【本42】シロクマのことだけは考えるな!

うちの会社は誕生月の社員にお祝い品を贈られます。

誕生祝い品はお酒や食品、そして書籍を選ぶこともできます。

私は毎年本を選んで、プレゼントをいただいています。
ありがたいことです。

『今年の本は何にしようかな〜』と考えていた時に、この本に出会いました。
心理学にも興味があったので選びましたが、難しい本だときっと途中で飽きてしまう…という不安もあり、とっつきやすそうなタイトルにも惹かれました。

この面白いタイトルは、アメリカで行われている「シロクマ実験」と呼ばれる認知研究・記憶研究から付けられたようです。

シロクマのことを考えまいとすると、かえってシロクマの姿がちらつく。
何かをうまくやろうと気張ることで、逆に失敗率のほうが高まってしまう、ということのようです。

他にも日常生活の中で試してみようと思える心理術がいろいろ載っています。
難しくなく、とても読みやすい本でした!

☆本の内容☆

「シロクマ実験」
集めた人を3グループに分け、シロクマの1日を追った50分程度の映像を観せる。
観終わったあと、3グループそれぞれに
「シロクマのことを覚えておけ」
「シロクマのことは考えても考えなくてもお好きなように」
「シロクマのことだけは考えるな」

と告げる。
1年後、内容をいちばん覚えていたグループは、「シロクマのことだけは考えるな」と禁止されていたグループだった。
つまり、考えまいとすればするほど考えてしまう、忘れることができないということ。
思考を抑制しようとすることが、かえって思考を活性化させてしまう、という現象が明らかになった。

たしかに、「忘れたい、忘れよう」と思っていると、なかなか忘れられないということがありますね!
心理学的にもそういう実験がされているんですね。

じゃあ、『忘れたいのに忘れられない』というとき、どうやって忘れたらいいのか。

いくら悲しくてもつらくても、人は半年経つと、その対象への興味が薄れていく、という機能を持っている。

こんな便利な機能を持っているそうですよ!
忘れようとせず、考えて考えて、思う存分考えまくるといいそうです。
そうすると心が満足して、自浄作用が働くということみたい。

「シロクマ」に気づかない人もいる。
自分の中に住むシロクマ=心の傷を、自覚できている人はまだマシ。
本当は心に傷を抱えているのに、それに気づかず苦しんでいる人も多い。
そういう人が口にするのは心の不調ではなく、決まって体の不調。
眠れないとか、悪夢を見るとか、おなかが痛いとか。
心の傷を一人で抱え込んでいると、その人の体の弱いところに疾患となって現れる。

自分では気づかないけれど、心の奥深くに大きな「シロクマ」を飼っているかもしれない。
自分自身と向き合うことの大切さを感じます。
自分で気付ければそれにこしたことはないですが、専門家と一緒に気付いていくことも、もっと気軽にできればいいなと思います。
なんとなく、日本ではまだ、カウンセリングを受けるということが身近には感じません。
コンビニで買い物をするように、日常生活の中に当たり前にあってもいいのかなと思います。

大事なプレゼンや試験のまえ、大勢の人の前で話をするときなど、頭が真っ白になってパニクってしまう。
そんなときは、すっかりそれを認めてしまって、沸き起こる苦しみに身を委ねることが大事。
苦しい症状から逃げずに、逆に詳しく言語化する。(ひとり実況中継)
しつこく言語化しているうちに、いつのまにか身体症状は軽減され、冷静さを取り戻すことができる。

私自身も、大勢の人の前で話をすることが苦手で、頭が真っ白になったりします。
この「ひとり実況中継」をやってみようかなと思いました!
面白い方法ですよね! 
緊張したり、怒りで血が上ったときにも、こうやって自分の状況を客観的に言葉にすることってとても大切ですね。

カクテルパーティー効果。(自分に関係のあることだけがよく聞こえる)
私たちの心は、単なるカクテルパーティー効果を超えて、自分自身の信念や哲学に反するような話は、敢えて(でも無意識に)耳に入れない、理解したくないようだ。
この現象の根底には、「自分の考えを変えたくない、自己を肯定したい」という、拭いがたい自己愛(エゴイズム)があると考えられている。

自分自身の信念や哲学に反する話を耳に入れず、理解したくないとしたら、そこで自分の成長が止まってしまいますよね。
ここを頑張って乗り越える。
あえてその嫌な部分に踏み込む。
そうすることで新しい情報が入ってきたり、これまで気づかなかった考え方が見つかったりする。
人の心がそういうものだと分かっていれば、意識して情報を取り込もうと思える。
知っているのと知らないのとでは、行動の仕方が変わってきます。

人はいつ相手を評価するのか。
わたし達は会った瞬間の印象を脳にインプットして、その印象を一定期間キープする。
後々になって、それを記憶としてアウトプットする。
ここでようやく「人を見る」という行為が完結する。
しかし、このアウトプットの段階での間違いが非常に多い。
さらに、こうしたアウトプットの失敗は、一人で思い出す時より、複数人で思い出すときが圧倒的に多い。
複数人で人を思い出すとき、人の評価を語る時には、どうしても「会話のやりとり」が介在するから。

記憶をアウトプットするときは、なるべく一人でやった方が良いってことですね。
ただでさえあやふやなアウトプットが、さらに人の意見に引きずられてしまう。
そしてそれが本当のことだと思い込んでしまう。
皆さんもぜひ注意してみてください!

「アメとムチ」ではなく、「アメとムシ」。
マウスを使ったシンプルなT字の迷路の実験。
早く左に曲がることを覚えるのは?
①左にエサ(=アメ)、右には電気ショック(=ムチ)
②左には何も置かず、右には電気ショック(=ムチ)
③左にエサ(=アメ)、右には何も置かない。

正解は③!
成功すればアメが用意されているけれど、失敗しても何も起こらない、この状態のマウスが一番早く左に曲がることを覚える。
一方、ムチが用意されている、 ①と②のマウスはどちらも実験を繰り返すうちに極度のストレスで微動だにしなくなってしまう。

ムチのあるマウスの状態って、身近でもよく感じるものだなと思いました。
下手に動けば電気ショックを受ける。そのことで萎縮し、試行錯誤すること、トライすること自体をやめてしまう。
何もしない方が賢い、という状況になってしまうんですよね。
失敗したときこそ、「ムシ」の気持ちで!
叱ったり、イヤミを言ったりせずに、一呼吸おきましょう。
相手が成長するために何が必要なのかをじっくり考える、その一呼吸が大切。

「心理的リアクタンス」
やめろと言われるとやりたくなっちゃう、わかっちゃいるけどやめられない。
やりなさい!と言われるとやめたくなる。
「禁止される」と興味や関心をかきたてられるだけでなく、禁止されたそのものを魅力的に見せ、価値まで高めてしまう。

これはついつい子供に対してやってしまいます。。
「やめて欲しいこと」を禁止することで、そのこと自体の魅力を高めてしまうなんて、恐ろしい!!
禁止するのではなく、「これをしたらどうなるかな」と一緒に考えて、子供自身に決めてもらうことが大切ですね。
子供だけじゃなくて、日常生活の中でも気をつけておきたいところです。






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