【本40】ザ・ファシリテーター

私がファシリテーターに興味を持ったのは、自分の性格上の課題を乗り越えるために必要なものだなと感じたからでした。

自分が思ったことは言う、疑問に思ったことは納得できるまで質問する、ということを繰り返していましたが、『疑問に思ったこと』に明確に答えてくれる人はなかなかおらず、一体誰なら分かるんだ!とイライラが溜まる一方でした。
『自分が思ったことを言う』という態度は、正論を振りかざして攻撃的に感じられていたと思います。

『正論では人は動かない』

と知った時、『みんなが分かっている(だけど出来てない)』ことを、面と向かって言ってくる、というのは相手にとってみれば責められているように感じられ、人によってはそれにまた反論したくなる、悪循環の連鎖が起こっているのだと思いました。

『正論では革命をおこせない。革命をおこすものは僻論(へきろん)である。』

自分を変えて、周りも変わっていくためには、
『色々な角度から物事を見ること』
『色々な意見を受け入れてみること』
が必要なんだと感じました。

そう気づいたのは良いものの、一体何をどうやったら良いのやら。。
と思っていた時に、『ザ・ファシリテーター』に出会いました。
全然実践には程遠いけれど、少しずつ行動していることです。

内容はストーリーなので読みやすく、自分たちの会社に当てはまる、という部分もあるのではないかと思います。
見た目はちょっと分厚いですが、とても面白いので是非読んでみてください。

☆本の内容☆
ファシリテーション
『人と人とのインタラクション(相互作用)を活発にし、創造的なアウトプットを引き出すもの』
ファシリテーションを学ぶことによって、自らも変わる。
人の言うことにしっかりと耳を傾ける姿勢、
物事を事実ベースで分析的に捉える視点、
多面的な観察力、
バランスのとれた思考力、
情緒的な安定、
説得力、
エネルギッシュな行動力、など。

うわーっ!!
まさにコレ!!!
という感じ!

〇リーダーズ・インテグレーション

グループダイナミックス理論の応用で、新しい管理職を素早くグループに溶け込ませるための手法。
リーダーの方針やリーダー自身について知りたいことを忌憚なく話し、リーダーから答えてもらう。
お互いのことをしっかり理解し合うための手法。
<リーダーズ・インテグレーション例>
・リーダーの自己紹介
・リーダー退場
・リーダーについて知っていることを挙げる
・リーダーについて知りたいことを挙げる
・リーダーに知っておいて欲しいことを挙げる
・メンバー退室、リーダー入室
・ファシリテーターが議論の内容をリーダーに説明
・全員入室
・リーダーが質問やコメントに答える
・飲み会

ジョハリの窓で言うところの、自己開示とフィードバック。

〇タックマンモデル

組織は、形成(フォーミング)された後、すぐに機能(パフォーミング)し始めるのではなく、その前に、ストーミング(混乱・対立)があり、ノーミング(統一)が進んで始めて機能し始める、というモデル。

お互い感情的になって、机を叩いて議論し、大混乱するような議論をしつくして、くたびれ、その無意味さに気づいた時、前向きのエネルギーが出始める。

ノーミングが進むためには、必ずストーミングが起こる。
それを理解していれば、冷静に対処できる。
はず…。

〇4つの懸念モデル

他人との関係において、人は自分の心身を守るために、ある程度防衛的な関係を築こうとする。
その背景には懸念(恐怖や不信頼感)があると仮定し、それを4つに分類したもの。
・受容
自分自身や他者をメンバーとして受け入れることができるかどうかに関わる懸念。
・データ流動
「こんなことを言っても良いのだろうか?」と不安になるような懸念。
・目標形成
グループ活動の目標が理解できないことに起因する不安感。
・社会的統制
グループ内で依存願望が満たされない場合に発生する不安感。
この4つの懸念を解消していくことにより、グループは成長し、メンバーも成長していく好循環が生まれるという理論。

ふつう人は『受容懸念』を隠そうとする。しかし、実は隠すことによって『受容』を遅らせている。
むしろ、懸念を言語化し、表面化させることで解消するほうが近道。
解消されると信頼関係が生まれやすくなる。

心理的安全性を育むために必要なものですね。
懸念を言語化することで、受容が早まる。
ということは、やらない手はないということですが、これを上手くできるかは、経験値が必要かも。

〇パーキングエリア

ブレーンストーミングで出てきた批判などは、いちいち咎めず、パーキングエリアという別エリアに書き留め、話を本筋に戻す。
みんなに見えるようにパーキングエリアを貼り出しておくことによって、多少本筋を外した意見にも記録することで敬意を払うことができるし、同じ議論が蒸し返されるのを防ぐ効果もある。

パーキングエリアに書き留めておいたものから、また新たな気づきが生まれることもありそう!
全てが宝の山!

