19.The Sun(太陽)

確信・生命力・自己の開放

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「死(Death)」がタロットの「抗えぬ闇」であるならば、対するのはこの「太陽」の暴れん坊とも言えるほどの生命力となります。私もこのカードの示す生きる事に対するポジティブさを忘れぬよう、こっそりスマホの待受に設定しているカードでもあります。太陽の力をあやかる、というよりは、太陽の存在を忘れることなかれ、という意味合いの強い絵柄として私は認識しております。

真反対の意味を持つアルカナ「死(Death)」と共通の象徴、「白馬」、「旗」が強く意識された絵柄です。ただし、「太陽」の場合馬に乗るのは無防備な裸の子供であり、「死(Death)」の時には果ての世界に見えていた光はすぐ真上に描かれ、まっすぐなその表情すら見ることができます。赤い生命力に満ちた旗の色の後方に見える壁の向こうにも、不安な陰はみられません。太陽に良く似た、大きなひまわりの花畑が広がっています。

つまり、「希望は今、ここにあり」のカードと言える強力なシンボルであり、非常にポジティブで活力に満ちた意味を持ちます。「星(Star)」が「いずれ来る希望」を示すものであるなら、それのはたされる時がこのカードに集約されるでしょう。なにせ、地球から見る星の光は、太陽の光を反射しているか、それに劣るものに過ぎないからです。

「月(The Moon)」や「女教皇(High Priestess)」など抽象的で曖昧な意味を持つカードを引いた時に比べ、このカードは示すものを本人もすぐに確信するほど分かりやすい感覚であるはずです。

「太陽」は古来から神話において必ず重要な存在として崇拝されるものであり、ほとんどの多神教の神々の中でも主神となり、正義や愛を司ります。太陽を超える光は、この世界にはあり得ないものです。

つまり「明日を約束し、それを必ず果たす秩序」を超える真理はこの世にあり得ず、誰もが心の底から信じることのできる、ある種の秩序のことを表すシンボルともなり得ます。その内容については、それぞれの信心による事と思いますが感覚として人間が共有するものとしてもわかりやすいものだと思います。

「憂鬱」、「衰退」、「迷い」とは対立するカードですが、「失敗」や「崩壊」を意味する「塔(Tower)」のカードとの組み合わせで現れた時には「ある衝撃的な経験ののちの気づき」として表現されます。それがどんな経緯であれ、その先にあるのは本人にとって重要なことであり、決して後悔のないものであることが約束されているでしょう。

リバースを読み取るなら、目標に対して体力の不足、決定力に欠けているなどの障害が表れていると見るのが自然でしょうか。

理屈より直感的、感覚的な意味を持ちます。太陽の光に例えられる希望がどんな強さを持つものかは、その人の人生経験による価値観に依存します。(どんなカードでもそうなのですが…)

このカードを然るべき位置に置くためにこそ、人生の中での「経緯」は意味を為すという事です。そしてその先にあるのが「世界(The World)」の「完成体」であると言えます。

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