自叙伝風小説41ファイナルテーブル編

「一日目は好調だったし、二日目も不調ではなかったよ。実際そのトーナメントではセミファイナルまで残ってインマネもしたしね」
「おお、大舞台でもさすがですね!」
「うーん、ありがとうね?でも、言い方を変えれば負けてしまったわけだよ。インマネの賞金でもう少し大きな大会にエントリーしたらそっちは残り3テーブルまで行ったけどダメだった。当たり前だけど最後の方はどんどんレベルが高くなっていくし、激しくなっていくから大変だなぁって改めて感じたよ。あとは、オンラインのトーナメントがメインだったから、あのライブトーナメント特有の緊張感に慣れてきたのもそれくらいだったかも」
「あぁ、やっぱり別物ですか?」
「うん、今話した勝ち方も確率を見れば難しい勝負なんだけど、なんとなくの空気感で感じることがあるしね」
麻雀プロとかもやっていた彼だからこそできる事なのかもしれないと倉田は頷いて感心していた。
「それに、オンラインでもあったとは思うんだけど、ライブの流れというか、空気も独特な気がしてね?敗退が決まった時は僕がもうチップ残り少なくなってきて、ブラインドも大きくなってたから長くないなって時でさ。そんな時に♢K♢Qが入ったんだよ。H Jの僕はショートスタックだからプリフロップでオールイン仕掛けて、そしたらM Pだけが乗ってきたんだよ。彼は♡と♧の7でペアでさ。これはまだできるかもって思ったんだけど。フロップは♧10♧J♤8。ターンで♢4が落ちて。あれ、もしかしてきつい?って」
思い出しながらアカヤギは笑っていた。
「K Qあってフロップに10Jが見えてたらいけるって思っちゃうでしょう?9かAでストレートだからさ。・・・でも、♤4が最後で、僕は負けちゃったんだよ」
確率とか見ればおかしい話じゃないけど、と付け足しつつも彼は懐かしむように二度ほど頷いていた。
「なんか、負ける時はちゃんと負けるなっていうか、流れとかがもうないんだなぁって思ったりもしたよ」
「・・・なるほど・・・正直僕は今聴いているだけでは解らないから帰って確率とか見て初めてわかるとは思うんですけど」
そう前置きしながら倉田は必死にメモを残していた。
彼のメモはすでにスートと数字、レイズやコールなどのメモが走っておりまるで歴戦のポーカープレイヤーのようでもあった。
「でもインマネしたり結果は出してるじゃないですか。さっき言ってたけどブレスレット?は日本人では全然いないんですよね?」
「うん、それはもちろんそうだけどさ・・・一回もファイナルテーブル残らないんだって思ってね、当時は」
「そういうものですか」
倉田からすればレベルの高い、オリンピックとも言われる大会で上位に残っている時点で自慢できるようなものであるはずで、彼の向上心がそこ知れぬことを知ることとなる。
「じゃあ、それがあって大会出るの嫌だなぁって思わないんですか?今もポーカーされるんですよね?」
「うん。続けてるし嫌だなぁとは思ってなかったな・・・多分、次のトーナメントのおかげかな」
「次のトーナメント?」
「うん、ベネチアンってホテルで開催されていたディープスタックチャンピオンっていう大会だったんだけどね・・・あ、ディープスタックっていうのはスタート時のチップがみんな多いっていう感じかな。トーナメントによってはリバイって言ってチップが少なくなったら一回だけ追加で買ったりできるんだけど、それをする必要がなくて・・・でも、最初からポットが大きく激しい戦いが多い印象かも」
そう説明してからアカヤギはそのトーナメントの話をし始めた。

朝なんとなく思ったのは、いつもより目覚めがいいということだった。
寝てる時間も起きた時間もさほど変わらないし、むしろ最近はポーカー漬けの一日を繰り返しているから脳も体も疲れ切っているはずなのにだ。
いいプレイができるかも知れないなぁ、なんて思いながらベネチアンのディープスタックチャンピオンポーカーシリーズにエントリーした僕は誰より先にテーブルについて人を待っていた。この大会に参加しているのは120人。賞金総額は10万ドル程のトーナメントだ。
15000点分のチップを重ね、ゆっくりと首を回していると少しずつ人が集まってきて、9人のテーブルが埋まった。
慌ただしい会場が落ち着くといつものようにトーナメントが開始され、すぐに僕の元にもカードが回ってきた。
最初のハンドは、♢J♤J。今日はいきなり勝負するべき時が来たようだ。
いきなりポケットペア、しかもJでかなり強いとは思わなかった。正直まだ頭も準備し切ってない中でのこれはなかなか難しい。
それに皆のプレイ傾向もわからないのに、だ。
だがジャックスで勝負しないことはありえない。H Jだしいいだろう、と考えていると、いきなりU T Gがレイズしてきた。
