とある病気に罹患した時の話【5】

【前編はこちら】
とある病気に罹患した時の話【4】

休職が開始したのは良かった事のはずだった。でもこれまで普通に出来ていた事が一切出来なくなった事を知った時、この状況から抜け出せるイメージは全く持てなかった。一生このまま辛い思いをして生き続けなければならないのか。恐怖でしかない。ゴールの無い道。ゴールの見えない日々を送り続ける事。道を指し示してくれるものは何もない。そんな中でどう生きる。生きられる。生きられない?そんな事ばかり考えていた気がする。

まず普通の生活をまともに送る事が出来ない。朝、顔も洗えない。歯も磨けない。風呂にも入れない。子供の頃から習慣付いた事が出来なくなったわけで、これが毎日続く。でもやろうとは思えなかった。そもそも考えられなかったというほうが正確かな。

ご飯も食べられなかった。食べたくなった時に食べてはいたんだけど何を口にしても美味しくない。味付けがどうこうとかの次元じゃない。そんな状態なので食べようとは思いもしない。

夜も眠れない。寝る前に薬を飲むんだけど寝られない。夜、布団に入って寝に入るまでに数時間掛かる事はザラ。寝て起きても薬の副作用で眠気とダルさが酷い。気付けば朝の5時6時になっている事もあってその頃には身体が疲れ切っているので布団に横になると気絶するように寝るんだけど、起きたら薬の副作用で後略。

他にも色々とあるが人間の三大欲求と呼ばれている物は全く欲さず求めずの日々。人として当たり前に欲する物を欲さない。

動けない。食えない。寝られない。無理に寝る。起きる。動けない。食えない。寝られない。以下無限ループ。毎日がこれの繰り返し。

これが生きていると言えるのだろうか?時間は有限なのにいたずらに時間が過ぎて行く。俺は何をやっているんだ。答えの無い自問自答を繰り返すばかり。そんな事に思考を割いているので何も前には進まない。ただただ過ぎて行く日々=地獄のような日々というわけだ。

続く。

とある病気に罹患した時の話【6】

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