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「Webライターになるにはどうしたら良いか」と特にライターでない自分が聞かれて回答するとするならば


たまたま複数人から近いタイミングで、これに近いことを聞かれました。
せっかくなので私なりのモロモロを書いてみます。
マニュアルとかノウハウ本のように理路整然とはしていないし、そもそも私自身がプロでも何でもないので、ただの雑感くらいに捉えてください。その中でもし拾える小銭があれば儲けものですね。


前提

●再現性があるかはわかりません。自分の体験と見知る範囲のことだけで語っています。界隈によっては違うケースもあるだろうし、貴方に合わないかもしれない。こういうルートもあるのだな程度に理解してください。
●具体的には私の知るのはおもしろ記事界隈(後述)程度であって、真面目なお堅いメディアとか、女性の性生活のことばっかり書いてるメディアとかそういうのはよくわかりません。
●そもそも私は本業は会社員で、ライトをしてマネーをたまに頂く機会がある程度、具体的な収入は雑所得の上限をちょっと越えちゃって確定申告してる程度です。副業というほど大きくもやっておらず、自分の中では自分はWebライターであると思っていません(記事中の便宜上そう名乗ってることもありますが)。また本業にしようとは今は思っていません。Webライターをナメてる意味ではなく、いきなり仕事を辞めるとかじゃなくてこういうスタンスもアリでしょうという話です。


結論

社会人は結論から先に語るものです。なので書きますが、結局これに集約できるのかなと感じます。

①名刺代わりのヒット作品(記事)を書く
②それ以外のバズってなくていいから記事を書くことを続ける
③顔と名前を売ってコネを作る

以上です。これだけ書くと胡散臭いプロブロガー界隈と言っていることが大差無いので申し訳ないのですが、結論だけだと彼らに近い意見です。フリーでやるとしても、そういうWebの記事作ったり編集したりしている会社の社員に転職で入るにしても上記は大事かなぁと思います。

ここから後はダラダラと書いているので、お時間がある方のみどうぞ。もちろんこんなのでお金取りません。


①名刺代わりのヒット作品(記事)を書く


私が文章を書いてお金を貰えることもあるようになった経緯は、
・企業やオウンドメディアへの紹介
・直接の寄稿依頼
・自分たちでやっているサイト(ハイエナズクラブ)への寄稿依頼
基本的にこのどれかです。いずれも自分の本業や私生活の都合でお断りしていることも多々ありました。もし仮に全部受けていれば、独身なら専業でもギリ暮らせるかなくらいの感覚値はありました。

ではなぜ依頼や紹介があるか、それはやはり実績とコネにつきます。


実績をつくる

転職あるあるとして、やりたい仕事があったとしても「経験者採用」のみで詰む、という例はよくあります。つまり「服を買いに行く服が無い」ですね。でもWebライターに限っては「実績が無い」は(この言い方は厳しいですが)言い訳にしかならなくて、今すぐこのnoteなりはてなブログなりでアカウントを作れば、実績を作り始めることができますよね。これもどこぞのプロブロガーが言ってる「今すぐ書け」ってやつです。貴方が今この文章を読めているツールがあれば書けるでしょう。書けばそれが実績です。

……「でも書いても誰にも読まれないし」という“詰み”を感じている人もいると思います。しかし案外この世界は実力主義というか、面白い人は正当に面白いと評価され、面白いフリをして金出してフォロワー買ったりした人はすぐに看破されたりするものです。そこはネットユーザーを信じていいのかなと思います。面白い記事、読まれる記事を研究してもいいかもしれません。私自身、めちゃめちゃバズった記事というのを書いたことは無いですが、ネットの人がリアルに会うときは大抵「ああ、あの記事の」とか「ああ、あのサイトの」という言い方になります。つまり記事が名刺になるのです。

とはいえ、フォロワーもいない、ブログ読者登録もない、では読まれて評価される以前の話です。「誰かに見つかる」ようにするにはどうすればいいのでしょう。

今は恵まれた時代で、おもしろ系のWebライターへの最短距離は賞にひっかかることです。具体的には「オモコロ」のオモコロ杯か、「デイリーポータルZ」の自由ポータルZのいずれかです。特に後者は通年募集、これに応募しない手は無いです。ここで何度かひっかかるようになれば、自ずと少なくない人の目に留まるようになります(私はデイリーの中の人ではないのでここからのスカウト等がどうなのかとかはノーコメントです)。

