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PMSでベルリンまで来て何もしない

人間の体っていうのは本当によくできているなあと思う。恒常性というのか、体の外側の環境…温度や湿度や光が変わっても、体の中は同じ状態をできるだけ保とうとする力が働いているらしい。海外に来て、耳にする言語、目にする人々の身体的な特徴、眠るベッドの柔らかさ、使用する通貨、食べ慣れないよくわからない野菜、毎日振り絞る勇気の量が変わっても、あまりにも「私は私」すぎて、ちょっとがっかり、ちょっと嬉しい。

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(生理の話をしますので苦手な人は猫でも見ててね)いきなりだが私は内分泌系の病気持ちのくせに、生理周期は正確そのものだ。一ヶ月に一週間の出血がだいたい予測通りにくるのもそうだが、前後の生理前鬱(PMS)、寝込むほどの頭痛、排卵痛、伴うだるさ、吐き気などなどは20歳を超えたあたりから無遅刻無欠席の優等生だ。というか、逆に生理に関連する症状が何もない日の方が、月に一週間あるかないかくらいだ。

それらは誰に似たのかあまりにもマジメに職務を全うするので、今、計6週間のノルウェー・ドイツ一人旅の敢行中にも、いつもと同じ調子でやってきている。
今、私はこの文章をドイツ・ベルリンの宿泊中のホステルで書いている。自分でも驚いている。まさかこの数ヶ月間忘れていたnoteをベルリンで書く事になろうとは。
もう午後2時半だが勿体無い事に一歩も外に出ていない。

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6人部屋のドミトリーの他の子達はもちろん各々観光を楽しんでいる事だろう。でも私は…いや無理なのだ。だるい、眠い、めまい、体が痛い、気持ちが悪い、外が怖い、観光に興味とやる気が出ない。

そしていつものアレだ。
『そうやってちょっとだるいからって甘えて、面倒くさいのを生理前のせいにしているだけなんじゃないの?』
自分、なのか違うのかわからない、限りなく自分に近い声。今回はせっかくの海外という事でスペシャルバージョン。


声『もったいない。なんでもっと色々見てこなかったの?って言われちゃうよ。この一泊にいくらかかっていると思ってるの?清掃に来たおばちゃんもなんでこのアジア人、こんな昼間に部屋にこもってるのかしらって訝しんでるよ?』

私「う、うるせ〜〜〜〜立って歩くのにフラフラしてんだ、交通量の多い街中を歩けるわけないだろ〜〜〜〜!知らない土地で助けてくれる同行者もいないんだ、途中で動けなくなったらどうするんだ!そもそも、外に出たくない!」

こんな調子で脳内会議(踊る、されど進まず)であり、生理関連もそうだが、この「心の声的なもの」も私にぴったりとくっついて離れないものの一つらしい。

ちょっと前までは道を歩いていたらいきなり『死にたい』とか言い出すのでビビると同時に「え!?私死にたいんだっけ!?」と自分の言葉と混同してて精神的にきつかったが、最近は「『死にたい』って言ってる。私何かが辛いらしい。」といったん受け止めた後、対策に乗り出せるようにもなったので、えらい。薬のおかげもあるけれど、実家にあったマインドフルネスの本をパラ見したのが良かった。今度ちゃんと全部読もうと思う。

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この旅の出発前は、住んでいる東京の人口密度の高さと、自然との乖離した環境に影響されて体調やメンタルがやられているから、環境を変えればマシになるかもしれない、なーんて淡く期待していたわけだが、おい私、6週間じゃ体は変わらねえよ。2年とか住めば別かもしれないけど。東京でライザップ行った方がまだ結果にコミットできると思うぞ。

体は簡単には変わらない。でも思考回路は変わるのかもしれない。海外の知らない街を歩いていると、なぜかいろんな意味での自分の弱さを実感して「認めたくないこともあるけど頑張って向き合って、それでもう少しだけ理想に近づくには、なにができるかな?」というように思いになった。冷静で前向きな思考だ。日本に帰ったら忘れちゃうのかな、忘れたくないので、ちゃんとここに書いておく。

今日はこのまま何もしない1日になりそうではあるけれど、気分がこれ以上落ちないようにするには、どうしたらいいか、を考えた結果、「文章を書こう。食欲はないけど昨日買ったブルーベリーは食べたいから食べよう。ついでにホステルの写真も撮っておこう。」と思い至り、そして実行できたのでもうよしとする。 

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また眠ろう。他のルームメイトがいない一人のうちに、深く深く眠って、あと残り2週間の旅が楽しいものになるように備えるのだ。

お読みいただきありがとうございます。今日も生きます。