見出し画像

【網代の干物にこだわりを持つ】 小澤商店 店主 小澤さんへのインタビュー

みなさんこんにちは~!
私たちは地域再生やまちづくりに興味がある大学生3人組です!今年の10月から静岡県熱海市・網代地域に拠点を置いている『あじろ家守舎』さんでインターンを始めました。
 そんな『あじろ家守舎』さんは、南熱海のコンテンツを活用し、魅力向上と網代の地域活性化に寄与し、住う人や訪れる人が南熱海に住んで、来てよかったな〜と実感して頂けるような街を築くために活動している団体です。
 こちらのnoteでは、そんな網代を拠点に活躍、商売をされている方々へインタビューを実施し、その人がなぜ網代を選んだのか、網代地域の魅力についてお話しを聞いて皆さんへ共有していく内容となっております。本日は大学生いぐっちゃんから記事をお届けします。

【日本有数の漁業地!?】多種多様な魚介類が生息する相模灘


日本は海に面している島国で各地の港から漁業が行われていますが、神奈川県真鶴半島から静岡県伊豆半島の南端である石廊崎は相模灘と呼ばれており、日本の魚類の3〜4割の種類はこの相模灘で捕獲することが出来て、同じく網代港もその漁港です。
本日のインタビュー先は、漁師や加工業にとって恵まれた網代の土地で長く、網代港で水揚げあれた魚類を仕入れて、干物などへ加工、そして熱海市内の旅館などへ卸している小澤商店の小澤 紳一郎《こさわ しんいちろう》さんへインタビューさせて頂きました。

【網代の名物!?】魚の美味しさを最大限に活かした干物づくり

実は網代って干物の名産地ってご存知でしたか?
皆さんは普段の食事で『魚の干物』を食べていますか?干物の一般的なイメージとして、食べづらい、焼くのが面倒くさそうなどが挙げられますが、今回のインタビューを通じて『干物』に対してのイメージや、小澤さんが干物に対して真摯と向き合い、生まれた網代の地で営まれていると感じたことを記事にしています。ぜひ最後までお付き合い頂けると幸いです。

網代名物の干物

【電車や車でアクセス抜群!?】

網代港真横の『干物銀座商店街』


--本日はインタビューよろしくお願いします。


小澤 よろしくお願いします。

--始めに小澤さんの自己紹介をお願いします。

小澤 はい、小澤 紳一郎です。この網代で生まれ育ち高校卒業までは網代地域に住んでいました。高校卒業後は一時期よその地域で暮らしてましたが、『小澤商店』を営んでた親父が体調崩したのをきっかけに、22歳のときに網代へ戻ってきました。

--なるほど。それがきっかけで網代へ戻って来られたんですね。それから小澤商店を引き継いで今まで経営されてきたんですね。

小澤 そうですね。もう親父から受け継いで40年近くになりますね。網代地域に生まれ育ったこともあり、今日のインタビュー前に網代地域の昔と今の様子を少し振り返ってました。

ーーそれはとても気になります!ぜひ40年前当時の網代地域の様子を教えてください。

小澤 一番印象的なのは、『干物銀座商店街』のことですね。

かつて40店舗以上の存在していた『干物銀座商店街』

ーー今日JR網代駅からここへ来る道中も商店街の横を歩いてきました。

小澤 JR網代駅からおよそ徒歩5分ぐらい歩くと国道(国道135号線)があり、その国道沿いに商店街があります。そこの商店街は網代漁港の真横に位置しており、網代漁港で水揚げされた魚を加工し、干物を売る商店がたくさん軒を連ねていたことから『干物銀座商店街』と呼ばれるようになりました。そこで売られる干物を目当てに、多くのお客さんが国道の路肩に車を停めて干物を買う光景が広がっていました。

ーー新鮮なお魚とか干物が漁港の横ですぐ手に入るから商店街はすごく魅力的な場所だったんですね。

小澤 全盛期はなんと40店舗以上のお店がありその光景はまさに圧巻でした。現在は残念ながら4店舗にまで減少してしましたが、今でもその当時と変わらない網代の美味しい干物が買えるのでぜひ網代へお越しただいた際は寄ってみてください。

昔を懐かしみながら語る小澤さん

【江戸時代から続く大漁港だった!?】

網代港の全盛期

ーーなるほど、そんな国道に面している網代漁港ですがどんな漁港か教えてください。

小澤 網代漁港は昔から定置網漁がかなり盛んに行われていて、網代漁港も現在よりも2倍以上の規模があり網代地域で出資した会社によって運営されていました。昔と比較して漁の規模が小さくなっているますが、魚の美味しさは今でも変わりませんね。

ーー網代漁港ではどんなお魚が獲れるのですか?

