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キノイグルー、ふたたび

以前、『キノイグルー』という移動映画館のユニットのことに触れました。その彼らのイベントの2回目があったので、日記的にまた書いてみます。

↑こちらがイベントのフライヤー。2回目ということで、1/24(火)の夜に行ってきました。(ちなみに前回の6/28の様子はこちら↓※ご存知のかたは読み飛ばしてください。)

開始時刻は18:30~。冬も寒さの底の時期ということで、死人が出るのではというくらい寒い日。(寒いのが苦手なので少々大げさに書いてますが。)
しかも今回のコンセプトは、《ナイト・シネマ・ピクニック》ということで、自由に飲み物や軽食類、ブランケットやクッションなどを持ち込んで、草むらでリラックスしながら映画を観るというもの。
この寒いのに大丈夫なのか?と思い、これでもかというほどの寒さ対策重装備で、サーモスの魔法瓶にコーヒーとハーブティーを携え、向かうことにしました。

会場には、人工芝が敷き詰められ、キノコ(の置物)がにょきにょき。目の前には巨大なスクリーン。靴を脱いで芝の上にあがれば、公園にでもいるかのようで、休日のアウトドア感。
室内なので暖かく、床に腰をおろせば、床が、もとい、人工芝が、暖かい。ぬくぬくである。暖かいと幸せを感じるのはなぜだろう。きっとあたたかいところでウトウトしている猫もこんな感じなんだろうななどと浸っていると、さっそく開始時刻に。(後で聞いたら、床暖房入りだったらしい。)

キノイグルーの二人のトークの後、映画鑑賞。
トーク内容は、二人の間柄(学生時代からの同級生だそうです)からフリーランスでの仕事のことなどいろいろ。個人的に感じて印象的だったのは、キノイグルーが、自身の仕事に社会的意義を見出しているということ。年間に世に出る映画の本数、DVDの数は膨大。その中でどのように人々と映画の接点を創り出すべきか、演出すべきかを日々真剣にクリエイトしている。
日々、生活する中で、生きていく中で、経営活動する中で一本筋が通っている。わたしも常々そうありたい。

それを体現するかのように、今回準備されていた演出は、入り口で配られていたアンケート用紙とペンに隠されていました。
ステッドラーのおしゃれなペンにくるくると巻かれていた紙には、映画のタイトルが。配られたペンすべてに、唯一無二の映画のタイトルが書かれ、一つとして同じではありません。つまり、これは私が偶然出会った(出会わされた)映画。まさにセレンディピティってやつ。
(※セレンディピティとは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。これについては別で一本ネタを書きたいぐらいなのでまた後日)

私が引き合わされた映画は『街のあかり』。偏ってはいるものの結構映画は観てるほうなのですが、知らなかった。で、調べる。

2007年のフィンランド映画。監督はアキ・カウリスマキ。ちなみに自分がやっているカフェの名は、なんとなく北欧っぽい雰囲気にしたくて名前もフィンランド語にしている。引き強い!

近いうちに観るとしよう。

さて、トーク後、肝心の映画のほうと言えば、今回は2本の短編を鑑賞。
こんな感じで芝の上でリラックスしながら。↓

上映作品は、まず一本目は、バスター・キートンの《キートンの探偵学入門》(1924年)。キートンは前回のイベントの際も一本観させていただきました。相変わらずのスタントを使わないチェイスっぷりは圧巻。
ジャッキー・チェーンよりはるか昔。ちなみにジャッキーは『プロジェクトA』等自身の作品で、キートン作品の名シーンを再現しています。

そして二本目は、『真夜中の子供シアター』(監督:山下 敦弘)。山下敦弘と言えば、『リンダ リンダ リンダ』や『天然コケッコー』の監督として聞いたことがある方もいるのでは。
もっと深堀するならば、『ばかのハコ船』(2002年)とか『リアリズムの宿』(2003年)とか。『リアリズムの宿』は当時、単館上映映画で、結構話題になって(といってもごく一部でですが。。)観に行った記憶が。サブカル界隈の住人という感じです。たぶん知らない人は一生知らずに済む(笑)タイプの映画。
今回のこの作品は、私を以ってしても(笑)、知らなかったです。というか、後々調べても、まず情報がない。もちろんYouTUBEも。なのでプロフィールと『リアリズムの宿』貼っときます。

で、どんな作品だったかというと、まず、ドキュメンタリー映画。中学時代からの同級生であり、後の山下映画の常連俳優となる山本剛史を中心に据え、中学時代に撮った映画をふたたび撮るというもの。
『我ら天下を目指す』。
それが中学時代に撮った自主作品映画のタイトル。これを今一度撮ろうと。

こう書くとなんか凄そうですが、相当ニッチでマニアックな内容です。居酒屋での会話や説教シーンなど日本中至る所で日々五万と繰り広げられているであろう出来事のシーン。言わばどうでもいい(笑)。
『我ら天下を目指す』
我天をもう一回撮りたいんだ。我天を。
我天、我天と、会話の中でそれらを共有した同級生同士にしか分からない思い出のように略されたそれは、なんだか尊かった。
人それぞれに思いがあり、何か見いだせるところもあれば、ないところもある。スルーしてしまう人にはスルーしてしまう映画。
個人的には観れてよかった。おもしろかった。

超個人的な感想ですが、キーワードは同級生。
同級生と作品を作る山下監督。
奇しくもキノイグルーも同級生のユニット。
そして、これもまた偶然なのだが、この上映会の前日に普段は東京に住んでいる同級生にたまたま会い、翌日同級生とともこれを観るというね。





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