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私的・贈りものの考えかたメモ

 ある程度の年齢になると、ちょっとした手土産や贈りものにはセンスが現れてくる。自分が贈りものをするとき、どういう考えでモノを選んでいるかを以下にメモしておく。あまり今まで手土産や贈りものの体験がない若い方にはもしかしたらこのメモが少しは役に立つかもしれない。

 大原則として、自分で欲しいものリストを表明しているのでないならば当然のことながら「贈る相手の人のことを考える」。自分の好きなものを贈ること自体は構わないが、相手がどう思うかを全く考えないのならば、それはたまたま喜ばれたらラッキーだというだけの自己満足だ。そして考えのない押しつけはセンスを疑われる事故に繋がる。
以下、5項目について簡単に私見を記す。


■飲食物
 ある程度の収入のある年齢だともう欲しいモノ自体は大抵自分で買ってるハズなので、食べ物を贈るのはベタなようで最大効果を上げる確率が一番高い、ひらたく言うとコスパが高いと捉えている。なぜなら、食べ物はある種「体験」を贈る、という意味合いも出てくる。貧乏人にも金持ちにも、若者にも老人にも、あたらしい体験には等しく価値あるものだからだ。お金持ちが色々な高級店に行ったりするのも味だけではなくて半分は体験を買いに行っているのだし、地方名産のお土産もその地の物が食べられる体験が嬉しいのだ。
 というわけで食べ物は一番センスが出るものだが、奥深いのでどう選べばいいかわからないという更なるドロ沼も待っていたりする。私の選び方は大体以下のポイントと自分自身としての買いやすさ、消費期限などから総合的に判断する。

・贈る相手が自分で買いにくそうか
 東京の人に対して地元限定、地方の人に対して東京限定などや、大田区在住の人に杉並区の店のもの、みたいなチョイスも良い。ネットで買えないものだと更にレア感が増す。デパ地下の地方物産展や時期限定の店なども活用すると良い。余談だが私は一時期毎週のように妻の実家に帰っていたこともあり、デパ地下のお菓子ブランドにはかなり詳しくなった。

・相手が知らなそうか
 どこどこの地域で作ってるハチミツが…とか、ここのサラミが…みたいな、あまり有名でないけど自信を持ってすすめられる美味しいものを知っていると、きっと喜ばれる。単にモノとしての良さだけでなく、相手の新しい体験も提供していることになるからだ。

・必須事項
 当然贈る人の好みやアレルギー、それに現状(たとえば禁酒中の人にお酒とか、ダイエット中の人に高カロリーのお菓子を贈るなどはNGだ)の情報をおさえておくのは必須だ。あと、一度喜ばれたからといって何度も同じものを同じ相手に買わないこと。一つ覚えと陰口言われてしまうかもしれない。


■逸品系
 実用品などで、特に「ワンランク上のもの」を指す。この手の贈りもののメリットは、被っても大丈夫、という点につきる。つまり大体の人は持っているものでも置き換えとして利用してもらう、ないしは予備として利用してもらえる、あるいは最悪他の誰かに譲れるものであり、貰う側は困らない万能性を持っている。ので、私は迷ったら取り敢えずよくこの手の贈りものを選ぶ。
 具体的にはたとえば、高級な爪切り、毛抜き、耳かきといったものや、この辺はある程度の値段のものは低価格のそれとは抜群に使い心地が変わってくるので、単純に喜ばれる。
 なお箸、ボールペンや名刺入れなどは趣味性も出てくるのでこの意味ではやや難しい贈りものになる。もっと趣味の色の無いものが良いだろう。


■家電系
 発想としてはゴルフコンペの賞品と同義なのだが、要するにあまり普及率の高くないジャンルの製品をはじめて使いとして贈る、というパターンである。うまくいくと新しいライフスタイルを提案できるのでとてもハマる人もいるが、逆に生活にフィットせず数回使って放置されるリスクはある。当然ながら、持ってないかどうかの事前リサーチと、そういった新しいものへの関心度合い、それに場合によっては一緒に自分が使うことも視野に入れられる関係性の相手だと良いかもしれない。
 具体的には、眼鏡洗浄機、電動歯ブラシ、ホームベーカリー、美顔器、鼻毛シェーバー、歯間ジェットウォッシャー、スチーム洗浄機、ハンディ掃除機、タブレット、といったあたりであろうか。


■必要シーン系
 個人的なことだが、子供が生まれたときに色々頂いた。何が必要かもよくわからない中で貰ったアフガン(おくるみ)やスタイ(よだれかけ)などは今も役立っている。そういう風に、子供が生まれた人に対してとか、結婚した人とか就職した人とか、新しいライフステージに行く人にはわかりやすい。とくに自分がそっち側の経験者だと、経験から欲しかった、役に立ったなどがわかりやすい。ある人からは出産祝いにバランスボールを頂いて、なんだコレはと思ったものの、子供を寝かしつけるのに大変役立っている(抱っこして縦揺れさせると眠くなるので、その揺れを簡単に作るのに最適なのだ)。自分が“その道”のセンパイでないなら、経験者に聞いてみると良いと思う。


お金・金券
 いわゆるお祝いごとや謝礼としての、お金や金券を包むべきシーン以外でのコレは、確実に間違いの無い80点の安パイであるが、センスや思いを感じてもらえるかというとそれもまた無い。ただ、どうしても自信の無いときはヘンなものを押しつけるよりこれが一番であろう。個人的には予算がモロバレなのがいやなので採らない方法だが。


■まとめの私見
 個人的には、お金をくれるのであればモノが貰いたい。それは、自分という人物のことに思考と時間とお金を割いてくれた結果その人として導き出してくれた成果物であり、その気持ちが嬉しいからだ。
 だから自分が贈る側のときは、そういう思いでどんな贈りものにするかを考える。

 もし自分で欲しいものがあればそれはそもそも自分で買うので、自分の引き出しに無いものが貰えるのが一番楽しい。引き出しの多さは、すなわち様々なジャンルのモノに対する知見の広さだ。だからセンスに直結する(知見が広くてもセンスが悪い人のことを、世間では“ダサい”というらしい)。よく知ってる相手だからと、かなり具体的に欲しがってるものを贈るのも勿論良いと思うが、それはある意味で相手に甘えた贈りものなので、もっと自分で色々と考えて調べて実際に買ってみてというのを積み重ねたうえでのチョイスができると良いのかもしれない。




あとがき

 本当はどうせくれるなら100円分の何かが欲しいけど、そういうシステムはないので投げ銭設定だけさせていただきます。まとまって振り込まれる段階になったらどういう使い方をするかまた考えます。


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