小澤 網代では相模灘の恩恵によってたくさんの種類の魚が獲れます。アジやサバ、イカがメインな他、タイやカマス、イナダなども獲れるんですよ。昔のエピソードで、ウマズラハギが大漁に獲れる時期がありその時は網が壊れるのを防ぐために逃していた程です。ここ最近ではアジやカマスがかなりたくさん獲れています。

ーーなるほど、漁業の歴史が深く色々なお魚が獲れることが分かりました。

小澤 そうですね、ただ昨今獲れる魚の種類も地球温暖化の影響で、今まで網代近海で獲れなかった魚も出現するようになってきました。網代港では時代の変化に対応して漁を行っており、私たちも合わせて魚を加工し販売を行っています。

熱海市の日曜朝一に出店している小澤商店

【小澤商店のこだわり】網代地域ならではの干物作り

ーー小澤商店さんのお仕事について教えてください。

小澤 私たちは朝一、網代漁港で水揚げされた魚を仕入れて加工し、販売を行っています。その中でも干物作りを主に行っており、網代地域ならではの製法によって作っています。

小澤商店の外観

ーーぜひその製法について聞いてみたいです!

小澤 主に2点あり、一つ目は天日干しによって干物を作っています。

ーー今日『干物銀座商店街』を歩いている時も天日干しで干物が置かれている光景を見ました。

小澤 その光景ですね。私たちの中では日常的な光景ですが、実は地域によってこの『天日干し』が条例で出来ない地域があったり、衛生面を考慮して避けている業者も存在しています。

ーー確かに、他の地域ではあんまり見ない光景だったと感じました。

小澤 この『天日干しされた干物』を目当てに網代へ来てくれるお客様もいるぐらい人気ですね。天日干しが出来ない地域では『機械干し』によって干物が作られていますが、やはり『天日干し』でしか出来ない干物の美味しさがあります。

ーー小澤さんが感じる天日干しの魅力について教えてください。

小澤 そうですね、天日干しは直接太陽の光によって乾燥させるので、色合いが太陽みたいに黄色っぽくなるのが、天日干しされた干物の特徴ですね。また、機械干しと比較してしっかりと身の芯まで乾燥されるのが天日干しの強みです。干物は身まで乾燥されないと水っぽくなり日持ちが悪くなります。そして焼いた時も身がほぐれやすくなり、あまり美味しくないです。

ーーなるほど。網代で獲れたお魚で天日干しされた干物はすごく美味しそうですね。

小澤 間違いないです。美味しい干物作りは天日干しだけではなく、それに使われるお魚の質の良し悪しにも左右されます。ご存知の通り、網代は恵まれた相模灘の環境の中で非常に質の良いお魚がたくさん獲れています。それが故に、魚にもこだわって干物作りを行っています。

ーー天日干しの干物の魅力を教えて頂きましてありがとうございました。それでは2つ目のポイントを教えてください。

小澤 はい、私たち小澤商店で作られている干物には『保存料』や『着色料』が使われていないところです。

ーー保存料や着色料と聞くとあんまり良くないイメージがあります。

小澤 そうですね、天日干しされた干物の消費期限は長くても4日程度ですが、保存料を使うと1週間程度となり、ほぼ倍の期間を保存出来ます。
また、例えばみりん干しを作る際、ある地域ではコストを低く抑えるために、みりんに漬ける時間を私たちが行う1/6程度にして、魚の表面に色合いを見せるために着色料が使われていたりします。小澤商店では素材本来の味を活かすために、創業当時から着色料や保存料を使わない干物作りを行っています。

ーー小澤商店さんの干物に対する拘りが理解できました!

小澤 ぜひ『本物の干物』が食べたい方は網代へいらしてみることをオススメします。

干物に対して思いを語る小澤さん

【昔と今を比べてみる】

網代地域の変化とは

ーーここからは小澤さんが生まれ育ったこの網代について教えてください。

小澤 そうですね、大きな変化といえば網代地域の人口減少をすごく実感しています。私が小学生の時は、学年ごとに60人もの生徒がいて多くの子どもが網代地域に住んでいました。
しかし、網代中学校は15年以上前に廃校となり、唯一の学校だった網代小学校も最近廃校となってしまいました。

ーー地域に子どもの姿が減ってしまうのって悲しいですね。

小澤 それと並行して地域内の高齢化も進んでおり、空き家の数が増えてきているのを実感しています。

ーーそうなんですね。一軒家の家がたくさん並んでて多くの人々が住んでいるように見えてました…。

小澤 実は網代地域は、駅(網代駅)まで坂もなく徒歩15分ほどですし、国道もすぐそばにあり、電車や車からのアクセスがし易い場所です。廃校になったしまった網代小学校は体育館やグランド、食堂があり、網代中学校はプールなどの設備も残っていますので、色々なものに活用できると思っています。

ーー網代地域内には、魅力的な飲食店があると感じました!

