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赤坂美療プロローグ 番外編

 画廊だと信じて湯島に向かい、湯島駅を出て会長さんから言われていた番号に電話をすると、勢いのある男性から道案内をされます。

 言われた通りに進み、小綺麗なマンションの一室のドアを開けて見た物は、事務机と電話機が数台しか無い部屋、眼鏡をかけた長身薄毛の男性と、海馬を使わずとも一瞬で記憶出来るだけの本数しか残らない前歯を剥き出しで微笑む小柄な男性…。

  『騙された。ヤバい所に来た…』

着いた途端に引き返す口実が細切れに頭をグルグル巡ります。

 スカスカの歯を剥き出しに微笑む男性が明るく

   『オヤジに聞いてるよ‼︎』




 (オヤジ⁉︎何⁉︎ヤ○ザ⁉︎逃げなきゃ‼︎)

心の中がザワつきます。。。

 ひとまず冷静に、相手を怒らせないように
(飲み屋さんに来るヤンチャさんへの対応ですね)
平常心を装って普通に挨拶を。

 そこにオヤジと呼ばれる会長さんから電話が入り

「悪い奴じゃないから大丈夫。良く話を聞いて、終わったら後で電話くれる?」

と。


内心は


絵無いじゃん💢
オブジェ無いじゃん💢
掛け軸無いじゃん💢
会長じゃ無いん💢
オヤジじゃん💢


の怒りがムクムクです。


 当時の私の画廊の知識がこんな物だった事が今思うとバカ丸出しで恥ずかしいのですが、事を荒立てたら帰して貰えなくなるかも………位に思っていたので、冷静に冷静に、静かに、穏やかに

      『はい』

        と電話を切りました。

 そこからは、拍子抜けする程に淡々と、新しく始める予定の仕事の説明が始まります。


※性感マッサージという新しい風俗を始める。
※お客様を御徒町駅からホテルに案内する。
※とにかく電話を受けたらマニュアル通りに説明して、女性をホテルに派遣する。


だいたいこんな感じです。

どうやら歯無しさんが社長のようです。

口から飛んで来る唾におののきながら聞いていると

「オヤジから何て言われたの?」

と聞かれ 

「画廊をオープンするから受付をと…」

と言うと


 『グヒャヒャヒャヒャヒャ〜〜』


と薄毛と歯無しが笑います。


既に苛立つ気力も無かった私は、会話もそこそこに湯島を後にして、オヤジに断る決意を固め電話を入れたのです。

…これが赤坂美療との出会いです。

 結局、オヤジこと会長さんから美味しい条件を提示された私は、断るつもり満々だった決意をいとも簡単に覆し、電話番におさまるのです。

 オープンしてからは、ちらほらしか鳴らない電話にマニュアル通りの説明を繰り返し、性感マッサージが何かを知らないお客様に、性感マッサージを知らない私が顔を赤らめながら電話対応をする日々が過ぎて行きます。 


 知らない人にア○ルなんて言葉を発する事になるなんて、少し前までは考えてもみませんでした。




 あまりにこの日のインパクトが強くて、ほぼ私の感想だけの内容が無い物になってしまいました〜😆


 番外編という事でお許し下さい🙇‍♀️

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