僕はそれに頭を抱えてしまう。U T Gがレイズするのはかなり強い手が考えられる。全員の中で一番初めに動くから何も情報がないのだ。かなりの自信がないといけない。
しかも、トーナメントの1ハンド目の1アクション目だ。一切の情報がない中でのレイズは本当に強い。1ハンドでいきなりそんな強いペアが来るか、と言いたいところだが別に1ハンド目も100ハンド目も確率は同じだ。それに僕自身ジャックスだから。
結局皆悩まずに降りていく中、僕は少しだけ悩んで時間を取ってからチップを手にした。
彼のレイズしたチップにリレイズしてU T Gの顔を確認した。
髭が濃い黒髪の男性。年齢から見ても僕よりプレイ時間はかなり長そうに見える。彼は髭を撫でながら少しも考えずに楽しそうに微笑むとチップを投げてコールした。
フロップは♤A、2、4。面倒臭いフロップだ。
相手が1ハンド目だしディープスタックだから適当にスーテッドだからレイズするか、程度で参加した考えかも知れないのに、それだったらフラッシュの可能性があるのだ。
僕もフラッシュドローではあるが難しいことに変わりはない。
U T Gのチェックに僕もチェックで返し、ターンは♡5で、これまた面倒臭い。
もし相手がAとかKが入っていてスーテッドだからと参加した場合、いや、単純に強いカード一枚あるから1ハンド目でレイズしてみるか、程度に気楽に参加していた場合だ。もしもう一枚が3だったらストレートになっている可能性も出てきてしまった。
相手が今度はしっかりと時間を取ってからチェックし、僕は対照的に時間を空けずにチェックを返した。
リバーは♧A。これで僕はA Jのツーペアで確定だ。
悪くはないが圧倒的に有利でもない。というより確率で考えたら不利ですらある。
相手もポケとペアだった場合、U T Gでレイズするということは強くないとできない、はずだ。Q Kのどちらかだった場合僕は負けだ。
1ハンド目でなければもっと戦いようがあるはずなのに、何にするにも相手の傾向が全くわからず難しい。
そう悩んでいると彼はポットの半分くらいのベットをしてきた。
ブラフなのかどうかも情報がなさすぎる。それにレンジで考えれば全体的に不利な気もする。Q Q、K K、Axで負けであるし、それどころか3が入っていても負けで♤のスーテッドでも負け。
仕方ない、戦えないカードではないし相手のハンドを見るという意味でも乗ってやるか。
1ハンド目だしこれで敗退もないからと割り切ってコールすると彼は諦めたように笑いながらカードを表にすると出てきたのは♧4♧K。どうやらとりあえずスーテッドでKも強いからとレイズしたのだろう。1ハンド目だから皆慎重になると踏んでのことだろうか。
もしかするとかなりアグレッシブなタイプなのかも知れない。
僕もカードを表にするとチップを受け取る。
結果的に勝ちはしたがなかなか難しい戦いだった。今日も大変そうだが楽しいことは楽しいので僕は知らず笑顔になりながら次のカードを確認した。
♧3♡7。ポーカー最弱とも呼ばれるハンドで僕はカードを戻して笑ってしまう。
1ハンド目でジャックスが来て確率の悪い戦いを勝った後は最弱か。
今日は何か起きそうだ、と楽しみにする気持ちを隠しながらカードを捨てた。
そしてその予感通りというべきか、このトーナメント、もしかしたらこのテーブルだけかも知れないがかなりアグレッシブな戦いが多かった。皆チップに余裕があるからだろうがレイズもベットも多く、勝負することが多かった。その影響で皆チップの増減が多く減らしては獲得しての繰り返しで1時間たってもなかなか誰か一人が抜け出せずにいた。
そんな中大勝負となったのは25−50のブラインド最後の戦いだった。
僕に入ったのは♤Q♧Q。ポジションはS Bだ。
どうなるかな、とレイズすることを決めて周りを確認するといきなりU T Gがレイズしてきたのだ。150のレイズになんとM Pがコールし、C Oがリレイズしたのだ。600になったのにさらにボタンがコール。
僕は早くも激しくなった戦いを見て楽しくなってしまう。
そして今日の流れは自分にあるはずだ、と強気にリリレイズをかけた。一時間の間にほぼ団子だが若干チップに余裕のあった僕は2000に上げた。
クイーンズが十分に強いしあわよくばここで一歩抜け出したかったというのも勿論ある。
そしてこの強気のリリレイズに怖がったのか膨らんだポットに見合うほどのハンドではなかったのかU T G。M P、C Oは降りた。だがボタンはコールしてきてくれてまたヘッズアップとなる。手の甲にタトゥーの入った若者はコールしてチップを数えて投げながら僕に人の良い笑顔を向けてきた。
大きな勝負だしよろしく、とでも言いたいのだろうか。
僕もとりあえず笑顔を返すとフロップが配られた。
♢8、♢10、♤2。僕は♤と♧のQだからまだ何か手が進んだわけではない。
