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1kg100万円 ハワイ島のお茶の魅力とは?「誇り」がお茶を進化させる。

今年のGWにハワイ島のお茶農園に滞在してきました。
ハワイ島ならではの発見が盛りだくさん!
最近よく人に話すので、こちらでシェアします。

ー目次ー
1.お茶の物語を味わう
2.事前知識!ハワイ島のお茶農家事情
3.ヤシの木と海と茶畑:Onomea Tea Company
4.世界最高峰100万円のお茶:Big Island Tea
5.誇りがハワイ島のお茶を進化させる


1.お茶の物語を味わう

まず、日本茶も中国茶も紅茶も、私はとにかくお茶が大好き。

”茶葉をつければ水に滲み出て、味が出る”

お茶ってすごくシンプルだと思います。

茶葉によって様々な旨味があり、味わうことも大好きなのですが、
何よりもお茶の物語を知ることが好きなんです。

どこの誰が、どんな想いで作って、どう進化してきたのか、
その変遷にはロマンが詰まってます。

”お茶を淹れた瞬間から、物語が始まる。”

今回はハワイ島のお茶物語を味わいに行きました!

「ハワイ島には地上の楽園と呼ばれるお茶農家があるんだよ」

何年か前に、ワイキキのレストランで教えてもらって、ずっと行きたかった場所でした。それから縁があり、今回2つのお茶農家さんにステイしてきました!

〜今回伺ったハワイ島のお茶農園〜
(1)Onomea Tea comapany
(2)Big Island Tea

2.事前知識!ハワイ島のお茶農家事情

ハワイでは、1800年代後半からお茶を開発する試みがスタート。

アメリカのUSDA(米国農務省)が1990年代、サトウキビの次に栽培できる作物を探して、お茶の苗を農家に提供しました。

その当時15名の農家が茶の栽培に挑戦しましたが、3分の2が失敗し、撤退したそうです。

失敗の理由は「commodityとしての生産」を重視したこと。

大量生産で戦うには、中国、インド等の世界的なお茶の大国と価格で競争できず、撤退。

最終的にはハワイならではの土壌や環境を活かした、品質や多様性をもつ茶農家が評価され、今も進化を続けています。

まずはOnomea Tea comapany

3.ヤシの木と海と茶畑:Onomea Tea company

Hilo空港から車で30分。写真の通り、このお茶農家は海辺にあります。

海とヤシの木、そしてお茶畑を一緒に見る日が来るなんて!
日本人の私からすると新鮮な光景です。

オーナーはRobさんとMikeさん。
Mikeさんは以前、蘭の交配を行っており、
蘭専門のオークションサイトを運営していました。
ここは元々はサトウキビ畑で、この土地を購入した当初の目的は蘭の栽培のためだったそうです。

しかし環境に合わず、うまくいかず、他の植物を検討していた時、
たまたま見つけた植物、それがお茶だったそう。

この土地では2003年からお茶の栽培をしています。

こちらのお茶農家さんではオーガニックにこだわり、様々な品種のお茶を一緒に植えています。一緒に植えることで味の複雑性がよりユニークになるそう。白茶、紅茶、緑茶、烏龍茶など、つくっています。

☝︎オーナーのRobさん。元々はIT営業マン。
土地が豊かなまま、次の世代に引き継がれるように、より自然な形での栽培を大切にしています。
四季がほとんどないため、約2週間に1度のペースで年中収穫できるそう。



Tea Tastingでは、ワイナリーのテースティングルームのような、茶畑と海を眺めて楽しむことができる、素晴らしいコテージで頂くことができました。
美味しい焼きたてスコーン付き♡

☝︎もう1人のオーナーMikeさん。

中国式で丁寧に淹れてくれます。
(ハワイのお茶農家さんはどこも中国式のテースティングでした。ハワイで最初に茶農家さんの指導に携わった人が台湾の方だったそう!)


