標識の話

道路標識と言うものがある。全国すべての道路にあるありふれたもので、基本的にはわざわざ話題に出すようなものではないものが殆どだ。
今回はそんな標識の中でも筆者の記憶に残っている標識の話をしたい。
まずは群馬県で見かけた、“硫化水素ガス発生地点 この先立ち止まらずに通過してください”、文字通り止まると最悪死ぬ、基本的に風が吹いているのでそこまで高濃度になることは少ないと言われているらしいが…稀に無風の日もあり、死亡者もいる。
ちなみに車の中にいても臭気を感じたので、きっとその時はそれなりに濃度があったのだろう。「ここでエンストしたら死ぬんだな」とドキドキしながら通過する事になった。
次は埼玉県の中央やや東で見かけた“!”(補助標識なし)の標識だ。
これは農道の真ん中に立っており、周囲に注意すべきものがないように思えた。
あまりにも気になったので通りかかった当時にわざわざ車を降りて周囲を観察したが、やはり注意すべきものは何も見つからなかった。
強いて言えば道幅が若干狭いが、やはり注意するほどではない。
そこですぐ近くにいた農家の方に声をかけ、話を聞く事にした。
「すみません、少々聞きたいことが…この辺りは、事故が多いとかなんでしょうか?」
「ん?ああ、ちょうどそこだな、市道のとこ」(先ほどの農道と市道が交わる交差点を指す)
「なるほど、すみません、ありがとうございました」
話はシンプルだった、つまるところここは見通しが良すぎるためにコリジョンコース現象が起きていたのだ。
コリジョンコース現象、簡単に説明すると同じ交差点に向かう車同士の速度がほぼ同じだとお互いにお互いが認識し辛くなる現象のことである。
“!”を発見した時には心が躍ったものだが、やはりそう簡単に裏世界は顔を覗かせてはくれないのだ。
そして今回のオチである。
これは千葉県と茨城県の境にある“!”(補助標識なし)だ。
見通しの良いゆるやかなカーブ、交差点はあるが丁字路のみ、そんな道にあるのがこの標識だ。
これに関してはどれだけ調べようと真実がわかることがなかった、こうして文章に書くことも難しいほどに。
確かにここで事故は起こっているが、他の場所と比べて異常に多いというわけでもなく、他に視認性を妨げる構造物もなく、西陽などの条件にも合致しない。
無理に理由をつけるのであれば、街と田園地帯の境目なので濃霧による事故などが起こりやすい、だが…。
他の“!”はたいてい補助標識が付いているか、山道の見通しが悪い部分にあるか、前述した事故多発地帯に存在する。
しかしこればかりはいくら調べても理由が見えてこないのだ、あまりにも奇妙である。
今後何かがわかったらまたこうして駄文を書こうと思う。

そういえば、私は標識を拾ったことがある。
ある晩に散歩をしていたら侵入禁止の標識が道端にポツンと落ちていたのだ。
警察に通報したところ、とりあえず近くにいたパトカーが来てくれて事なきを得た。
一応これに関してその時警察に聞いた話だと、「道路管理者に通報して欲しいですが、警察が管理者のこともありますし、普通はわからないので警察に電話してくれればこちらが道路管理者に伝えて対処しますよ」との事。
今後標識を拾うことがあれば警察に電話してみてるといいだろう。

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