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納涼に不思議な話はいかが?

日本には納涼という言葉がある。夏の暑さの盛りを避けて、工夫を凝らして涼しくなる。風鈴なども日本人の納涼の知恵と言えよう。

納涼の知恵の1つに怪談話というのがある。夏になると、稲川淳二さんのCMが増えたり、本当にあった怖い話などのテレビ番組が品種するのはそのためだ。さて、今日は少し不思議な話をして背筋がすっ(ぞっ…?)とするような話を皆様に共有したいと思う。暑い夏の盛りをエアコンだけでなく、心の中から涼しくなっていってほしい。

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これは私が中学生のときに部活の先輩だったAさんから聞いた話だ。

Aさんが小学生だったとき、BちゃんとCちゃんという仲のいい子がいて、放課後はずっと3人で遊んでいた。家が近かったので、遊ぶ場所はだいたい近くの公園か、神社で集まって石を拾ったり鬼ごっこをしたりしていた。しかし、3人とも同じ場所で遊ぶのに少し飽き飽きしてきていた。そんなとき、Cちゃんがある提案をする。
「新しくできたマンションの前に、広場みたいなのがあるからそこに行ってみようよ。」
3人は早速いってみることにした。新しくできたマンションはかなり大きく、新学期からこのマンションに越してきた子達がたくさん転校してきていた。Aさんは「友達にも会えるかもしれないし、楽しそう」と思い、他の2人と一緒にマンションへ向かった。

マンションに到着すると、広場は整備中の看板が貼られていて、中には入れないようになっていた。どうやら、新しい遊具の設置準備中らしい。ブルーシートのかけられた機材がたくさん置いてあった。
B「なんだ、広場入れないじゃん。」
C「ごめん、知らなかった。ジュース奢るから許して〜」
ということで3人はジュースを買い、しばし休憩。帰りの時間を考えた結果、他のところにいくよりマンション周辺で遊んだほうがいいということになり、自動販売機の近くで座り込んで話していた。

すると、髪の長い綺麗な女の人が自動販売機の方にやってきた。仕事帰りだろうか?心なしか疲れているように見える。彼女はコーラを買って、マンションの中に入っていった。

Aさんは「あんな綺麗な人住んでるんだ…やっぱこのマンション高級なのかな…」などとぼんやり思いながらマンションを見つめていた。すると突然、Bちゃんが
「さっきの人、なんか変じゃなかった?」
と言う。さっきの女の人だろうか?
A「さっきの人って、女の人?」

B、C「えっ?」

一瞬、意味のわからない間が流れた。怪訝な顔をしてBちゃんが口を開く。
B「自動販売機でコーヒー買っていったおじさんだよ。なんか匂いやばくなかった?っていうかこんな近くで見てたのに気づかなかったの?」

C「えっ?」

すると、今度はCちゃんが青ざめた顔をしている。
C「若いお兄さんがアクエリ買っていったよね。大学生くらいの…。スウェットでメガネで…。」

沈黙が流れた。意味がわからない。

3人同じ場所にいたのに、違う人を見ていた。

その後、どんなに話しても3人は同時刻に自動販売機で飲み物を買った人物を見ていたところまでは同じなのだが、その人物の特徴と買った飲み物は全く一致しなかった。

Aさん曰く、そのマンションが新しくできる前は、別のマンションが建っていたらしい。そのマンションはかなりボロく、改修工事を続けていたのだが、老朽化が止まらなかった。ある時、老朽化したマンションの壁が剥がれて落下。下にいた何人かの住人と通りかかった人が死傷する事件があり、マンションを取り壊して新しく立て直すことが決まったようだ。Aさんは「あの時は怖くて何も考えられなかったけど、今思えば、亡くなったと気がついていない住人たちがマンションが新しくなっても帰ってきてたのかも…。」といっていた。3人違う人を見ていた理由は今でもはっきりしていないらしい。

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いかがでしたか?自分でも書いていて少しひんやりとしたような気分。実はこの話、私が中学生の時に所属していた部活のメンバーと一緒にAさんの話を聞いていたはずだが、今では私以外誰も覚えていない。「こんな話しましたよね〜」と何年か前にAさんに会った時話したら、「そんな話した覚えないよ」と返されてしまった。絶対に聞いていた確信があったので、他の部員も聞いたが記憶していないという。私がAさんから聞いたと言う夢を見たのか…。それにしても随分はっきりと覚えているのだから不思議である。

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