを目指していたらしく、彼の版画作品は豪快でどの作品も生命に満ち溢れている。一方、ねぶた祭りを愛し、にこやかに浴衣姿で踊る姿など、その人間らしい一面が多くの市民に愛された所以なんだろう。

敷地内の小さなしかしセンスの良い日本庭園を眺めながら、棟方志功に思いを馳せ、青森での文化・アートを満喫し、南へ下る。

熊と流星群

往路では日本海を眺めながら、青森、秋田県の海岸沿いを走ったが、今度はひたすら山道を走る。キャンピングカーは基本、ケートラックなので、馬力がない。平坦な道路はなんとか普通の速度で走るが、山道になるとてんで速度が落ちる。なんとか暗くなる前に目的地であった山の中のキャンプ場”休暇村乳頭温泉郷キャンプ場”へ到着。

受付で今夜は予約でいっぱいと言われるも、他に行くところがないとなんとか頼み込み、駐車場で停泊させてもらう。

この辺りは”熊注意”の張り紙が多く、人気のない駐車場はなんだか怖い。

今夜はキャンプ場で宿泊する最後の夜。食事はキャンプエリアに移動して、簡単に煮込みラーメンを食べて、家族でラスト焚き火。マシュマロを焼きながら、薪も最後まで使い切り、子どもたちがいつものように木の枝や枯葉を集めて最後の焚火を楽しんだ。

その後、車を移動して駐車場で寝る準備をしていると今夜はペルセウス座流星群が見えると携帯ニュースを見る。

そこで、真っ暗な駐車場に寝転がり、空を見上げる。私は熊が来たらどうしようと不安でいっぱいだったので、家族で手をつなぐことにした。誰もいない静かな駐車場に手をつなぎながら寝転ぶ家族5人。空の上には満天に輝く夏の星。目を大きく開いて見ているとかすかに流れ星が見え始め、あっ!と声を出すのが早いか次々と星が流れていく。これが流星群というのかと、初めて大量の流れ星を見た興奮でしばし熊を忘れ、天然のプラネタリムを楽しむ。

山の上、誰もいない暗闇の駐車場と条件が整い、肉眼でとても美しい流星群を家族で見れてことは忘れられない思い出となった。


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