その他、通年ライター募集しているWebメディアも多数あります。ただ少なくとも「あなたどんなの書いてますか」に出せるものが無い人を採用するワケがありません。だから記事を書くことは大事なのです。貴方の名刺であり顔であり実力を示すものですから。

またこれは主観かつ根拠が明確にあるわけではないですが、幸いこのあたりのギョーカイは慢性的な人手不足感が漂っている気がしなくもないです。仕事でやってる人とは別に私のような兼業/片手間/日曜ライターとでも言うのでしょうか、そういう人は、数年で飽きるか、本業や私生活の負荷の高まりなどで消えるケースが少なくありません。なので「書ける」人は一気に寄稿依頼がバカスカくるイメージです。上が詰まってるみたいなことにはなっていないのでご安心ください。

ちなみに僭越ながら私たちでやっているハイエナズクラブというサイトでも年1回ほど趣向を変えながら賞を設定し「まだ世に知られざる才能の発掘」を意識しています。結果論ではありますがハイエナズクラブ出身で花開き、最終的には本を出版したりWebの会社に就職したりした人もいます。もちろん本人の努力と才能の賜物ですが、そこに僅かながらもブーストをかけてあげたとも思うところでして、要するに“ワシが育てたおじさん”をやっていきたいのでこれはずっと言い続けます。

②バズってなくていいから記事を書くことを続ける

次に私のネット活動の具体例をご紹介します。
mixiが廃れたあたりであそこを脱出してブログを始めました。理由は二つで、ひとつめは単に書くのが好きだからです。趣味なのでお金を稼ぎたいとかは一切なくて、なんなら金払って広告外したいくらいです。
ふたつめはせっかく書くなら誰かの役に立ちたい。大きく言うなら「インターネットへ貢献」です。

なので、ひとつめはマジで趣味の写真と心持ちを文章に綴ったシャラクサいブログを(まだやってるよ!)作り、もう一つは趣味で出かけた場所(当時はそういうコトバは無かったですが、今は珍スポとか呼ばれてるジャンル)やお店(古い純喫茶や食堂が好きなのでそういうもの)、さらには自分の生活で経験した、他の人にも役立ちそうなノウハウや体験を記録したブログを作りました。例えば少額裁判をした体験談なども書きました。

そういうことをしていると、いずれ検索で見てくれる同じ趣味の人や同じ困りゴトを持っていた人などが見てくれます。先ほどの「趣味の写真と心持ちを文章に綴ったシャラクサいブログ」ですらたまに知らない人からリアクションをもらえたりカメラのレンズ名で検索した人が見てくれたりというのがあります。自分が無名であってもGoogleは等しく検索結果に返してくれるのです。
特に行ったお店の記録ブログなどは、当時まだ食べログやぐるなびもしょぼい時代だったということもありますが、かなり検索やブログのランキングベースで見られる機会が増え、リアクションを頂いたりしました。
その縁でハイエナズクラブに誘われたり、有名ライターに会ったりという機会が出てきたりしました。ブログの内容は私が書くものですから、特に文章力が優れているとかめちゃめちゃ面白いとかもなく、まあ普通です。ひとつだけ意識したのは、書きながら「これを役立てる人がどこかにいるといいな」ということを忘れないようにしただけです。そこから色々なコネに繋がっていき今に至ります。

お金が後から付いてくるということ

私もよく色々な調べごとを検索したとき色々なサイトやブログに当たるわけですが、殆どの人はそもそも「金が欲しい」みたいな前提ではなく、備忘とかノウハウの共有とか周知とか認められたいとかで発信活動をしている(た)わけです。これは非常に有り難いことです。極論、タダで発信する人が居なくなってしまった「企業サイトだらけのインターネット」を想像してみてください。それはただのデジタル雑誌ですね。しかもショボい情報量の。そんなインターネットは死です。インターネッ死です。

私の感覚では、まず金のことは置いといて好きでやること、そこに後から色々面白い話や寄稿といった幅の広がることが付いてきたというイメージです。だから一度もWebライターになりたいと思わなかったし今も思っていないです。この文章だって誰にもお金ももらわずに自分の時間を割いて書いています。動機は単にキーボードを打つのが好きなのでそのテーマが貰えたことと、誰かの役に立てばいいなと思っているからです。