だが、ボタンの彼もそれは同じだと思う。お互いまだ敗退になるほどではないとはいえ激しい戦いになっても残ったのだ、Q Qの僕と同じように強い手ではあるのだろう。
KK、A A、Aとピクチャーだったりスーテッドだったり。
だがそのほとんどで今のコミュニティカードはあまり影響を及ぼさない。
難しいなぁ、と悩んで3000をベットするとボタンは頭を抱えて投げやりにカードを捨てた。大きなポットが取れたと安心したところでブラインドが上がる。このテーブルで一つ抜けた僕はかなり有利だと言えるだろう。
実際、これが理由でもあって僕は強気にプレイすることができるようになっていった。
少しあと、僕のハンドに♤A♢Qが入った。H Jだった僕は3B Bレイズしたのだが、皆降りていく中S Bだけがリレイズをかけてきた。10B Bにしたのだが、もし負ければこれでかなり彼はチップが減ることになる。だがそこまで僕には痛手でもないので僕はすぐにコールした。
フロップは♡J♡K♤10。かなり数字も大きく強いカードだらけだ。
それに何より一発でナッツストレートだ。これは今の段階で負けのあり得ない強い手だ。
もちろんフルハウスやフラッシュを完成させられれば負けるのだが、確率はそこまで高くないとは思う。リレイズしてきたのを考えればポケットペアの可能性がまず高い。もし10J Kのどれかのペアだった場合フルハウスなどに進んでしまえば負けてしまう。そしてスーテッドだった場合ハートが二つ出ているのが気になるところだ。
もっとも、今の時点ではかなり有利なことに間違いはないので僕は勝つためにできるだけチップを稼ぐことを考えていく。
S Bがチェックしてきたのでできるだけ降りないように、かつブラフだろうと思って欲しいラインを考え、6B Bくらいに安くベットする。無事コールしてくれたので安心しつつターンを見ると出てきたのは♧J。正直嬉しいカードではない。
ジャックスだった場合フォーカードで負けるし、K、10でペアだった場合フルハウスで負けだからだ。
だが負けてもここは痛手もないし、何より確率で言えば完全に僕が有利なのだ。油断はしないが恐れる必要もない。
相手のチェックに、また僕はベットで返す。安めだが先程よりは少しあげた17B Bくらいのものにしたのだが、相手はしばらく悩み、僕をブラフだと思っているのか勝つ自信があるのかまたコールしてくれた。
リバーは♡4。これまたあまりうれしくはない。
先程までのに加えハートのスーテッドでも負けてしまうからだ。
ターンではフラッシュドローだからコールしたのかもしれないということを気にしつつ、僕はまた消極的な彼にさらに安い8B Bほどのベットで返す。そしてS Bはしばらく悩んで数分かけたあと、ゆっくりとチップを数えた。
それは明らかに僕より多い枚数で、結果一気に僕のベットの10倍くらいにレイズしてきた。
かなり強い手を持っているとは考えられる。だが、フォーカードだったらオールインしてきてもいいし、すでに十分こちらがチップを出しているので降ろしたいという気持ちもあるはずだ。そう考えれば少しレイズの額が大きすぎる気がしてきて、僕は彼がブラフしている可能性に行き着いた。
僕がコールすると彼は諦めたように乾いた笑い声をあげる。
だがそこでマックする理由もないのかただ項垂れた彼がショウダウンしないのを見て僕も諦めてカードを表にした。
彼は裏向きに投げ捨てると頭を抱えてしまう。
彼のチップが大幅に減り、一位の僕がそれを獲得したことでさらにプレイは楽になったと言えるだろう。
そしてそのくらいの時間になってくるとあちこちでテーブルを後にする人間も出てきて、トーナメント自体に激しさを帯びてくる。
ブラインドも上がり日も暮れそうな時間、何度かテーブルを入れ替えても僕は順調にチップを増やしていた。
そして、周りにはかなりチップの少ない人間も多く、脱落者も増えてインマネも目前だった。
普通の戦いに加えてショートスタック相手でどう立ち回るかもこの先には必ず必要になってくること。本番は練習のようにとはいうが、僕は今自分のスキルアップも考えつつしっかりとプレイができていた。
そしてブラインドが200―400になった時。僕のテーブルにも初めての脱落者が出た。
そしてそれに引かれるように次々とチップを0にする人間が増えてきて、僕が意識し始めるよりも先にインマネに入った。
インマネするためにどうするかという考え方で戦わず、目の前の1ハンド1ハンドに集中していたせいでそれを気にする暇も無かったのだ。集中できているからいいのか、トーナメント全体を見られていなかったと反省するべきか。兎にも角にも僕は賞金が確定した。
そしてこうなるとさらに脱落者が加速するのがトーナメントの常。インマネが確定したがチップ数はない人間がかなり投げやりとも言える強気のプレイングが増えるのだ。
