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道のおばあちゃん
僕はとある住宅街の長い一本道に立っていた。
50mくらい向こうの方から結構な年配の女性がこっちの方へ向かって歩いて近づいていた。 ヨタヨタしていて、腰も曲がって、足も曲がっていて、少し重たそうな買い物袋片手。杖片手。なんとか三歩進んで、一呼吸。そしてまた三歩。
僕は率直に「大変そうだなぁ、かわいそうだなぁ。」と思った。 なんなら 「独り身なのかなぁ。寂しいかなぁ。」とかまで想像した。
僕はどうするべきかなぁ。荷物持って運んであげる?でも仕事中だし、どこまで帰るかわからないし、実は人見知りだし。
やらない理由を探している卑しい自分。
着実にどんどん近づいてくるおばあちゃん。
もし車が今あったら乗せてあげる?どうかなぁ。 おばあちゃん、あんまり綺麗な格好じゃないし、なんかよくわからない独り言ずっと言ってるし、会話成立するかなぁ。
どうするのが正解か。答えがあったら教えて欲しい。
と思ったらへんで、おばあちゃんは僕のいた地点を通り越して、その先にある高級寿司屋の中にゆっくり消えていった。 大将も慣れた様子で扉を開けて閉めた。
僕はその時、率直に「ま、負けた。」と思った。
そしてすぐ、さっき求めた答えも返ってきた。
その人にはその人の人生があり、簡単に勝手にかわいそうだなんて思っちゃいけない。自然な成り行きで助けたくなったらばできる範囲で助けたら良い。
ましてや負けた。なんて思ってる時点で自分の方が優れているという考えがベースにあったという大変おこがましいやつだなお前は。そういうやつに限って、人を優劣で見て、ゴマすったり、見下したりするんだ。 確かに五体満足で生まれてラッキーかもしれないが色んな人生それだけではない。もっといえば自分のラッキーをもっと見つめ直しなさい。。。
これは飲食店の食べログとかそんなのにも言えるなと思います。勝手に星がいくつで味がどうのこうのあそこのラーメンは出汁がどうのこうのだから味がどうのこうのでここは良いけどここは微妙だのどうのこうの。
料理人ほど他人の料理の悪口は言わないんだよなぁ。
2018-03-07