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サマソニ大阪綺譚【前編】2019.8.16金曜日~音楽の話はしないよ~

結論から言うと、サマソニ大阪にはもう行きたくない(笑

いやこれは子供を置いて、一人で大阪くんだりまで行った私に対する罰なのかもしれない。総合的に見れば「散々だった」というほどのこともないのだけれど、サマソニというフェスは何分東京でもほぼ同じ内容で見れる。

そう思うと、「今後は大阪では行きたくないな」と思う程度には苦い思い出であったのだ。


■SUMMER SONICとは

『サマソニ』とは正式名称は『SUMMER SONIC』といって、大阪東京で同時に開かれる国内でも指折りの大規模音楽フェスだ。基本的には海外アーティストがメインだけど、最近は邦楽アーティストも沢山でる。

今年の出演者は、国内勢で言うとヘッドライナーも務める「B’z」や、映画も絶好調の「RADWIMPS」、メタル界の星「BABYMETAL」など。洋楽勢では、稀代のオルタナティブロックバンド「WEEZER」や世界最高峰とも言われるバンド「RED HOT CHILI PEPPERS」等々が出演している。

そして長年このRED HOT CHILI PEPPERSこと「レッチリ」を愛して止まないのに、一度も見たことがなかった私としては、いい加減見ておかないと死ぬに死ねない。

そんな切実な思いがサマソニ参戦を決断させたのだ。


■初手からして災難ははじまる

しかしこの日に限ってはとにかく災難続きだった。
そもそもの始まりは台風だ。

遠く北海道の音楽フェス、『RISING SUN ROCK FESTIVAL』は、この同じ16日の開催キャンセルを早々と発表。
大阪であれば台風が過ぎ去った後だと思われるけれど、サマソニの開催がどうなるかは直前までわからない状態が続く。前日までにわかった情報は、「設営を台風が過ぎ去ってから行うとのこと」「基本的にはやる方向で考えていること」。その二つくらいだった。

中止になれば、払い戻しもないしダメージは大きいけれど、どうやら前向きのようだし、私は一番最後のレッチリが見れればいいから出発もゆっくりのつもりだ。中止ということなら、そのアナウンスがあるときには多分まだ家にいるくらいだろう。

そんなわけで私はなめていたのだ。
サマソニ大阪という魔物を。

朝になってまず入ってきた情報は

「サマソニ東京のビーチ・ステージは中止する」

というもの。海辺のステージだし東京はまだ雨風も強かろう。ここが中止になるのはやむを得まい。今のところ他の情報はない。つまり、今日の大阪公演自体が中止ということはなさそうだ。

だが、そう思ったのもつかの間。

ナオト・インティライミなど、トップバッターだったはずのアーティストのキャンセルの情報が入ってくる。理由は「ステージの設営が間に合わないため」というもの。
キャンセルと言うとアーティスト側が辞退した、みたいに聞こえるな、とか設営が間に合わないなんてそんなことあるんだな。台風が過ぎさってからの設営なので、遅くなっても仕方がない。でも、開催したからにはそれなりに間に合う公算なのだろうし、多分大丈夫だろう。

そんなことを悠長に考えているうちに、もう10時くらい。
そろそろ家を出ますか、と私は重い腰を上げたのだった。


■サマソニ大阪は前科者

しかし、そこから次のアーティストもキャンセルという情報が入ってきたあたりで雲行きの悪さを感じはじめる。理由は同じく「設営が間に合っていないため」。これは思ったよりもおおごとかもしれない。

加えて、先行していた友人の情報によるとシャトルバスに乗るまでに1時間待たされたらしい。やっと乗れたと思ったら、そこから本来30分程度で到着の予定が、渋滞で1時間半かかったらしい。シャトルだけで2時間半だ。

それだけではない。

物販が始まるのも遅れたようで、炎天下で2時間の間、物販の列は一切動かず。その間に、お目当てのアーティストのキャンセルもくらい、最終的に友人が熱中症で救護室に搬送されたとき、この踏んだり蹴ったり具合には同情を禁じえなかった。

頭をよぎるのはサマソニ大阪2016の悪夢。
そう、私は行っていないけれど、実はサマソニ大阪には前科があるのだ。

物販やシャトルの待ち時間が酷くて、帰宅難民も発生した模様。
もちろん年々改善はされているのだろうし、今年は台風なので仕方ない面はある。でも、この前科がなかったら、もっとサマソニ大阪を信頼していた気がするし、ここまで私の信頼を損ねることもなかっただろう。


■重い腰のおかげで幸先は良好

さて。

いくら私の見たいアーティストが後半にしかないから慌てていないとはいえ、シャトルで2時間半も待たされるは普通にイヤだ。

かといって、他の方策があるわけでもなし。
諦めておとなしく最寄駅まで向かおうとする途中。「タクシー相乗りしませんか?」のつぶやきを発見。あら、まさに今いる駅からという話ではないですか。見ず知らずの人で、普段なら見向きもしないと思うけれど、シャトルで2時間半待たされるのはイヤだし、えいやーでこのつぶやきにのっかることにする。

来た人は爽やか青年。コミュ力高いし、話したらこれがまた色々ビックリで面白かったけれど、ここに書くのははばかられるので割愛(笑

なんにしても、これは大正解だった。
今日、既に何往復もしていると言っていたタクシーの運転手さんは空いた道を選んでくれて、最後まで渋滞もなくスムーズに到着。値段もこんなもんか、という値段。シャトルに並ぶストレスを考えれば安いくらいだろう。大満足だ。

これは幸先がいい。
ただこの行動が、後の伏線になってくる。

無事会場に着き、彼とは別れてまずはリストバンドの交換。

その後、レモネード片手にふらふらしていると、すぐ右手でホルモン2号店のコロナナモレモモがやっている。本家でないとはいえ、知っている曲が聴けると楽しい。設営が追いついていないのは、メインステージと2番目に大きいステージで、それ以外の小さなステージは遅れなく始まっているのだ。

では、遅れているメインステージはどうかというと、またまたキャンセルが発表されている。私は、今日は「最悪レッチリが見れれば満足、欲を言えば3時半からのランシドが見れたら嬉しいなぁ」というのが当初の思惑。

そして、その段階ですでにランシドの直前のアーティストのキャンセルも発表される。これはダメか……という思いを胸に、ひとまずメインステージに向かってみる。しかし3時20分になっても、いまだ楽器ひとつ並んでいないどころか、後ろのLEDすら整っていない。

これは無理でしょ……絶対3時半には始められない。

それこそ「レッチリだけ見れればいいや」と言うのは、半ば冗談だったけれど、ここまでくると何の冗談でもない。いやレッチリすら見れない可能性だってあるのではないか?

私がここに来てやったことと言えば、レモネードを1杯飲んで、からあげクン(レギュラー)を食べたのみ。物販も何も買っていないどころか、聞いたのはさっき横目にしたホルモン2号店の音漏れのみ。


……ビール飲んで帰った方が有意義なんじゃないの?

そんな気持ちにすらなってくる。偶然今日は梅田に敬愛する塩谷舞さんが来ているというではないですか。17時からだったと思うので、今から抜けたら丁度間に合う……そんなことばかりが頭をめぐる。そして時間は既に4時に迫ろうとしている。

流石に私はゲンナリしていた。


日差しはあるものの、風が強くてそれほど暑くないことだけが唯一の救いだった。


(後篇に続く)


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