そんな中で、しばらくいいハンドが来なかった僕に良い手が入った。
♤8♢8でポジションはC O。最強ではないが十分にレイズできる手だ。
全員が降りていく中、僕がレイズすると、S Bが小声でオールイン、と呟いてチップを投げたのだ。
唯一残っていた僕は顎に手を当ててS Bの顔を見つめた。
彼の前にあるチップは決して多くない。ブラインドも大きくなった今ではもう脱落が目の前だ。だからオールインと言っても10B Bないくらいで、僕からすれば全然多くないチップ数だ。
だが、もちろん負けては痛手ではあるし、ここで一人少なくなるかどうかで状況は大きく変わる。
だからこそ僕はしっかりと考えた。
彼は勝負できないからこその投げやりなオールインではありそうだ。だが、だからと言って何もないのにオールインしなければいけないほどではない。まだ4周くらいは十分まだ時間は稼げるからだ。だが、今するとすれば何かいい手が入ったという事だろう。
だが、エーシーズやキングスのように強い手かどうかというところも考える必要がある。
自分が彼のようにあと少ししか持たないとなった場合、本当に強い手が入るまで待てるかどうかの勇気があるかと考えると、難しいところがある。
ある程度でもオールインでは降りてくれるかもしれないし、今以上に強い手が来るまで残っていられるかなどを考えた上でそこそこでもオールインする可能性はあるのだ。
すでにインマネは決定しているし、これで無理だったら潔く諦めようかと思っていた場合だ。
それを踏まえてもペアかスーテッドなのは間違いないとは思うのだが、そこまで強くもないだろう。
それに僕も数字は強くないがペアだ。相手がペアだったらもちろん自分より大きければ不利だが、そもそも一枚引いた時点で大きく上回ることになるのであまり変わらないとも言えるだろう。
十分にやる価値はあると判断して僕はコールをした。
ヘッズアップでオールインなのでハンドを公開すると、相手は♢K♢7。数字も大きくてスーテッドだからと勝負に出たのだろう。
この時点でペアになっている僕の方がかなり有利だ。
そこまで不安にならずにフロップを確認した僕はリラックスするように大きく息を吸った。
カードは♢Q♧3♡6。よし、圧倒的に有利なままだ。
怖いのはダイアが連続で出てきてフラッシュになるくらいだ。
だがその不安をなぞるようにターンは♢3。
ここで負けても敗退ではないが面倒だからここで倒しておきたい。祈るように立ち上がって見ているS Bを確認しつつもう一度大きく息を吸い込んだ。
リバーは♡5。一瞬赤でひやっとはしたが僕の勝ちで確定だ。
ペアでオールインに乗ってよかった、と目を閉じるとS Bの彼は立ち上がりテーブルを離れていく。
こうしてまた一人減ったところで、アナウンスが流れ、また僕はテーブルの移動となった。
そしてそこがこのトーナメントのファイナルテーブル。今回のW S O Pに来ての初めてのファイナルテーブルで僕は思わずワクワクしていた。
笑顔になってしまいながら周りを見るとそこそこ名前のわかる人間も多く、やはりレベルは高いのだなと思っていると見知った顔を見つける。
それは同じ日本人で戦友である関谷洋右だ。関谷さんに声をかけたいけれどすぐに人が集まってきてしまい、座る位置も反対で遠かったため軽く頭を下げるだけに我慢してチップを並べた。
このファイナルテーブルでも僕のチップは多い方のようで、二番手か三番手というところだろう。
周りにギャラリーが集まってくる中の最初のハンドは♧5♤9。ポジションはH Jだが参加できるようなハンドではない。U T Gの関谷さんが大きめにレイズしてきたこともあって僕はすぐにフォールドした。
最初に勝負できたのはそれから数ハンド降りたあと、僕がM Pに入った時だ。
2000−4000のブラインドでU T Gがいきなり12000の大きなレイズを仕掛けてきた。
だが僕の手は♧Q♧Kでかなり強いので、十分戦えると判断してリレイズを仕掛けた。
35000ほどのリレイズにも相手は乗ってきて、僕のファイナルテーブル初戦はヘッズアップとなった。相手はU T Gでレイズにもコールしてきたということはかなり強い手ではあるだろう。エーシーズかキングスほどではないにせよクイーンズ、ジャックスは全然持っていてもおかしくないと言ったとこだろうか。だが今日は僕の流れが大きくある。そしてそんな一日の流れを表すかのようにフロップは僕に有利なカードが落ちてきた。
♢K♤K♧J。かなり有利であり、ほぼ勝ちと思っても良い。
まずこの時点で相手はキングスではないことが確定したし、エーシーズでもクイーンズでも僕のトリップスには勝てない。
怖いのはジャックスですでにフルハウスになってしまっていることだろうか。
