「イヤーワン」 蝸牛くも『ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン』:創作のためのボキャブラ講義18

本日のテーマ

題材

『ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン
これは、彼がゴブリンスレイヤーと呼ばれるようになる物語。
大人気ダークファンタジー「ゴブリンスレイヤー」前日譚を驚愕的コミカライズ!

(Amazon宣伝文)

意味

イヤーワン year one
 一年生。一年目のメンバー等のこと。


解説

作品概要

 前回紹介した作品『ゴブリンスレイヤー』の前日譚に当たるのが本作。ゴブリンによって村を、そして唯一の肉親である姉を殺された主人公が修行を終え、冒険者としての最初の一歩を踏み出す話である。

 本編でこそ銀等級、つまり在野の冒険者としては最上級の主人公だが、当然下積み時代がある。ある師匠のところで修業したとはいえ、まだひよっこだしゴブリン相手の戦闘にもなれていない主人公が戦い方を学んで成長していく。本編が精神的な変化を主として描くのに対し、純粋に冒険者としての成長が描かれるのが本作である。

語義

 一年目、一年生を意味する言葉で、タイトルに当てられているのが今回のテーマ。いわば「オリジン」などと同じく、本編の前日譚であることを意味する言葉だ。

 イヤーワンやオリジンといった主人公、あるいはヴィランの始まりを描く前日譚は、特にアメコミではどうやら重要な意味を持つらしい。この辺は特定のヒーローを擦り続けるアメコミ文化の性質が大きく影響していそうだ。

 いわゆる外伝商法の一幕でもあろうが、こうした前日譚は本編と切り離すことで本編を無駄に長大化させることを避け、同時にコアなファンには新しい物語と世界観への深みを提供できるという利点もあるだろう。

情報

作品情報

蝸牛くも・栄田健人『ゴブリンスレイヤー外伝:イヤーワン』(2018年3月 スクエアエニックス)

リンク


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?