〇スノーフレーク

<スノーフレークの例>
・A4サイズの紙を配る
・半分に折ってもらう(指示を伝えるだけ)
・どこでも良いので、角を一つちぎり取ってもらう
・もう一度その紙を半分に折ってもらう
・もう一度角をちぎり取ってもらう
・さらに半分に折ってもらう
・さらに角をちぎり取ってもらう
出来上がったものは、まさに十人十色。
一つとして同じものはない。
多様性を感じるゲーム。
同じ言葉でも、聞く人によってこれぐらい理解が変わる、ということを確認できる。

多様性を視覚的に認識できる簡単なゲーム。
すぐ出来るし、効果も抜群。

〇期待と課題のマトリックス

横軸に『期待』、縦軸に『課題』を書く。
交わる箱に改善策を記入したり、意思決定に必要なデータを集める担当者を決めたり。
議論しながら、横軸や縦軸に追加する項目が増えてもOK。
マトリックスで整理することで、全体が見えるし、意思決定をする上で何を知らなければならないかがはっきりする。

共通認識で明確にしていく。
ただ議論するだけでなく、やるべきことをハッキリさせる。

〇マインドマッピング

大きな紙の真ん中に、中心的な概念を書き、その周りに関連することを書き出していく。
どのような関連かは問わない。
二次元的に書き出すという視覚的な効果も手伝って、箇条書きにするより、発想を刺激する効果が期待できる。
さらに、後で関連性や重要度を議論するときにも、空間を利用して図解できる。
発散と収束の両方のプロセスに効果を発揮する可視化手法。
<マインドマッピングの例>
・課題を真ん中に書く
・その周りになぜ出来ないかの理由をかきだす。(発散)
・出てきたものをみんなでマッピングし直す。
・真ん中の課題を前向きのものに書き直し、周りの出来ない理由を一つ一つ、カードを裏返すように『できるやり方』に書き換えていく。(収束)

何を変えなければならないかというアイディアと、やりたいというチャレンジ精神が生まれていく。

できない理由を免罪符にして行動しない、ということはもう出来ない。
行動に移す前向きな気持ちにもなれる、大切な手法だと思います。

〇ファシリテーションを教育に応用する

ファシリテーションを教育に応用することで、多面的にモノを見る力や、論理的にモノを考える力がつく。
既成概念違うことを考えさせる質問をすることで、物事を多面的に観察し、他人の意見を聴き、自ら考える能力を養う。

私たちは自分の価値観で物事を見ている。
それに気づくこと。
意識してモノの見方を変えること。

〇アイスブレーク

アイスブレークは心の柔軟体操。
会議のはじめにやるものというだけではなく、会議の途中や、会議の終わりにやることも。
アイスブレークの機会に、自分の心を自ら開く努力をする。
体と同じで、心も硬くなりがち。
硬い心は、他人の意見を軽視し、言葉尻だけを取り上げ、曲解しようとする。
そういう無意識的な拒絶反応が自分の心にはあることを意識して、心のアイスをブレークすると効果的。

アイスブレークは色んな手法があるようです。
心も体も頭も柔らかくして、ワイワイ楽しく議論したいものです。

〇発言を促す技術

質問のポケットをたくさん持つこと。
参加者が具体的なイメージを描けるような問いかけをする力。
一般的な質問で役に立つのは、
全体を意識させる質問
分散(多様性)を意識させる質問
自分たちがコントロールできるものとそうでないものを意識させる質問
時間軸を意識させる質問
基準を意識させる質問、など

いきなりいろいろ質問をしても、参加者が硬くなったり、防衛的になって、発言しなくなることも少なくない。
最初はイエス・ノーで答えられるような簡単な質問から入って気分をほぐしてから、核心に迫る質問に移っていくという心遣いも必要。

クローズドクエスチョンからオープンクエスチョンへ。

〇ゴール・ツリー

大目標を起点に、それを達成するための手段としての中・小目標を枝分かれさせながらツリー状に描いていく手法。
最後はアクションに落とし込んでいく。
ツリー構造は、目的と手段、原因と結果を明快に可視化するパワフルな道具。
このようなツリー構造は、目標達成に向けて、独立したいくつかのパスが考えられる場合や、隠れたパスを発見するために有効。