だがそれくらいであとはかなり僕に有利だと言えるだろう。
相手のチェックに対して僕は30000のベットを仕掛けた。すると相手もしばらく悩んでからコールしてくれターンは♤2。
ほぼ関係のないカードで僕には有利だ。相手はまたチェックで流してきたので、ジャックスではなさそうと判断し、先程乗ってきたし十分なポットだから降ろしても良いか、と僕は大きめのチップを数えた。
そして10万ほどの大きなチップを投げると相手は流石に乗ってこずカードを投げ捨てた。
かなり強気でアグレッシブな攻撃だったが間違ってはいないだろう。
僕はそこそこ大きなポットを獲得し、まだ十分通用すると安心しながら次のカードをまった。
数十分しチップの多い人間がさらに伸ばし、少なかった人間がさらにチップを減らしていた状況の中、C Oの僕に♡9♡Jが入った。
なかなか難しいところだ。ポジションも強いしプリフロップでのレイズはできるだろうがそこまで圧倒的に強いハンドではないしペアでもない。
僕の前まで全員が降りていた状況ということもあり8000のレイズを仕掛けたのだが、そこまで大きなレイズでもないということもあってかS BとB Bが乗ってきてくれた。
フロップは♧7♧10♢9。僕は思わず腕を組んで考えてしまう。
セカンドペアにはなったから全く駄目というわけではない。
だが♡は一枚も落ちなかったからフラッシュはありえないし、僕のカードのスーテッドは無意味になってしまった。
一応ストレートドローではあるのだが相手がクラブのスーテッドだった場合フラッシュドローになっていることになる。コミュニティカード自体はそこまで強いわけではないからS B、B Bとチェックで流れてきて、僕も間髪入れずテーブルを叩いた。
ターンは♧4。
これでクラブのスーテッドだった場合フラッシュが完成したことになる。
対して僕は最高に手が進んでもストレート止まり。かなりショウダウンで勝つ確率は低いと言えるだろう。
そう考えているとS Bが10000のベットをしてきてしまい、さらにはB Bもそれにコールした。
乗りたくはないが、S B、B Bの二人はこのテーブルの中で1、2のショートスタックだ。10000も彼らには大きなチップ量であり、僕にとってはそこまででもない数字だ。
そう考えるとここで降りるのも正解か、と気になってしまう。
彼らが実際に今強い手だった場合、フラッシュが今の時点で最強の手だ。
そうなるとAかKか、強いカードを持つ人間が勝つことになる。
もし彼らがそれぞれK、Qがトップのフラッシュだった場合Aのフラッシュが怖いだろう。
まだ降りるには早い、と判断して僕はコールを返した。
そしてリバーは♢Q。
さらに強いカードで僕は三番目のカードでのワンペアが確定してしまった。
どうしたものか、と悩んで相手のレンジと自分のレンジを考え直していると、S B、B Bはチェックで流してきた。
そこでさらに僕は考えることが増えて腕を組んで時間をかけた。
今の時点で7万弱のポットであり、彼らからしたらぜひ欲しい量だろう。
だがここでチェックということは消極的ということだ。思ったより進んでいないのかもしれない。もしかしたら僕と同じようなカードでストレートドローだったが叶わなかったのかもしれない。
J Qなどでストレートドローだった、ということも考えられるということだ。
だとしたら今トップペアだ。だが彼らは負けたらほぼ敗退だと言える状況で、結構怖いと思う。
その状態だと考えればチェックということも頷ける。
もしくはお互いにフラッシュだが強い数字はないという状況かもしれない。
そこで僕は気持ちと考え方を切り替えるように一度頷いてチップに手を伸ばした。
そして45000というポットの7割のベットを仕掛ける。10やQ持ちを降ろすためのベットだ。
それに今二位でこのテーブルではかなり圧倒的なチップの差であり、彼らが勝負するならオールインするしかない。
対して僕は3位にすら落ちないくらいに貯金がある。
この大きな勝負ができるか、と確かめるようなベットに二人は示し合わせたように苦笑いを浮かべた。
そしてS Bはすぐにカード裏向きに捨てる。
BBはしばらく悩んだ末、同じように悔しい顔でカードを捨てた。
Qはあったがキッカーが強くなかったのかもしれない。今敗退をかけて勝負することはできないと判断してくれたのだろう。
僕はじっとテーブルを見つめながら自分のもとにやってきたチップを確認していた。
ブラフはいつだって緊張するが上手くいってよかった。
僕はできるだけ顔も変えず少ない動作でカードを返し、チップを並べる。
ここまでチップを稼いできた僕だからできる戦い方だっただろうが、それも含めてのトーナメントだ。さらにチップを伸ばしてチップリーダーと僕はほぼ同じチップ量になることができた。
