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妊娠前に葉酸を摂ってもらうためにープレコンセプションケアを学びたい

日曜日ののんびりした朝の時間、いつものように新聞を読んでいた。「元気にキレイに 海苔」という日曜版の連載記事。キレイという言葉に反応して読んでいると、突然その文章が現れた。

不足すると「二分脊椎症」という胎児の先天性疾患につながる「葉酸」が豊富だ…。

朝日新聞2022年9月17日

今まで心の深いところに押し込めていたものが、この文章を読んで私の心の表層に飛び出してきた。

私の長女は、葉酸が不足することも原因の一つと言われている「二分脊椎症」という病気をもって生まれてきた。
この病気に葉酸というビタミンが関与していることは、長女を出産後、病気のことを調べるために、色んな本を読み漁っている中で知った。
そして、外国では葉酸摂取を国の取り組みとして行って、二分脊椎症の発症率を減少させているということも同時に知った。

しかし、当時の私は、一日に何回も無呼吸発作を起こす長女にアンビュウバックで蘇生をし、歩行訓練に通い、導尿を教え、幼稚園や学校に入るために何度も話し合いをしたり、入園入学したあとも、親の付き添いが必要だったり、現実的なことがたくさんあって、葉酸のことを考える余裕がなかった。

その後長女は、装具をつけて歩けるようになり、導尿と洗腸を覚え、一番の問題だった無呼吸発作も起こさなくなり、発作の影響で後天的になってしまった軽度の知的障害をもちながらも、周りの人に助けられて大きくなっていった。
30歳を過ぎた今、障害者枠雇用で就職をして、1人暮らしをしている。
友人と徹夜カラオケをしたり、食べ歩きも楽しんでいる。

私自身も、長女が育つ過程で、保健師という職業を知り、長女の学校付き添いがいらなくなってから大学に再入学して家族看護や地域保健を学び、天職と思える保健師になることができた。

長女のことはこれで一段落、これからは自分のことをもっと楽しもうと思っていた時に、新聞の葉酸記事が現れた。

長女のこれまでの歩みは決して不幸なものではなかった。しかし、母親として、「あの時もし私が葉酸が胎児に及ぼす影響を知っていて、葉酸のサプリメントを飲んでいたら、この子は導尿や洗腸をしなくても簡単におしっこやうんちが出来て、装具ではないおしゃれな靴を履いたりすることが出来たのではないか…」と思ってしまうのだ。

あの記事を読んでから、葉酸のことが、私の意識のなかにあがってくるようになった。
若い女性に知り合うと、葉酸の話しをしてサプリメントを摂ることを勧めることを始めた。
知り合いの管理栄養士に葉酸摂取について、栄養という視点からどのように学んだかを聞いた。
葉酸に関する資料を入れるためのボックスも作った。
でも、心の中のもやもやは晴れないままだった。

そして、今年の1月8日。新聞に茨城県笠間市の「妊娠前の健康管理 笠間市が費用支援」という記事が載っていた。

朝日新聞2024年1月8日茨城版

同じ北関東の小さな市笠間市が、子育て支援の入り口として、「プレコンセプションケア(妊娠前の健康管理)の専門外来」を設置したのだ。
その外来では、妊娠前の人にまず検査をして感染症の有無や健康状態を調べてから、その結果に基づき医師らが適正体重や運動を指導する。
赤ちゃんの成長に大切な栄養素、葉酸の摂取などを指導」と書かれていた。

これまで、葉酸のことを知ることで、自分の無知から娘に障害を与えてしまったことをはっきりと知るが怖くてふたをしてきた。
しかし今、毎日とても楽しそうな娘を見て、もう罪悪感をもたずに、私の心の中のもやもやに取り組んでいけそうな気がする。
ちょうどその時期に見た二つの新聞記事が、抑え込んでいた「葉酸のことをもっと知りたい」という私の背中を押してくれた。

葉酸摂取について学んで、自分が何をしたいのか、まだよくわからない。
身近な人に葉酸のことを伝えたいのか、もっと大きく日本に葉酸摂取のための仕組みを作りたいのか。もっと現実的に、保健師として地域の中で、葉酸摂取を含むプレコンセプションケアをしていきたいのか。
わからないけれど、葉酸摂取に関することを学んでいきたいという気持ちははっきりしてきた。

どこから始めたらいいのか、まず、研究しておられる先生を見つけることから始めよう。学んでいく中で、「障害の子どもを産んだ母親」としての経験や、保健師として働いていることも、もしかしたら役に立つことがあるかもしれない。

着付けやボーカルレッスンと同じように、今年楽しく学びたいことの一つに「葉酸摂取のためのプレコンセプション」をあげたいと思う。




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