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日本酒の面白さを発信したい!創業200年の歴史を持つ喜多屋 営業担当 "木下雄大"さん

「喜多屋」は福岡県八女にある、日本酒(地酒)と本格焼酎の、歴史ある蔵元です。その喜多屋の営業担当として、また福岡の地酒の素晴らしさを発信する仕掛け人として大活躍されている木下雄大さんに、日本酒の魅力と、それを発信するエネルギーの源についてお話を伺いました。

【プロフィール】
出身地 : 福岡県八女市
活動地域:福岡市、久留米市
経歴:福岡県八女市の酒蔵 喜多屋の一族として生まれる。大学は広島の酒どころ西条の近くであったため、暇さえあれば酒蔵見学などをして日本酒にどんどんとはまっていく。
大学卒業後、単身シンガポールに渡り日本食レストランにて酒ソムリエとして活動。
5年後、アメリカへ渡りニューヨークの飲食店にお酒を卸す酒屋に就職。営業職として日本酒と焼酎を販売しながら、数多くの日本酒イベントを開催。6年間のアメリカ生活を終え福岡へ戻り、喜多屋に就職。1年半の蔵人研修を終え営業部に配属。今に至る。
現在の職業及び活動:喜多屋営業職、イベント時のお祭り男
座右の銘:踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々

記者 本日はよろしくお願いいたします。

木下 雄大 さん(以下、木下 敬称略) よろしくお願いします。

日本酒の面白さを発信するモデルに

Q. 木下さんの思い描く夢やビジョンを教えてください。

木下 僕は日本酒で勝負しています。いま日本酒ブームが広がっているけれど、実は消費量としては飽和状態なんです。このブームを一過性のものにせず、日本酒の底上げをしていきたい。そのために現場で日本酒の良さ、面白さを最大限語れる、プレゼンできる人材になりたいと思っています。なぜかというと、そこが日本酒業界の課題なんです。いま日本には、そういう人が非常に少ない。アメリカに僕がいたときの話ですが、現地のソムリエさんたちのプレゼンはものすごいんです。楽しませることに特化していて、面白さを挟むことが上手! 日本酒の知識の勉強も大事だけど、いざお客様に話すときには、それはほとんど必要なくて、「日本酒面白いな!」と思わせることが大事だと分かったんです。なので、まずは自分が日本酒の面白さを発信するためのモデルになっていきたい。そしていずれは、人材育成までやっていきたいと思っています。
 喜多屋は福岡では大きめの蔵で、営業やPR、イベントに人を割けるのもありますが、小規模な蔵元さんたちは自分たちのこだわりを上手に発信できる機会が少ないんです。喜多屋としてのビジョンを語るなら、喜多屋が福岡での日本酒のトップリーダーとして、福岡の地酒を盛り上げられるPR隊長のような役割を果たさなければならないと思うんです。それを通して、「福岡でお酒と言ったら、木下だよね」と言ってもらえるような、そんな存在になっていきたいですね! そして5年後・10年後を考えながら、蔵元同士が連携して互いの魅力を引き上げる組織作りもしていきたいです。

日本酒で「幸せになる戦争」の興行を!

Q. 木下さんの夢を具現化するために、どんな計画や目標を持っていますか?

木下 まずは人脈形成ですね。他の蔵の今後を担う若手、お酒に関わってくれる人とつながること。
 時代を動かす、福岡の地酒が東京や海外ではじける、ということを目指すならば、「戦争」だろうなと。日本酒はみんなが幸せになるツールですから、「幸せになる戦争」です。では何と戦うかというと、相手は「ほかの県」です。そのイメージは「プロレス」ですね。興業です。ある程度のあらすじを決めたうえで、バチバチの戦いを派手にやる! 福岡の地酒が別の県の団体と面白いことをしている、とメディアもほっとかないくらいに。話を聞くと、ほかの県でも、地酒に対して尊厳や誇りがない方も多いみたいです。そんなところに、乗り込んで、戦って、目覚めさせる! そんなのをやりたいです。また、アンダーグラウンド的な世界観が好きなので、今までの地酒に関するイベントに無いような、ダークな側面があるイベントもやってみたいです。
 また、現在ある大きなイベントについても、問題と感じていることに対して提案していきたいと思っています。たとえば「&SAKE FUKUOKA」ですが、15,000人の来場がありました。(参照:https://andsake-fukuoka.com/)日本酒にアンテナを張ってくれている人がたくさんいることはわかりましたが、実際ににぎわった蔵は20%くらいだったんです。それ以外の蔵元さんをも引き上げるイベントになればと。今まで知らなかった蔵元を発掘する楽しみに、飲み手の方にも気づいていただきたいですね。

情報を引き出し、整理し、伝える能力が大切

Q. その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような活動をしていますか?

木下 まず自身のプレゼン能力の向上が必要です。ほかの蔵元さんや酒屋さんとの情報交換で、お酒造りやお米に関しての情報を引き出していくととても面白い。そうやって情報が集まってきて、さらにそれをアウトプットできるようになっていかないと、活動をひっぱっていけません。そういった話をする技術を高めるために、実は落語を聞いたり、芸人さんの語りを聞いたりして勉強しているんです。あのくらい引き込む能力があればと。話すことが得意なら、得することが多いじゃないですか。

記者 努力していらっしゃるんですね! そのなかで一番大事にされていることは?

