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最後の勝負…高校時代③

高校3年生の最後の宝塚受験の日。

でも、私にとっては3度目の受験…
「三度目の正直」を信じて宝塚音楽学校に向かった。

ぴっちり固めたお団子ヘアに、受験専用の黒のレオタードに着替えて、受験スクールの友人とストレッチや発声練習をしていたら、昨年合格したお友達が本科生になって校内を忙しくお手伝いしていた。はっきり言って複雑な心境である。
そしてそのお友達から、「頑張ってね!」とメッセージが添えられたお菓子のプレゼントを頂く。なんだか、もう半分くらい合格している気分になって凄く楽しくなってくる。
そんな浮かれた気分のまま、バレエの実技試験が始まる。

数人のグループに分けられて教室に入り、本科生が踊ってくれる振りを見て覚え、すぐに踊るという試験である。

私は側にいつも教えて頂いている先生が居たし、振りの中に必ず入るアラベスクからパンシェをずっと練習してきたので落ち着いて踊る事が出来た。しかも踊っている途中になんだか急に身体が軽くなって自分だけにスポットライトが当たっているような感覚になった。

この感覚は後に何度も経験する事になる、神様が降りて来た瞬間である。

そして踊り切った後、先生の顔を見たら頷いてくれたのだ。
やった!受かった!っと確信した。

その後、声楽と面接も自信満々でやり切った私はウキウキしながら家路に着く。
こんな感覚は初めてだった。

その日の夜…声楽の先生から電話がかかってきた。
「あなた!受かってるわよ!明日1次の発表を見た後に、お稽古にいらっしゃい。」

こんな事ってあるんだ。
発表を見る前に内部の先生から電話がかかって来るんだ。しかもバレエの成績は良かったから、次は声楽を頑張って。とまで添えられた。
受験スクールの力を感じた日だった。

1次試験発表の日、貼り出された掲示板に私の番号と名前を見つけた。やはり合格していたのだ。
受験スクールの友人の名前も何人かあったが、みんな特に驚いた感じでは無かった。
と言う事は、みんなも私と同じように電話がかかって来ているんだなと思った。


いよいよ明日は2次試験。
東京の1次合格者と宝塚の1次合格者で2次試験が行われる。最終の合格者は40人の狭き門。
でも、ここまで来れたら後は2分の1。

ちなみに私が受験した、この年は受験倍率が過去最高で激戦の年であった。

後に、この期からは男役トップスターが2名、娘役トップスターが1名、その他の方も、小劇場ではトップ作品や大劇場でも2番手や3番手を務めるスターをたくさん輩出することになる。


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