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J新会社 東山紀之氏は、なぜ社長辞退をしたのか?

●ジャニーズ温存体制の崩壊

10月30日の文春オンラインのスクープで、東山氏の新会社社長辞退が明らかになりました。新社長候補は女優・のんのエージェントを担う「スピーディ」社の福田淳社長(58)だと言われています。

まだ旧ジャニーズ事務所は見解を発表していませんが、近日中に発表されるものと思われます。

ヒガシの辞退は、ジュリー氏が構想してきたジャニーズ事務所温存構想、最後の砦が崩れたことを意味するのではないでしょうか。

ジィリー氏はスマイルアップ代表として資産や権利を死守し、新会社は息のかかったヒガシを社長にしてコントロールする、と見られていたからです。

10月30日のスクープは週刊文春としては異例のスクープです。通常は週刊文春発売日である木曜日の前日、水曜日にスクープ速報が流れます。それを2日も前倒ししてオンライン記事を出した。

なぜか、といえばヒガシの動きは他メディアもキャッチしていたからだと考えられます。実際に同日にサンスポ、スポニチといったジャニーズ事務所情報に強いスポーツ新聞が後追い記事を出しています。つまり水面下で激しいスクープ合戦が繰り広げられていたということを意味します。

ご存知のかたも多いかと思いますが、福田氏がマネジメントする能年玲奈さんと週刊文春は所縁ある関係にあります。能年玲奈さんがレプロと揉めて独立したときに、能年玲奈さん擁護の記事を文春は多く出していた。レプロは、ジャニーズ事務所と同等の勢力を持つと言われているバーニングの系列事務所と言われており、テレビ、芸能界に絶大な力を持っていました。能年さんはテレビから締め出され、本名である「能年玲奈」という名前も芸能活動するおときに仕えなくなり、「のん」に改名を余儀なくされます。本名が使えないというのも酷い話です。

のんさんの騒動は、外形的に見るとスマップが、テレビから姿を消しスマップ時代の唄を歌えなくなり、「新しい地図」と改名したときの経緯と似ていると言えるでしょう。


●社長を辞退した3つの理由

ヒガシが新会社の社長を兼務することは大きな問題がある、という事はYouTube『元文春記者チャンネル』でも度々指摘してきました。性加害企業の汚名を返上するためには、ジャニーズ事務所とズブズブだった人では不適格であるというのがその理由です。ヒガシは旧ジャニーズ健在の象徴として新旧会社の社長兼務という立場につきました。しかし愚策に愚策を重ねているうちに、世論という外堀を埋められ、とうとう難攻不落と思われていた事務所の開城を余儀なくされた形になったのです。

ヒガシなぜ社長を辞退したのか?

そこには3つの理由があったと言われています。

1つ目は、タレントしかしたことがない人が社長をやるということは、サッカー選手が大谷翔平のやることは俺でもできる! と言っているようなもので。プロとしてまったく違う職種なのです。

2つ目は社長として、やっちゃいけないことを重ねた。例えば「法を超えた補償」と彼は言いましたがトップの発言として、何を持って法を超えるのかとい点について裏付けのないことを言ってしまい補償への批判が強まった。また旧ジャニーズ事務所はエージェント会社になるグッドカンパニーと、補償会社によるバットカンパニーに分離することで再生を図ろうとしたわけですが、ビジネスの定石としてグッドとバッドを兼務することはありえない訳です。それをやってしまった。

3つ目が最大の理由だと思いますが、妻の仕事に大きな影響が出た。木村佳乃さんは公文式のcmに出ていましたが、不自然に打ち切られた。ヒガシの妻というイメージは、少年への性加害をした企業のプリンスの妻を意味し、子ども塾のcmとしては最も敬遠したいイメージです。さすがのヒガシも妻にまで影響が出たことで、ジャニーズイズムを受け継ぐということはあまりに困難であるということに気づいたのだと思います。

簡単に言えばヒガシはあくまでタレントでは優秀だったかもしれないが、新たな知識とスキルが必要とされる社長業は向いていなかった。退任は必然だった、ということだったのです。


