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私の内側にある部屋の話。

私の内側には、部屋があります。
ずっとずっと昔から。

解離性同一性障害(多重人格)のちょっと不思議な話。


内側の部屋。解離性同一性障害の人によく見られるようです。ネットで調べると「内界」と表現している人が多いですね。ここでも内界と呼びましょう。

私と他の人格はこの内界の部屋に住んでいて、そこから現実世界の身体を操っています。
ゲームのアバターと操作している自分、みたいな感覚。アバターが現実で、操作しているのは内界にいる人格。


内界で一番外側に近い大きな部屋は、私たちのリビングみたいな場所。

白い壁紙、真ん中に大きな白いソファと焦茶のサイドテーブル。大きな本棚。シンプルな部屋。

最近、主人格がこのリビングの模様替えをしたらしい。(主人格とは一番メインで稼働している人格です。)
前はもっと殺風景だったけれど、少しおしゃれになりました。

身体を支配している人格はこの部屋の一番前に立っている状態で、表には出ていないけれど様子を見ている人格たちはここでソファに座ったり立っていたり。運転席と助手席みたいです。

この、様子を見ている人格とは交代しやすいです。人格交代が起きるとその人格は一番前にワープします。
なので人格交代したら困る場面では、表にいる人格以外全員別の部屋に移動してもらいます。それでも具合が悪いと交代を起こすことも。


部屋の正面から見て左右の壁にはいくつかドアがあり、主要な人格の部屋になっています。私の部屋は向かって左側。薄いピンクが基調の寝室にしています。

他の部屋は、主人格の部屋だけ入ったことがあります。主人格の部屋は向かって右にあって、白基調でシンプルすぎるので病院みたいになっています……と書いていたら主人格が「えー、そんなあ」と言いながら模様替えを始めました。笑。

内界では、現実世界のように暮らすのに必要なものを揃えなくてもいいので、他の人格も好みに合わせて部屋を作っているようです。また、管理している人格に作ってもらうこともあるみたい。


リビングみたいなこの部屋の、突き当たりの壁が大きな本棚になっていて、無地でカラフルな背表紙が並んでいます。ただ、本を開いてみても中は読めない文字が並んでいるだけ。
内界の管理人格いわく、ここに書いてあるのは私たちの自分史らしい。本の内容と同じ記憶のある人格は読めるのだと思います。

本棚の左右にはまたドアがあり、さらに奥の廊下につながっています。奥の部屋で暮らしている人格や眠っている人格もいるみたいです。

奥の廊下がどこへつながっているのかはよくわかりません。
私が知っているのは子供部屋があるらしいということ。
小さいテーマパークのような子供部屋がいくつかあって、子供人格はそこに閉じ込められているようです。できるだけ表に出てこないように。

うっかり子供人格に交代すると、表では突然子供のような振る舞いをし始める人になっちゃいますからね、これ、大変恥ずかしいんですよ……。


そうそう、地下もあるらしい。主人格の部屋から入れると聞きました。最近になって見つかったようです。最初からあったのか、新たにできたのか。

さらに部屋の外には海があると聞きました。私は行ったことがないんですけれど。内界のこの部屋は、海の孤島に建つ家のようになっているみたい。


こんな感じで、私も内界の全貌は知りません。

管理する人格に許可をもらった人格はこの部屋を改造できるので、日々お互いに知らないうちに少しずつ部屋が変化していきます。家具が変わっていたり、ドアが増えたり減ったり。

私は自分の部屋以外は変えられません。変えられたらちょっと面白そうだけど。いつも「また変化しているなー」と見ているだけです。


ずっと部屋があるのが当たり前すぎて、頭の中で声だって常にする。みんなそういうものだと思っていたんですけど、いつの日か病院で話したらすごい驚かれました。驚かれたことに私も驚きですよ。

そのくらい自然に、内界があります。

今日はちょっと誰かにこの部屋の紹介してみたかったので書いてみました。




今日は「コールドスリープ」を紹介します。

調子のよかった2019年ごろの私が、解離の一番ひどかった時期をイメージして作った曲です。

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