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【番外編】「イノフェス 2018」で出会った興味深い音楽ネタ|テクノロジーと音楽の祭典 J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2018 の感想・レポート

音楽大好きブロガーのakari(@akari_otogenic)です。

9月に東京・六本木ヒルズで開かれたテクノロジーと音楽の祭典「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2018」1日目に行ってきました。会場に足を運んだみなさま、悪天候の中本当にお疲れ様でした!

アーティスト、イノベーター、起業家、ジャーナリストなど、各方面から選りすぐりの著名人、そしてテクノロジーが集まって「これから」について共に考え、楽しむこのイベント。音楽はもちろんのこと、これからの日本の将来に興味のある人にとって、大注目のイベントです。

今回は数あるトークセッション・パフォーマンス・展示などから、いくつか音楽に関する面白いネタを仕入れてきたので、簡単にまとめてみました。

内容全てを書くことはできないので断片的にはなってしまいますが、ぜひ最後までお付き合いいただけたら嬉しいです!

1|スウェーデンは、世界第3位の音楽輸出国である

多岐に渡って活躍しているクリエイティブ・ディレクターの高城剛さんの講演にて。

北欧のスウェーデンは、実は音楽輸出で世界第3位を誇る作曲家大国なんだそうです。

スウェーデン出身の音楽家なんてあまり馴染みがないし、聞いたこともない・・・と思う方も多いかもしれませんが、ブリトニー・スピアーズ、ケイティ・ペリー、テイラー・スウィフト、ボンジョビ、セリーヌ・ディオン、バックストリートボーイズなど、名だたる有名アーティストの作曲を担当しているのはスウェーデン人なんだとか。

本件に関する関連記事を見つけたので、シェアしたいと思います。

嵐にEXILE、少女時代…スウェーデン音楽家が世界の作曲を牛耳る理由(週刊ダイヤモンド)
世界的に有名なポップソングのほとんどを、1人の男が作曲している(TABI LABO)
アヴィーチーに、アイコナ・ポップも! スウェーデンが「音楽大国」になり得た理由(COURRIER)

日本でいうと、嵐やEXILEの作曲についても、スウェーデン人作曲家は増加しているそうですよ。


2|フィンランドのクリエイティブ教育がすごい

こちらも高城剛さんの講演にて。

自分が実際に教育大国フィンランドの中学校で目にした光景について話してくれました。

フィンランドでは、音楽の時間に何をするかというと・・・

実際にプロのミュージシャンを教師として迎え、音楽の授業を行うようです。プロのDJからトラックメイキングを教わったり、プロ監修の元作曲をしたり、ギターの音源が欲しいと思ったら、実際にギターを作ってみたり、とにかくクリエイティブ。

こんな授業だったら、受けてみたい・・・!と思わず思ってしまいますよね!

まさにフィンランドでは「大人が受けたくなる授業」を実践しているそうです。

下記では、フィンランドの音楽教育について紹介されているので、気になる方は読んでみてください。

フィンランドの義務教育における音楽科カリキュラム


3|音楽ストリーミングサービスの台頭

亀田誠治さん、蔦谷好位置さん、ジェイコウガミさん、鈴木貴歩さんという、豪華メンバーによる対談にて。どの方も音楽業界で存在感を放っている方で、これからの音楽業界について真剣にディスカッションをされている姿が印象的です。勉強のためにと私もよくブログや著書を読むようにしています。

トークセッションのテーマとして上がったのは、SpotifyApple Musicといった今アツい音楽ストリーミングサービスについて。

ストリーミングサービスが出てきたことにより、

国や時代関係なく様々な音楽が聴ける地続きなつながり感が出てきた

と亀田さん。

さらにSNSも相まって、今まであったような隔たりがなくなりつつあり、まさに音楽業界の構造が変革が起きているとのこと。

ただし、海外ではストリーミングの文化がすでに根付いている一方で、日本ではまだまだCD文化が根強く残っている印象を受けます。

蔦谷さんは、「ストリーミングが伸びる国はレコード会社がファンと向き合っている国。伸びない国は上司と向き合っている国」なんてこともおっしゃっていましたが、やはりサービス一つとっても、国民性であったり古くからの歴史や文化がどうしてもついてきてしまうし、その中でいかに「変えようぜ!!という流れを業界全体に作るかが重要であり難しい」ということを実感しました。


4|バイラルチャートという新しい音楽の指標

3のストリーミングサービスの話の中で出てきたのが「バイラルチャート」という言葉です。

セッションの中で、ジェイコウガミさんがわかりやすく解説してくださいました。

Spotiyのバイラルチャートは、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標です。

具体的に、どうやってランクづけをしているのかというと、ストリーミング再生回数やリスナーがSNSでシェアした回数に基づいてランキングが決められます。

単なるCDの売上枚数は、もはやその曲の人気を表す指標にはなり得ない、ということですね。

プレイリスト専門WEBマガジン「DIGLE」では、バイラルチャートをわかりやすくチェックできるのでおすすめです!