●芸能界改革者、福田氏とは何者か

10月25日に所属タレントに対し、東山氏が“手紙”を出し、新会社の社長を辞退することと、プロの経営者を招聘する旨が報告されたといいます。

福田氏はソニー・ピクチャーズで日米の映画ビジネスを経験。ジャニーズ事務所とテレビ局の関係に象徴されるような、日本の芸能界の問題を批判してきた。

〈のんのようにテレビ業界からしめ出される人が二度と出てこないようにしなくてはならない。一部の古い芸能事務所の体質改善を望みます〉(19年8月20日付の朝日新聞デジタル)

 旧ジャニーズから飛び出した元SMAPの3人についても言及している。

〈僕は才気あふれるのんや、元SMAPの3人をフックに、この芸能界の構造がもっと良くなってほしいと願っています〉

福田氏はそんな苦境にあった能年さんを再浮上させ、「テレビ局が元スマップを使うことが業界改革につながる」というような発言を度々行っているという、芸能改革論者です。

癒着と圧力で芸能界、メディアを牛耳ってきたジャニーズ事務所、そして同じような権力基盤を持つ大手芸能事務所にとって、福田氏は受け入れがたい人物だと言われています。それを受け入れるしかなかったほど、旧ジャニーズ事務所は追い込まれていたということが言えるでしょう。


●ジャニー喜多川氏は天才だったのか?

話は少しそれますが。ジャニー喜多川氏には才能や審美眼があった、という見方があります。乱暴な言い方をすれば、変態にこそ才能がある、みたいな論評をするダメな人が少なからずいる。でも、本当にそうだったのか? と僕は疑問を持っています。

ジャニーズの手法の多くはアメリカのショービジネスを真似る形で、少年をアイドルに仕上げて行ったと言われています。昭和のジャニーズは、少年が半裸でヒラヒラした格好をするというショーでしたが、改めて見直すとショーとしての価値が高いのかというと、そうとも言えないような気がします。ジャニーズタレントが海タレントがアジア等で人気を得ることはありますが、ジャニーズのショースタイルがが海外で高い評価を受けたのか、というと少なくとも欧米ではそうではなかった。国民的なヒット曲とされる、多くは外部クリエイターん楽曲提供によるものです。つまりジャニー喜多川氏の才能は、性的嗜好によるタレント選別という部分はあったかもしれませんが、ヒットメイカーとなった背景には癒着と圧力こそが最大のパワーとなっていたのではないか? と思うわけです。つまりジャニー氏が好き放題やっていることを、メリー氏が手練手管でビジネスにまとめあげたというのが、ジャニーズ事務所の構造だったように思います。



●福田新会社も苦戦は免れない


福田氏としても渦中の栗を拾うには、勝算があってのことと思いますが。福田氏をもっても、ジャニーズ事務所の舵取りは困難を極めることになるだろうと業界では見られています。あまりに課題が多いからです。

世界的な価値観ではジャニーズ事務所が存続していることは極めて異例と見られるでしょう。批判も含めて新会社は世間から注目を浴び続ける。つまり、新会社は上場企業以上のコンプライアンスを事実上求められる企業となってしまうわけです。

今後、ジャニー喜多川氏の問題が世界で報じられたことで、ジャニー喜多川氏はプレデター性加害者としてのみ多くの人に記憶されることになります。行った行為のおぞましさを考えれば当然の帰結ではないかと思うのです。福田氏の大きな仕事の1つは、新会社からジャニーズ色を完全に消し去ることになるでしょう。

一方でファンの間ではジャニーズ信仰が残っていると言われています。ファンクラブビジネスをビジネスの基盤としている会社を引き継ぐなかで、新会社で本当にジャニーズ色を消し去ることが出来るのかは注目されるポイントとなるでしょう。

新会社のビジネスモデルにも課題があります。新会社はエージェント会社になると公表されており、タレントは個人事務所を作り新会社とエージェント契約を結ぶ仕組みと解説されています。前にも言ったようにタレントが個人事務所を作りマネージャーもいるなら自前で仕事を回せばいいわけで、新しくエージェント会社と契約する意味はあまりないと思われます。稼げるタレントは個人事務所で仕事が十分可能です。旧ジャニーズ事務所に在籍するメリットがなくなるという判断のもと、退所者はますます増えるかもしれません。

はたして新会社はどう運営されていくのか、今後に注目です。

(了)

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