小澤 そうですね。網代地域は昔からあった老舗の飲食店から、最近オープンした飲食店まで幅広く存在しています。特に海鮮を提供している飲食店は朝一に網代港で水揚げされた魚介類を新鮮な状態で提供しています。

ーー港が近くにあるからこそですね。地元である小澤さんのオススメの飲食店を教えてください。

小澤 私がよく行く飲食店は、『笑ぎょ《しょうぎょ》』さんや『味里《みさと》』さんへよく行きます。どちらも網代地域の中にあり、お店の雰囲気が良く、地元の友人たちと集う際は必ず行きます。しかも、朝獲れ地魚を提供しているので、地元の方から、都心の旅行者まで幅広い方に愛されています。

【網代の人口の4倍の人々が集まる日!?】 網代最大級のお祭りとは


小澤 そうですね、やはり住民の方達の人柄の良さを凄く感じますね。例えば、すれ違った時に気さくに挨拶をしてくれるところですね。当たり前のように感じるが、やっぱりコミュニケーションが盛んに図ることが出来るので魅力だと思います。

--なるほど、挨拶されて嫌な気持ちにならないですよね。

小澤 また、網代地域で毎年7月に『網代ベイフェスティバル』というお祭りが開催されます。網代漁港横の広場を会場として、和太鼓演奏や山車が練り歩き、普段の網代とはまた違う雰囲気で盛り上がっています。このお祭りの開催期間になると、網代を離れた人々が地元に帰ってきて、一気に賑やかになります。


--みんな帰ってきてくれるって嬉しいですね。

小澤 上京とかでみんな離れちゃってもやっぱり網代のことが好きだから帰ってきてくる、街への愛を凄く感じます。
その時は、網代地域の人口は普段の4倍にもなります。

--なんとそんなに多くの人々が集まるのですね!

小澤 網代地域には子どもが少ないですが、この時期になると子ども達の姿も多く、老若男女問わず街中に溢れていて微笑ましい光景が広がっています。このように網代から離れちゃってもまた帰ってきやすい雰囲気が浸透しているのが網代の魅力と言えます

--網代の昔と今を知れた素晴らしい機会でした。ありがとうございました!

小澤 こちらこそありがとうございました。ぜひ人の温かみを感じれる網代へ興味を持って頂けたら幸いです。


以上、小澤商店 店主 小澤 紳一郎さんへのインタビューでした。

皆さんいかがだったでしょうか?「網代」には興味を持ってくれましたか?

一度生まれ育った網代の土地を離れてまた網代へUターンされてきた小澤さんのインタビューは、昔と今の網代を知っているからこそ網代の人々の様子がすごく伝わる内容でした。

「小澤商店」は、定期的に全国各地で促進販売イベントを行っています。ぜひこちらのリンクからイベントを確認して頂き、網代のお魚を食べる機会を見つけてみるのもいいかと思います。

これからも網代地域に移住してきた方や、網代で商売を営んでいる方などのインタビュー記事をnoteで投稿していく予定なので、是非フォローしてチェックしてみてください〜!

インタビュー後に集合写真に応じて頂いたインターン生との集合写真

次回予告 from みう

次回は…
今年、網代にオープンした

宿  ・  カフェ  ・  着物レンタル!

衣食住が揃う、
網代の新たな起爆剤「hanabi」
及び、宿「海と温泉の宿#石田節子」のオーナー
石田節子さんへのインタビュー記事です!

hanabiで着物レンタル体験をさせて頂いたときの
お写真。石田節子さんと。

都内で着物スタイリストやクリエイターとしても
幅広く活動されている石田さん。

そんな石田さんが
なぜ網代に宿を!?カフェを!?着物レンタルを!?  
いくつになっても挑戦を忘れない
石田さんの新たな挑戦についてお話を伺いました。
石田さんをも魅力する、網代の魅力とは…?
次回の更新もお楽しみに!

筆者コーナー
今回の小澤さんのインタビュー記事を担当した『あじろ家守舎』インターン生のいぐっちゃんです!今回の記事はいかがだったでしょうか?
小澤さんへ直接訪問し、インタビューでさせて頂きましたが、網代地域の漁業について深く知れたのかなと感じました。また小澤さんが網代へUターンされて来てから地域の変化や、実際にその地域で商売をして感じた網代地域の魅力について沢山お話しして頂き、網代を新たなライフプレイスに位置付ける価値が見い出せたのかなと確信しています!
ぜひこれからも色々な方へのインタビューを通じて網代地域の魅力を届けます!

インターン生 いぐっちゃん





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?