5|人を見て音楽を聞くのは日本だけ

話題は、日本と海外の音楽文化の違いについて。

日本では、アーティストに対する距離感、頑張っている人を応援するという行為から生まれる親近感が重要であるため、下手でも味があれば売れる。

日本では「人」をみて音楽を聴く傾向にある。でも海外ではミュージシャンのレベルが高く、チャートの上位に上がってくるのは「うまくて味があるアーティスト」。

こうした音楽文化ひとつとっても日本は世界と比べて特殊であるし、その特殊さを客観的に理解し、それを生かす方向で日本の音楽が世界で生き残るための次の一手を打たなきゃいけないんだと思います。


6|コーライティングがなかなか浸透しない日本

セッションの中でもう一つ気になるワードが登場しました。

それが「コーライティング(Co-Writing)」。

正直、作曲のことをよく知らないので重要性が理解できなかったのですが、「コーライティングを取り入れていかないと日本は時代に取り残される」というようなニュアンスで皆さん口々に言っていたので、少し調べてみました。

作詞・作曲から録音、編曲に至るまで、今まで一人で行っていたところを、それぞれエキスパートを集めて一つの曲をみんなで作る、いわゆる「共作」です。

一人でなんでもかんでもするよりは、それぞれ専門分野を抱えた複数人が集まって作業をした方が効率も良いし、完成度も高くなります。

音楽プロデューサーとして海外での作曲経験の豊富な亀田さんも、

海外では昼過ぎから「共作」に取り掛かって、スペシャリストがそれぞれの専門分野を手際よく作業を進め、夕方には1曲が完成してしまうことが多い。夕方ごろになると、急に「今日は大事なディナーがあるから」「娘が家で待っているから」と言ってみんなそそくさと帰っちゃうんです。

とコーライティングの面白さについてコメントしていました。

まさに、働き方改革を実現していますよね・・・!


7|普通のスピーカーで聞ける立体音声がすごい

トークイベントだけではなく、イノフェスでは様々な企業がテクノロジーをテーマにブースを出展していました。

中でも面白かったのが、KISSonix HDFXという音源制作システム。なんでもこちらのスピーカーで立体音響を再現できるんだそうです。

コンサートや映画、音楽などの音源を3Dの立体音響に変換して臨場感あふれる音空間を楽しむことができるそうです。

私も実際にスピーカーの前に立って体験してみましたが、ふわっと音で体を包まれるような感覚がしました・・・!

すでに渋谷のヒカリエやプロジェクションマッピングのイベントなどで導入されているとのこと。

家庭用として普及したら新しい音楽体験を生活に取り入れることができて、面白いなぁと思いました。


8|KREVAが送る全てものづくりを行う人に捧ぐ曲が感動的

イノフェスでは、様々な音楽アーティストによるライブパフォーマンスも行われました。

中でも、KREVAさんの「存在感」という曲がイベントの主旨とマッチしていてすごくよかったのでシェアしたいと思います。

存在感がある
存在感はある
この「が」と「は」でだいぶ変わる
それはわかるだろ?
お前は確かにかんばってる
でもやっぱりそれだけじゃダメ
周りは結果で判断してる
なら 目に見えるカタチを出せってこと
その人の中にある何かが語りだすような
そんな存在であれ

人工知能が発達し、人間のあり方について議論されることが多くなった今日。

自分の存在意義について悩む全ての人の心に突き刺さる一曲です。


9|日本そして音楽のこれからについて

イベントの中で、各界のイノベーターの方々のお話を聞く中でみなさん口を揃えておっしゃっていたのは、

将来テクノロジーがどれだけ進化しようとも、結局大事なのは人であるということ。人の敷いたレールの上を歩くのではなくて、椅子取りゲームの椅子を取り合うのではなくて、何か新しいこと・自分が心からやりたいことに飛び込むチャレンジ精神。そして、目の前の人に対して常に誠実に接し、信用を得ていくことが個人個人の最強の生存戦略になる。

会社として、あるいは国として、組織単位でイノベーションを促進するためには、その組織のできる範囲の仕事をするのではなく、できる範囲を常に広げて行くムード・雰囲気づくりが重要である

ということでした。

音楽ジャーナリスト、ジェイコウガミさんの意見を借りるなら、「次々と新しいことにチャレンジしていく「常に今がベストの組織」を作ることが大切。それを実現させるためには、組織に依存しない個人個人が主体性をもてるような環境づくりと、そうした主体性を持った個人間の信頼が積み重ねが欠かせない」ということ。

これは、音楽業界だけではなく、日本社会全体に言えることだと思います。


まとめ

今回は、下記のコンテンツを体験した感想をまとめました。

・「30年後の世界へ」高城剛
・「J-POPの世界戦略」亀田誠治/蔦谷好位置/ジェイコウガミ/鈴木貴歩
・「新しい社会と経済の作り方〜学生からの手紙2018〜」田原総一朗/落合陽一/西野亮廣
・KREVA LIVE PERFORMANCE
・展示:TECHS

音楽好きにとってはたまらない、素敵なコンテンツばかりでした・・・!

各講演後、来場客のみなさんからはトークの内容について語り合う声が多く聞こえてきたように思います。

世界で今何が起こってるのかを理解するしようとする姿勢と、それを踏まえて自分が何をやりたいかをみんなが積極的に周りに発信しようとする光景は私にとってすごく新鮮で、すぐに状況は変えられないかもしれないけど「小さなできること」を継続することによって明るい未来が見えるような気がしました。

最後までお付き合いいただきありがとうございました^^


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