三位の関谷さんと二位の僕の差はこれで一気に開き、10万点近くなった。
彼は十分に強いのはよくわかっているが、この差は結構なものだ。
ある程度安心して強気でプレイはできるだろう。
そして数ハンド後、E Pの僕は参加できないとカードを捨てると、H Jの関谷さんがレイズし、C Oがさらにリレイズを仕掛けた。
もちろんここまできたからには現実味のある優勝が目標ではあるが、同じ日本人の関谷さんにも頑張ってほしい気持ちはある。
そんな彼は僕をチラッと見ると整った顔を引き締め直して軽く上を見上げた。
そして意を決したようにオールインと呟き、チップを投げる。
そしてC Oもそれにコールした。
これで負けた方が敗退の大きな勝負だ。
関谷さんのハンドは♧A♧10。プリフロップでオールインするかどうかという手ではあるが優勝を目指して勝負に出たのだろう。
対するC Oは♢A♤Q。純粋な今の確率だけで言えば関谷さんの方が不利になってしまう。
フロップは♧3♡J♢Q。
これでさらに不利になってしまうが、Kを引けばストレートで逆転できる。
どうなるか、とテーブル中が注目するオールイン勝負、ターンは♤4。
また一つ確率が狭まり、いよいよ持ってKが引けなければ負けてしまう。
知らず僕も緊張して勝負の行く末を見守っているとゆっくりリバーのカードが開かれる。
そして出てきたカードは♤K。
「っしゃ!」
思わず声を出して立ち上がってしまった関谷さんの気持ちはよくわかる。10パーセント以下の勝負に勝ったのだ、勝負して正解だっただろう。
もっとも相手がショートスタックということもありまだ差がある三位ではあるのだが、それでも大勝負に勝ったという流れも大事だ。まだ諦めていないというのもよく伝わってきた。
ここからは僕も一層力を入れて頑張らないといけない。
テーブルの人数が一人減り、また次のカードが配られる。ハンドは♧4♤9。BBの僕だが勝負できるてではない。レイズがあったらそこで降りるしかないだろう。
そう考えていると先ほどの流れを表すかのように関谷さんはレイズで一気に大きなチップを投げる。
僕の隣でS Bがさらにそれに3倍近いリレイズを仕掛けたのを確認して僕はカードを捨てた。
関谷さんはリレイズにも果敢にコールし、フロップに移る。
カードは♡8、♡9、♢2。
あまり強いカードではないだろう。
唯一ハートのスーテッドだったら嬉しい、くらいだろうか。
♧A Kなどより77のペアなどの方が強い事になる。彼らのプレイング的にしっかりと強い手が入っていることは想像できるがどうなるだろうか。
S Bがかなり小さいベットを仕掛け、関谷さんがそれにコールする。
あの小さなベットは少し気になるところだ。かなり強い手で、できるだけ関谷さんからチップを出させるようなベットに見えたからだ。
ターンは♡2。これはかなり状況が変わったと言えるだろう。
ハートのスーテッドだった場合フラッシュが完成したことになるし、弱い数字とはいえ2がペアになったのだ。ツーペアからフルハウスドローも十分に考慮しないといけない。
そしてS Bが少し先程より多めにベットし、関谷さんはノータイムでそれにコールした。
このアクションは難しいところだろう。今3位で先ほどのオールイン勝負でチップを大きく増やした関谷さんと下から二番目のS Bだ。できるだけチップを出させたいS Bのアクションにも取れるし、降りてほしいとも思える。リレイズしたりとS Bのチップにも余裕はないからだ。
だとしてももっと大きく張らないと降りることはないとは思うのだが。
そう考えるとやはりS Bは強いのだろうか。
うーん、と思わず降りた僕も真剣に考えているとリバーは♢K。
これはまたなかなか難しそうなカードだ。キングスの場合フルハウスになっているしもちろん99、88もそうだ。22であればフォーカードではあるし、ターンからだがフラッシュも十分あり得る。お互いやはり考えることも多いのかたっぷりと時間を使ってからS Bが三度目のベットを仕掛ける。そして今までで大きいチップ量だった。
関谷さんはどう判断するかと見ていると、やはり彼自身も流れを感じているのか降りるそぶりは見せなかった。
チップをシャッフルしながらしばらく考えた関谷さんは、チップを前に投げた。
その量は相手のものより多く、かつS Bの持つチップ量より多かった。
勝負したければオールインしてこい、という先ほど僕もしたようなチップ量が相手より多いからこそできる戦い方だ。
それを受けてS Bは目を閉じて真剣に考え続け、数分しっかりと使ってから頷いてチップを前に出した。
ショウダウン、S Bからカードを見せるとそこには♡A♤A。テキサスホールデムにおいて最強と言われるエーシーズだ。確かにこれはリレイズもするし降りたくはないだろう。
だが、結果として今のコミュニティカードではAと2のツーペアであり、そこまで強くはない。
