徹底検証『週刊ダイヤモンド 2016年総予測』は当たったか?-為替編-
これはすでにnoteで書いた、徹底検証『週刊ダイヤモンド 2016年総予測』は当たったか?-世界経済&国内景気編-のシリーズです。こちらも併せてお楽しみいただけると幸いです。
巷にあふれる予測本を徹底検証していくのが当マガジンです。今回は『週刊ダイヤモンド 2016年総予測』のP42~P43の為替の予測を検証します。つまり、2015年末に予測した2016年の為替です。
ここで予測するのは円/ドル、円/ユーロ、FFレートです。FFレートだけ少しなじみがないかもしれませんので定義を書いておきます。
FFレートとは、フェデラル・ファンド(Federal Funds)レートの略で、連邦準備銀行(アメリカの中央銀行)に預け入れる無利息の準備金(フェデラル・ファンド)が不足している銀行が、余剰の出ている銀行に無担保で資金を借りるときに適用される金利を指します。
FFレートが成立する市場をフェデラル・ファンド市場といい、日本のコール市場に相当します。
アメリカは、連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、連邦準備銀行の準備金の需給を調節し、FFレートの誘導目標を変更することで、金融政策の決定をしています。
(引用 SMBC日興証券ホームページ)
エコノミストの予測
では早速各エコノミストの予測を見てみましょう。
円ドル予測は一番円安を予測しているのが135円の池田氏。一番円高を予測しているのが114円の亀岡氏ですね。その幅は21円です。
円ユーロ予測は円安予測は136円の唐沢氏、円高予測は115円の田中氏です。これまた幅は21円。
FFレートは最少は0.625の亀岡氏、最大は1.25の池田氏、深谷氏、植野氏(幅あり)です。倍近いポイント差ですね。
日銀追加緩和は高島氏以外は「しない」と予測しています。徹底検証『週刊ダイヤモンド 2016年総予測』は当たったか?-世界経済&国内景気編-でも追加緩和の予測はありましたが、こちらでも7名中6名が「しない」と考えていました。
ドル円の実績
では実際はどうだったかを見てみましょう。
まず円ドルレートは116.49でした。年間平均は108.84です。
推移チャートは次のようになります。記事執筆時点までの推移データが示されていますが、2016年を赤い枠で囲っています。
これを見ると2016年は円高方向に推移しながら、後半に円安に向いていったことが分かりますね。だから年平均が108円に対して年末は116円になっているわけです。
ユーロ円の実績
続いてユーロを見てみましょう。
2016年末は122.7円です。年間平均は120.33です。こちらもチャートを見てみましょう。
傾向としてはドル円と似ています。2016年に入って円高方向に進んでいき、年末に円安に向いています。
FFレートの実績
FFレートは政策的に決められるものなので、何かの取引をベースにリアルタイムで変動するわけではありません。
2016年に関しては2015年12月より0.25%から0.50%に引き上げられたのを引き継ぎながら、2016年12月に0.75%にさらに引き上げられました。
外為ドットコムのサイトで、各国の政策金利の推移を見つけましたので、下記に引用します。日本との比較も見れて面白いですね。
誰が当たった?
エコノミストの予測の検証をしてみましょう。
円ドル相場は唐沢氏が最も正解に近い予測でした。実際は116円でしたから、これより円高に予測したのは唯一亀岡氏の114円。それ以外のエコノミストはすべて実際よりも円安に予測していました。2016年はの平均が108円だったことを考えると、エコノミスト諸氏は傾向自体を外しているとみていいでしょう。
円ユーロは深谷氏と亀岡氏が最も正解に近いですね。実際が122円でしたからこれより円高に予測したのは田中氏ただ一人。円ドルもそうですが、皆さんどうも円安方向の予測傾向がありましたね。
FFレートは正解が村田氏と唐沢氏。実際の0.75%より低く予測したのは亀岡氏だけです。他の方は基本的には金利を上昇傾向に予測しています。
日銀の追加緩和に関しては、徹底検証『週刊ダイヤモンド 2016年総予測』は当たったか?-世界経済&国内景気編-で書いていますので、そちらを参考にして下さい。追加緩和を予測したのは高島氏だけです。
予測の傾向としては、「米国の利上げにより資金が米国に流れていき、その結果円安が進み、それにつられて対ユーロでも円安が進行する。円の価値維持のために追加緩和はできないだろう。」という感じでしょうかね。
それにしても世界経済&国内景気編に続き、今回もエコノミストの皆さんには盛大に予測を外していただきましたね。
参考ですが、円ドル、円ユーロの予測をプロットしたものを作りました。
予測値の傾向と実態がいかに乖離しているかがよくわかるでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考サイト
外為ドットコム
FFレートの推移
JIJI.com
米国政策金利の推移
皆様のお役に立てるよう日々邁進してまいります!