もちろんお茶も味わい深く美味しいのですが、
私が感動したことは、「体験」を提供する場所として茶農園が施設が設計されていること。

ワイナリーは、テースティングルームが一つのブランディング材料です。
こちらの茶農園もテースティングルームを重要視しており、その茶のストーリーを如何に伝えるか、考えられて設計されていることが真新しくて感動しました。

お次はBig Island Tea

4.世界最高峰1kg100万円のお茶:Big Island Tea

2001年に設立されたビッグアイランドティーは、ハワイのパイオニアティーガーデンの1つです。
400年前の灰の堆積物のマウナロア火山の3000フィートに位置するこの環境は、高級茶を栽培するのに理想的です。

こちらでも、超プレミアムなお茶を製造しています!

実は私、ここのお茶を1年前に飲んだことがあるんです!

そう、1年前にホノルルで飲んだ世界で最も高い紅茶を作っている農家さん!!一杯30ドル!

お茶好きの方ならこの記事を見たことがある人もいるのでは?

引用:Honolulu News
内容は・・・

「Big Island Teaは、最初の茶葉をロンドンの高級小売店、Harrodsに売却しました。このハワイ産のお茶の小売価格は? 1キログラムあたり6,500英ポンド。それは約4,800ドル/ポンドです。 (参考のために、Tea Farm Cafeで最も高価なお茶は100ドル/ポンドで最高になります)。」

日本円でいうと、1キロ約100万円です!!

今回はこの世界で一番高い茶葉を栽培している、こちらのお茶農家さんで宿泊もさせて頂きました。

☝︎オーナー Camさん。現役の生物学の大学教授でもあります〜!大学教授歴は28年の大ベテラン!

まず入り口からジャングルのように様々な植物が生い茂っています。
2001年にお茶の栽培を開始。

それ以来、東京ドームよりも大きな土地に多様な原生林を植えたそうです。
現在は6,000本以上の茶の木が植えられています。

目的は低木であるお茶の木がマウナロア火山の北東斜面で繁栄する、原生雲霧林の生息地を本来の姿に取り戻すこと。
環境改善のために作られた茶農園なんです。

☝︎実際に茶摘みをさせて頂きました!
オーナーのCamさんは、お茶畑を一つの生態系と捉えて、科学的な視点でこの土地を作っています。

写真の通り、様々な植物と一緒に栽培されています。
生物学の教授ということで、この土地は様々な実験を経て作られています。

・マメ科の植物と一緒に植えることで、茶葉が元気に育つ。
・7種類のバナナの樹を植え、バナナの葉っぱを地面に置くことで、ミミズがよく育ち、土壌が豊かになる。
・アイスクリームビーンを植えることで、土壌の窒素含有率を改善できる。

実験を重ね、今の姿になっています。

今回の滞在では、茶摘みから、市販の茶葉になるまでの全ての工程を体験させて頂きました。全て手作業です!!

☝︎茶揉みも手作業で丁寧に行います!思ったより力が入り、手が痺れてます笑

ここの紅茶は独特なフルーティーな甘みが特徴です。
フィニッシュは優しく、春の光に包まれたような、夢見心地が続きます。

5.誇りがハワイ島のお茶を進化させる

Big Island Teaの現在のお茶の年間生産量はたったの20キロです。

なぜ20キロしか生産しない農家がここまで注目され、世界最高価格のお茶を生み出したのか、Camさんの言葉が印象的でした。

commodityの農業が主流だった時代、価格競争が全てだった。

ただ、その競争を脱出する方法が一つだけあった。

それはself-esteem (誇り)を持つこと。

自分で作った物に誇りを持って、本当の価値を自信をもって交渉すること。
そうすれば、自分の考えていた価値が市場の価値となる。

大量生産から、土壌を活かした個性あるプレミアムなお茶へ。

生産者の弛まぬ努力と、栽培に対するこだわりによって、
ハワイ島のお茶は独自の進化を遂げてきました。

自然溢れるハワイ島のお茶は、生産者のハワイ島への愛と、商品に対する誇りの結晶でした。

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Extreme MatchaというExtremeな場所で茶を点てる活動をしています。

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