82年生まれ、キム・ジヨン(チョ・ナムジュ著)に出てくる気になるコリアな単語たち

出産、子育て、いじめ、社会的地位。女性が経験し得る差別を凝縮したかのような作品です。

82年生まれ、キム・ジヨンには、各所に韓国ならではの表現や単語が出てきます。あらすじと合わせてメモしてみました。

二〇一五年秋

キム・ジヨン氏、33才。子育ての疲れからか、異変を家族や親戚に見せるようになる。

チョンセ(P6):韓国の賃貸方式。賃貸契約時にまとまった保証金を払うことで月々の家賃を支払う必要がない。現代は、毎月決められた額の家賃を払うウォルセが主流。

幽体離脱話法(P9):政界と距離を置くような脱政治的姿勢。朴槿恵大統領がその代表的存在だと認識されている。

四骨汁/サゴル(P11):牛の脚の骨を煮出したスープ。

秋夕/チュソク(P12):韓国のお盆。

一九八二年〜一九九四年

時は戻って、キム・ジヨンが生まれてから小学生の頃まで。子育て・家事に追われる母の苦労。小学校に上がって男女差別をなんとなく認識するようになる場面が印象的。

清渓川/チョンゲチョン(P30):ソウル市内を流れる川。今は綺麗な観光名所だが、昔は劣悪な工場密集地帯だった。

ポルチプ(P30):労働者用の狭いアパート。

一九九五年〜二〇〇〇年

キム・ジヨン、中学生〜高校生。女子だけどうして寒さに耐えなければいけないのか。どうして「男」の弟だけが家族内で贔屓されるのか。生理、痴漢、進路。ジヨンに厳しい現実が突きつけられる。

韓国の中学校のクラス構成(P46): 共学でも男女別々のクラスで構成されることが多い。

あひる歩き(P48):体罰の一種。日本でいううさぎ飛びのような位置付け。

高校の割り当て(P56):韓国では高校受験がなく、住む地域ごとに通う高校が割り振られる。

IMF危機(P63):1997年韓国が通貨危機により国家破綻を免れるために、国際通貨基金 (IMF) からの資金支援の覚書を締結した。

大学修学能力試験(P63):韓国のセンター試験。

二〇〇一年〜二〇一一年

大学生活から社会人生活まで。初めて彼氏を作り、彼氏の兵役を経て、別れを経験する。サークル、就職活動でまたもや男女差別を実感することとなる。「どうしろっていうの?(女は)能力が劣っていてもだめ、優れていてもダメと言われる。」

ここでは大学生活に関するキーワードがたくさん出てくる。

大学生サポーターズ活動(P87):就活のための学生活動。

SKY/スカイ(P88):韓国の一流大学、ソウル大学、高麗大学、延世大学の頭文字。

味噌女(P108):見栄っ張り女の総称。

ソゲッティング(P113):友人の紹介で異性と出会うこと。

ガラスの天井指数(P118):職場での男女平等を示す指標。

二〇一二年〜二〇一五年

結婚。姓をどう継ぐか。子育て中にもまたしても姓差別に直面するジヨン。

オフィステル(P121):オフィス+ホテルの造語。

本貫/ポングァン(P123):その家系の始祖の出身地のこと。結婚時に影響することもある。

ママ虫(P158):育児もろくにせずに遊びまわる母親を示すネットスラング。

二〇一六年

うつ病を患うジヨンについて。

日本人の私にとってはいささか大袈裟にも取れる描写が多い本作品。男尊女卑、女性嫌悪。多くの日本人にとって、お隣の近くて遠い国、韓国について考えるきっかけとなる小説でした。

主な登場人物

キム・ジヨン:主人公

チョン・デヒョン:主人公ジヨンの夫

チョン・ジウォン:ジヨンとデヒョンの娘

オ・ミスク:ジヨンの母

キム・ウニョン:ジヨンより2歳年上の姉

チャ・スンヨン:ジヨンのサークルの女の先輩


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