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THE 戦闘員 第8話

【仮面バスターの家 イビキ 息子への伝言】

もう夜中、世間は寝静まっている。街家の電気は消えており、街灯だけが数個光っている。小野剛は、サタン首領から電話で聞いた住所に向かっている。

「ここか」

たどり着いたそこは、ごく一般的な3階建てのアパート。

「意外と稼いでないんだなー。えーと102だな」

小野剛は102号室の玄関前まで行った。表札があった。「鬼瓦」と書いてある。

「鬼瓦って!仮面バスターの本名えぐいな。こっちよりじゃねーか。まあいいわ」

小野剛はポストを探した。しかし、見当たらない。どうしようと思い、家の周りも探した。すると、窓が開いている。これはラッキーだ。そこから投げ込もう。いや、変なところに落ちたら読まれないかもしれない。それは避けなくてはいけない。確実に読んでもらわなくては困る。仕方ない。侵入しよう。

という理由で、小野剛は窓から鬼瓦宅に入った。

壁にはいろんな地下アイドルのポスターが貼ってある。仮面バスター(鬼瓦)は背を向けてイビキをかいて寝ている。

小野剛はポケットから「果たし状」とデカデカ書いてある紙を出し、テーブルの上に置こうとした。その時ふと思った。

「今、チャンスじゃねーか」

側に置いてあるクイックルワイパーを手に取った。仮面バスターは何も気付かずイビキをかいて寝ている。小野剛は仮面バスター目掛けて振り下ろした。

寸前で止まるクイックルワイパー。

「これは卑怯者がやることだ。何も変わらない」

小野剛は「果たし状」を置いて鬼瓦宅を後にした。仮面バスターのイビキを背中に感じながら。

正利は目を覚ました。外は明るくなっていた。いつもと違う景色に少し驚いたがすぐ理解した。そう、ここは元お母さん、女戦闘員奈緒子の家だった。

正利は起き上がり、部屋のふすまを開けた。

「ママ、おはよう」

斎藤は奈緒子のマスクの上からチュッチュッチュッチュッしていた。斎藤と奈緒子はすごいすばやさで離れた。

奈緒子「あ、正利おはよう」

斎藤「おう、目覚めはいいかい?」

正利「今、パッチリ目覚めたよ」

奈緒子「ご飯食べましょう」

3人でテーブルを囲む。奈緒子は食べる時はマスクを口のところまで上げる。

奈緒子「あ、そうだ。昨日お父さんから伝言預かったわよ」

正利「え?パパ来たの?」

奈緒子「何があったか知らないけど、許してあげてね」

奈緒子は正利に渡した。

『正利へ』

ウソをついてごめんなさい。お前に卑怯なことはするなと言っておきながら、一番の卑怯者はお父さんでした。

だからお父さんは変わろうと思う。

本気で仮面バスターを倒そうと思う。仮面バスターってスゲー強いんだけどさ、スゲー恐いんだけどさ、もしかしたら死んじゃうかもしれないんだけどさ、でも今度こそ、本当の勝利報告したいからさ、

だから仮面バスターを倒したい。

サタンのためじゃなく、正利のために。

こんなお父さんだけど、これからもよろしく。

じゃあ仮面バスターと闘ってくるわ。

家で待て。

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正利「僕、帰る」

奈緒子「え?正利?」

正利はご飯も食べずに出ていった。

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