対する関谷さんは♡Qと♡K。Aこそないが二番目に強いフラッシュだ。ハンドだけ見れば圧倒的な不利だが、しっかりとここでフラッシュを完成させる強さは流石だし、この二戦での流れは認めざるを得ない。
僕に肉薄してきた関谷さんだが他の人間をどんどん落としてくれており、僕の順位が上がっているのも確かだ。
残り6人になり、最低でも6位。しかもチップ数はチップリーダーとほぼ同じで僕、さらに少し開けて関谷さん。さらに大きく離れて三人。順当にいけばこの三人は落ちていくだろう。
その後での直接対決は避けられないだろうと僕は気合を入れ直した。
そしてさらに30分ほど経った後に一人チップが0になりまた一人このトーナメントから姿を消すこととなり、それから10分経った頃また一人脱落していった。
テーブルには残り4人。チップ数の少ない一人が脱落してからの勝負だろうか、と考えていたが、それよりも勝負時は早く訪れた。
僕に♤K♢Qが入り、どうするか、と考えていると関谷さんがレイズしてきたのだ。
2BBほどのレイズで、彼の今のチップで考えると少なめのレイズではあるだろう。
だが、ブラインドも大きくなっており二位の僕と三位の関谷さんの対決であれば簡単に逆転される数字だ。
ショートスタックの人とチップリーダーは降り、僕はチップを数えながら考える。
降りることはない。コールするかリレイズするか、だ。
今の手は悪くないがスーテッドでもペアでもないという点ではなかなか難しい手だろう。
それに彼が最初にアクションするU T Gだというのにレイズしてきたというところも考え所だ。
かなり強い手ということも十分に考えられるし、今の流れを切りたくなくて強気にきている可能性も高い。
この30分オールイン勝負を連続で制した彼は結構アクティブに動いていた印象だ。
毎回強い手ということはあまり考えにくいから、強引な場面もあったのだと思う。
そう考えればここでコールするとまた強気に動かれてしまうのも怖いところだ。
僕はそう判断して関谷さんの3倍くらいのチップを前に出してリレイズを仕掛けた。
関谷さんはしばらく悩むように口元を手のひらで隠し、コールした。
日本人対決。ヘッズアップとなったフロップは♤A♡J♢2。これまた難しいカードだ。
僕はストレートドローではあるが、現状ではハイカード。
もし関谷さんがAを持っていればワンペアになってしまっている。ペアだった場合フルハウスドローも考えられる。
フラッシュは現状可能性が低そうではあるので一旦思考の外に置いた。
もちろん何の根拠もないし毎回確率は同じであるからあり得ないことではないのだが、どうしても彼のここ30分を考えれば強い手が来すぎな気もする。今までもだが、今もある程度で強気に来ている可能性もある。僕くらいの2枚とも数字が強いペアでないカードということは十分にあり得る。その場合Aがあるかどうかを意識することが必要だ。
僕と同じK Qであればストレートドローだし高い確率で引き分けになるだろう。もちろん相手がスーテッドでフラッシュにまで伸びる可能性はあるがそこまで高くない確率だ。
A Kの場合最低ワンペアでトリップスなどになるかもしれないが、それであれば僕がストレートになる可能性もある。弱気になるポイントではない。
怖いのはA Jのペアでツーペアになっていてフルハウスにされる可能性があることだろうか。
流石にA2やJ2でレイズしてきているとは考えにくい。
全体的にストレートドローの僕が有利ではありそうで、チェックしてきた彼に、僕はできるだけ大きくチップを取れるようにと5B Bほどの安めのベットをした。
関谷さんはノータイムでコールし、ターンは♡10。僕は思わずテーブルの下で拳を握った。
ストレートが完成したからかなりこの勝負は有利になったと言えるだろう。
ハートが2枚でフラッシュドローの可能性はあるが、数字も高い上にここでハートのスーテッドを引くことはあまり考えにくいし、もしそうなれば今日は彼の日だったというくらいのことだ。仕方ないと諦めはつく。
いや、もちろん負けたくなどはないのだが、戦友の彼だったら悔しさと同じくらい賞賛も出てくるというものだ。
それにそこを気にしつつもこれはかなり有利なことには変わりない。
彼はチェックしてきたことで、思ったよりハンドが進んでないという可能性も出てきた。
レンジで見てもかなり有利だからこの辺でチップを稼いでおきたい。
そこで僕はポットの6割ほどの大きなベットを仕掛ける。
関谷さんはまたノータイムでコール。先ほどから悩む時間もなくコールで返されるのは嬉しい反面気になるところもある。
僕が仕掛けているように見えて彼が僕にチップを吐き出させているかもしれないのだ。
リバーで出てきた♡4を確認しつつ、僕はしっかりと考え直した。
