経験値

背伸びしたって、私のかかとを君はみてる。

ふう と疲れてかかとを下ろせば、吹き出し笑う君が憎い。

私に足りないものはなんですか?

色気?財力?教養?年齢?

「そうじゃない」と君は笑う。

「ゆっくりでいい」と君は笑う。

追いつけないことぐらいわかってる。
見えない壁の、その意味も。

経験値。
いつか君が言ってた言葉。

どんなに背伸びをしてみても、それは"早く大人になろうとする子供"なんだ。

わかるとますます悔しくて。
悩んでる間にも君はどんどん進んでく。

なかなか埋まらない経験値。
縮まらないこの差が憎くて。

「待ってよ!」と叫んでみれば、「嫌だね」と君は笑う。

「意地悪!」と吐き捨て立ち止まると、「そうだよ」と振り返る君。

埋めても埋めても追いつけないこの差が、今日も憎くて愛おしい。