木下 情報を整理する能力です。喜多屋の杜氏(お酒造りの責任者)に話を聞くと、お酒造りで重要になるポイントを簡素なひとことで言われるんです。その意味を自分の中で整理して、だからどうしてこの味になるのか、どうしたらおいしく飲めるのか、方程式を組み立てるのが大事。これはソムリエのスキルですね。それを上手に話し、伝えることで、飲まれている方に楽しんでもらいたい、おいしいと言ってもらいたいです。

チャンスを得る、システムを作れたという成功体験

Q. その夢を持ったきっかけは何ですか?

木下 アメリカにいたころ、私が働いていた酒屋さんで扱っている日本酒は、ほとんどが有名ではない蔵のものばかりでした。飲食店さんは有名なものを求められるので、私たちの扱うお酒は見向きもされない、という状況があり、どうにかしなきゃと。そこで気づいたのが、結局ブランド力で消費者は選んでしまっているという事実、そしてお店の人もそれをそろえなければならないという仕組みです。しかし逆に考えれば、有名じゃなくても売れれば問題ないわけで。そこで、「お酒の魅力を伝えるサービス」を提供するためのスタッフトレーニングを始めました。後輩や社員を集めてお酒の勉強会「酒塾」をはじめ、あたらしい流れをつくろうと。みんな飲むのは好きだけど、面白おかしく表現できない。だから、お米の銘柄などの表向きの情報も含めて、このお酒が造られた風土、そこの料理やお祭り、歴史的背景などの資料を作って勉強会をしたんです。
 最初は流れは変わりませんでした。でも1年たって、2年たって、状況が少しずつ変わってきて、あそこの会社の人は妙にお酒に詳しい、という評判が立ってきました。有名でない蔵元にもちゃんとスポットライトが当たる、そのチャンスを作れる。そういうシステムを作ることができたという成功体験が、この夢のきっかけだと思います。
 小さい蔵元さんたちは、ニューヨークにわざわざ出張に来てくれても、ほったらかされていることが多いんです。ブランド力も構築できずに帰っていく、とてももったいない状況です。これを使わない手はない。ひっぱりまわして、イベントも開催させてもらって、それによって私たちが「お酒のことを真剣に考える会社ですよ」というアピールもできました。ブランディング専門の会社ではないけど、そういうところに頼らなくても、僕が動いたことで蔵元さんが気付いて、工夫が始まってくれればと。

相談される、感謝されることで芽生えた正義感

Q. その背景には何があったんですか?

木下 アメリカ時代、問屋と蔵元の関係など、みんながみて見ぬふりしている現状をたくさん見ました。福岡に戻ったいまも、やはりそういうことはあるんだろうなと思います。現に酒蔵の数は減っている。ビジネスができていない。やっぱり何かしないといけないという、正義感、でしょうか。一緒にやりませんか、と日本酒に携わっている人たちを巻き込んでいきたいですね。

記者 そういう正義感は小さいころからあったのですか?

木下 ないですないです(笑)お酒以外のことはてんでないんです。
 それまで相談されることや感謝されること自体あまりなかったから、うれしかったんだと思います。しかし、お酒に関しては、的確なアドバイスができます。それで相談される、感謝されることで、「これはおれが体張らんといかん」というのが芽生えました。背筋を伸ばしてくれるポイントでしたね。だからお酒の勉強をするし、なんでも情報を取り入れる。お酒に関することは何でも来い、っていう状態にしておきたいです。それ以外のことはごめんなさい(笑)

記者 他のものに目が行くことはありませんでしたか?

木下 結構飽きやすくて、あんまり続きませんでした。しかし、お酒に関してだけは妥協できないんです。ただ、正解がないジャンルですよね、嗜好品というのは。正解がないけれども、面白おかしく話せる、それで楽しんでもらう、っていう状態が、僕の中では正解です。喜多屋も「喜びが多い」と書きます。多くのお客さんに楽しんでもらいたい、これはお酒を紹介する人みんなに共通することだと思います。その方法が、私はちょっと多くしゃべる、っていうことなんです。

記者 今後どんな人と出会いたいですか?

木下 若手の子がよいですね!一緒にわるだくみをしよう、と(笑)
 自分の手が届く範囲をしっかり見定めてやろうと思います。みんながみんなチャンスが巡ってくるような、よりよい社会になったらな。お酒の世界も!

記者 ありがとうございました!

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【編集後期】

今回取材をさせて頂きました、梅津、清水です。「イベント時のお祭り男」という名がぴったりの木下さん!私たちの取材にも面白く、そして丁寧にお応えしてくれました。その背景に日本酒への熱い想い、問題意識があるがゆえの使命感を感じました。今後のご活躍を心より応援しています!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも記載されています。


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