まずは可視化すること。
そうして、みんなで共通の認識として共有し、考えをまとめていく。
行動に移していく。

〇タイムマシン

理想の未来を想像して、言葉にする。(ミッションづくりなど)
<タイムマシンの例>
・目を閉じる
・○年後の世界を思い浮かべてもらう。
・その世界ではどんなことが起こっているのか言葉にしてもらう。
・ファシリテーターが質問をし、具体的にみんながイメージを共有出来るように誘導する。
・出てきた意見はファシリテーターが書き留めていく。
・そのメモを見ながら、ミッションを考えて言葉にする。
・ミッションは、達成度、進捗度が分かるような指標を入れるとよい。
一気に指標まで入れるのは難しい。
一旦文章になったものを『仕掛かりのミッション』として議論を続けていくうちに、新たな考えが出てくる。

理想の姿はとても大事。
明確にイメージしたうえで、現在とのギャップから、どんな行動をしたら良いかを見出していく。

○フォース・フィールド・アナリシス

理想の姿を妨げている『力』を認識する。
現状ではなく、そういう現状を作り出しているフォース、『力』を書き出す。
<フォース・フィールド・アナリシスの例>
「マーケティングが各市場セグメントの魅力度を把握していない」とした場合、
マーケティングの人たちがそうしようとしていないのか、
能力がないのか、
やろうとしているのだが他にやることがあって出来ないのか?
どういう『力』が働いて、そうなっているのかを書き出す。

その後、理想の姿になるために必要な『力』を書きだしていく。
邪魔をしている『力』を裏返すような作業。

理想の姿になるのを邪魔する力、必要な力は何か。

○重みつき多重投票

差がはっきりと出るので決着しやすい。
アイディアをだし、十分議論したら、それ以上むやみに時間を費やさずに多重投票で決定して前に進む。
<重みつき多重投票の例>
・カラーシールを3色用意する
・それぞれに点数を決めておく(5点、3点、1点など)
・カラーシールを1人3枚ずつ持ち、投票を行う。

わかりやすい!

○ボール遊び

コミュニケーションはキャッチボール。
前の人に話をしているようで、実は横の人を攻撃している、途中で落ちて転がっているのに、誰にも拾われないボールがある、など、目に見えない「言葉」のキャッチボールではわからない部分を、ボールによって可視化する。

言葉だけだと、ともすれば険悪になってしまいそうな時も、ボール遊びでやれば、自然と和んじゃう。

○ヒストグラム

分布をみる。
平均に惑わされず、分散をみることができる。
<ヒストグラムの例>
縦軸に営業マンの人数、横軸に営業マン一人当たりの売り上げをとってヒストグラムを描く。
平均は3億円強だが、中央値は4億円台にある場合、しっぽの方にいる営業マンが平均値を下げている。
営業能力の低い営業マンなのか、扱う商品に問題があるのか、それともカバーしている顧客層に問題があるのか。
なぜ「しっぽ」になっているのか。
逆に売り上げの高い営業は、なぜそうなのか。
理由をさらに分析してく。

色々な分析ツールを知っておくことで、違った角度から物事を見ることができます。

○90日以内に成功を!

人の気持ちが続くのは90日。
その間に改革を軌道に乗せられるかどうかが決まる。
従来通りのオーソドックスな成功でなくても良い。
マイルストーンをつくって、それを達成したら本当の成果が現れる前でも祝う。
最後の結果が出るまで待たずに、進捗を継続して変革が進んでいることを声高に認める。
努力している人たちを誉め、表彰する。
それが当事者たちを勇気付け、周りの関心も高め、変革を成功に導くことになる。

キーは行動の変化。
それをいかに目ざとく見つけ、認めることで強化するか。

変化しようと思っても、その気持ちが続くのは90日と言われている。
その間の成功体験が周りも巻き込む力になる。
『自分たちは変わっていける』『変化している』という実感出来るようにすることが大切。

○会議を阻害する五大悪癖

①過去の話を繰り返すだけ ➡️ 二分割法
②自分たちがコントロールできない他の部署などのせいにする  ➡️  二分割法
③アクションを決めない  ➡️  4W1H
④全体最適に逆行する部分最適の主張を繰り返す  ➡️  ロジック・ツリー
⑤堂々巡りの議論  ➡️  円状に書き出して可視化する。自分たちで変えられる部分はどこかを考える。

会議が思うように進まない場合、上記のどれかに当てはまっている可能性があるかも。
ツールを使って、そこから抜け出そう!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?