今現状ではハートのスーテッドだった場合フラッシュで負けてしまうこともあるが、先ほど気になった時はまだせいぜいがフラッシュドローだ。
そして見えているカード上一番強いのはフラッシュである。
そのフラッシュドローにかけてコールしてきたことも十分に考えられるのだ。
それに僕は♤K♢Q。
A、K、Qと上から三つ分のハートは見えていないから、彼が持っていることも考えなければならない。
だが、逆に言えば僕が気にしなければならないのはそれくらいだ。
また今回も強い手が入っており、エーシーズやキングスなどの場合、ストレートの僕には勝てない。それは何の数字でも同じことだ。ペアでは勝てない。
そしてK Qであれば引き分け確定。同じストレートでも3、5だったら僕のナッツストレートの勝ち。
そう考えるとターン、リバーとハートが落ちたことは面倒臭い。
もっとも今更そんなことは言ってもカードは変わらず詮無いので別にいいのだが。
負ける可能性があるのはハートのスーテッドの場合のみ。
A2などの数字でもハートが2枚の時点で負けである。
そもそも最初のアクションは彼のレイズだった。何かのペアとハートのスーテッド、どちらでもしそうではあるが、ペアの方が確率は高い気はする。A4sでこの場面、レイズで入れるだろうか。
そんな中で彼はテーブルを軽く叩きチェックした。
十分にチップを出させたと判断したのか、それとも勝てそうではないのか。
堂々巡りになっていく考えを振り払うように僕は首を振った。
改めて考えても僕が負けるのはハートのスーテッドのみ。♤♧♢のどれでもなくハートのみ。
しかも、ペアはどの数字でも僕の勝ちだ。
ここで勝負できない人間が優勝などできるはずもない。
自分に言い聞かせながら、僕は関谷さんの顔をチラッと見て、勝負するように口角を上げた。
「ベットで」
「・・・・・・・」
チップ量は彼の総チップ数だ。彼が勝負するにはオールインするしかない。
関谷さんは腕を組んで目を閉じてしまった。
僕は表情が見えないように軽く斜に構えながら彼のアクションを待つ。
とは言っても僕とてこの勝負に負ければ一気にチップを減らし優勝は難しくなってしまうだろう。
今日僕と彼がそれぞれ行ったチップ有利の方が仕掛ける勝負ではあるのだが、彼とて降りるにはそこそこチップを出しているだろう。
それだけで僕は一位になるし、彼は二位に追いつくのは難しくなる。
それに、今のこのカードでストレートやフラッシュなのか、それともブラフか。
彼も僕の手をしっかりと考えないといけないだろう。いけそうだ、とか。流れがあるから、と気軽に乗るようではそもそもここには勝ち残っていないだろう。
彼自身の実力の高さを表すように彼は2分3分と思考時間を重ねていく。
僕もクロック要求することはなくただじっと彼のアクションを待った。
周りも大きな勝負の分かれ目ということもあってか特に音も立てずじっと僕らの勝負を見守っていた。
そして彼が考えだしてから5分ほど経ったあと、彼はディーラーをチラッと見て頷いた。
「・・・コール」
僕も握っていた手に力が篭る。
彼は僕の手をフラッシュだと思わなかったということだろう。
考えられるのは彼がフラッシュで僕がストレートだと見抜いた場合。あとは僕をブラフだと判断したか、だ。
(まぁ、これ以上考えても今更何も変わらないか)
僕は落ち着くように息を吸いながら両手を開いたり閉じたりと繰り返す。
そして彼のオープンするハンドに全ての意識を向けた。
彼の開いたハンドは、♡A♧Q。
ワンペア、だ。
(僕をブラフだと思ったか・・・!)
確かにその可能性はあった。
だが、自分の流れが来ているという事実と思い込みがあったのも事実だろう。
強気と、蛮勇の境目が少し曖昧になってしまったということかもしれない。
これは僕も今後しっかりと気をつけないといけないことである。
だが、今回は、僕の勝ちだ。
僕は♤Kと♢Qをショウダウンして大きく息を吐いた。
「・・・なるほど、負けかぁ」
疲れたような声を出しながら関谷さんはだが清々しそうに上を見上げ、ゆっくりと席を立った。
そして帰り際、僕の肩をそっと叩いた。
「こうなれば優勝は君にしてもらいたいもんやな」
関谷さんはそう言ってテーブルから離れていった。
どうしてもトーナメントであるから勝者は一人でそれ以外は全て敗者だ。
優勝を目指すのは当たり前だが、どうしてもこの瞬間だけは慣れない。
だがこうなれば関谷さんの言う通り僕が優勝するしかない。
しっかりと気合を入れ直して僕はテーブルに向き直った。
残るは三人、しかも一人はかなりのショートスタックだから、事実上これは一位になった僕と元チップリーダーの彼の勝負になるだろう。

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