最近は「まず稼ぐ」ありきでサイトを作るというパターンの人が一部で増えました。収益がどうだのばっかり書いて何の役にも立たず面白くもなく、しかも自分が稼ぎたいだけのくせに稼ぎ方を売るだのという、無から無を生み無を売るという無サイクル。私は自分の人生の時間を大切にしたいのでそういう無駄な読み物はなるべく避けたいところですが、しかし登場人物のピラミッドのトップレベルは数年間同じメンツですがそれ以下の底辺は沸いては消え沸いては消えるというおもしろ現象が遠巻きに視界の端っこに入っています。つまりはそういうことですね。

 
③顔と名前を売ってコネを作る

上記のふたつができていくと、自然とコネができます。たまにコネ先行で、何もないのにライターを名乗って何も無いのにフットワークだけは軽いッス!今日は大阪からこの5分のために東京に来たッス!立派な名刺もあるッス!みたいな人もいますが、そのダサさに気付いてないのは自分だけで後で飲み会でネタになるという悲しい結果になりますので、それなりに書くことをやっといたほうがいいと思います。
顔と名前を印象づけるというのは、単純に思い出しやすくなって、頼ったり相談したりというきっかけになるからで、これはWebライターというよりは社会人一般の話です。だからといって「どうも●●です」と自分の顔写真から記事を始める必要はなくて、「これ書いた人どんな人だろ」と思ってもらえたときにスルスルと辿れるSNSや連絡先、プロフィール記載のホームページがあるといいのかもしれません。少なくとも私が頼む立場だったら、書かれた記事だけでは判断せず、人となりやある程度の経歴等を見たくなります。記事は良くてもTwitterがゴリッゴリのレフトorライト思想RTばっかりとか愚痴ばっかりとかメンのヘラみっぷりとかでヤッパやめた!という判断されることもあるでしょう。私ならそうしますから、私のTwitterを見てそれでも依頼をくれる企業はマジでどうかしてるのかもしれませんが、逆に人柄が良さそうだとちょっとコンタクトしてみようかな~とかあるかもわかりません。

サロンとかマジで金の無駄ではないか

なんかオンラインサロンとかいうよくわからないシステムに安くないお金を払ってスタートする方もいるようですが、少なくとも自分の周りでは「○○サロンで学んできた」みたいなWebライターは見たことがないです。それは『彼岸島』で吸血鬼に血をチューチューされる装置に座りに行くようなものに見えます。知りませんけど。

よく、「プロの○○になるにはどうしたらいいですか?」という問いに、「その質問をした時点で終わってる。言われなくても自ら○○をしていないようでは…」というレトリックがあります。確かにプロブロガーのウン万円するわけわからん講座の言説を真に受けて「よぉ〜し オイラもブログ始めるぞ!」だと既に終わってる感はあるのかもわかりません。そもそも「Webライターになるにはどうしたらいい」という問い自体ちょっと正直自分には感覚的にわからなくて、「水を飲むにはどうしたらいい」とか「ウンコをするにはどうしたらいい」とかみたいな、改めて聞かれても「う〜ん」となってしまうような、そういう印象でいます。
(だから書きながら整理にならない整理をしているというかんじですね…グチャグチャしてごめんなさい)

要は好きでやってる、インターネットに触れる中で自然にやっているという感じの人が自分の周りには多くて、「ネットの活動でお金を貰えるから貰ってるけど、貰えなくても多分書いてる」というタイプの人が結果的にお金も貰えるようになってるのかもしれません。

もし書きたいことが無いとか、何を書けばいいかわからないとか、そういう感じであればメルカリの転売を極めたほうが企業に属さずにお金を稼げるかもしれません。自分の得意分野をよ〜く考えてみましょう。

あと、ここでは割と「顔と名前が前に出てるWebライター」を想定して書いていますが、実際のところは記事を書いていても記名はちっちゃく出してるだけの人、あるいは名前も出さない編集側の人でも高い実力のある人は大勢います。ハデじゃないのでよく見えてないだけで。仕事にするという意味ではそっち側の立場になるルートを目指すほうが安定していて良いのではという気もします。

結局、自分は仮にお金をもらえなくても文章を書くのが好きかどうか、それを内省してみるのがまずは大事なのかなと思います。

(おわり)