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日記 69 『2』

何冊もの小説を読んできて見事な伏線回収に鳥肌がたったり、丁寧な情景描写に心を動かされたり、様々な方法で心を動かされました。
野崎まど「2」を読み終わった今は"ただ、圧倒された"こう表現するしかないです。俺の語彙じゃ今の状態に当てはまる言葉を探すことはできません。安い表現を用いるなら全部の種類の感動を味わったみたいになります。でも、これも全然正確ではないです。

話全体の感想としては凄かったと言う他無いです。映画を作るという話の大筋から始まり創作という概念全体に及ぶ強烈な思想をぶつけられました。俺は生憎、創作活動なんて行っておらず自分の考えを持っていないのでこれらの思想について受けとり、解釈することしできませんでした。例えば漫画や小説を書いてる人が、創作を行う人がこの本を読んだとき何を思うか、興味があります。

そして、内容だけでなく圧倒的に読みやすいことも凄い。全ページを通して目が滑るページが1ページもありませんでした。この読みやすさが顕著に現れるのが作中で主人公が進化論について講義を受ける場面です。この場面は映画を作るという本筋から離れているし、講義の内容も入門レベルとはいえ進化論について難しいことが書かれています。でも、このシーンはかなり面白い。主人公と教師の会話を通して内容がすっと入ってくるし、衒学的なウザさが一切無い。

そして主人公が良かった。主人公の数多一人は凡人として規格外の天才映画監督の最原最早に振り回され続けます。数多一人は最原最早のことをちっとも理解できないし、それは読者も同じです。だから主人公に感情移入ができるし、書かれる文章に違和感がないから読みやすかったんだと思います。

表面的なところについて感想を書きましたが、この小説の面白さを伝えるには全くもって足りない。どの小説もそうですが終盤が凄すぎる。あなたが何冊小説を読んでいようとこの展開は予想できないと断言できる。ほんとに読むしかないです。あなたも是非、最原最早という天才に振り回されてみてはいかがでしょうか。


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