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カレーは女子と食べたほうが美味い

今回のかきあつめのテーマは『カレー』だ。

カレーを嫌いな男子などいるだろうか。僕はカレーが大好きだし、カレーならいくらでも食べれる自信がある。

ただ、そんな大好きなカレーについて考えていたら、中高時代の頃のカレーより、大学・社会人になってからのカレーのほうが美味しい印象があった。理由を考えてみると、山で食べるカレーについて、中高時代と大学・社会人時代に変化があったからだ。

今回はカレーの思い出を振り返りながら、美味しく食べるためのポイントを考察してみることにする。ただ僕の男子校コンプレックスと欲望を書いていくだけの話だが、よければ読んでいって欲しい。(最近こんなの多いなぁ。)

山の飯はそんなに美味くない

僕は中高6年間、山岳部に所属していた。超ガチガチというわけではなかったが、夏には3000メートル級の高山を1週間かけて縦走するくらいはストイックな部活だった。そんな僕らにとって、山で食べるごはんは「そんなに美味くない」ものであった。

よく「山で食べる飯は3割増しで美味い」という話があるが、これは説明が足りていない。正しくは「調理器具をある程度揃えて、美味しい料理を食べようとすれば、3割程度美味しく感じることができる」であって、どんな料理も山だったら美味しく感じれるというわけではない。むしろ山という特殊な環境でマトモな料理を食べるほうが難しく、本格的に山を登る場合には適用されない話だ。

それこそ高山を1週間かけて縦走しようとすると、荷物をどれだけ軽減できるかが重要であり、飯も含めあらゆるものが制限される。よく言う話、パンツは下山当日まで変えないし、水が制限されるので食器も極力洗わない。メシは旨さより軽さが重要なので、不味いメシもある。

不味いメシで思い出されるのは朝食だ。11時間の行程を歩くために朝は4時に起き、朝ごはんを軽く食べ、4時半には出発する。標高が3,000メートル近くなると、8月といえども夜は5℃ぐらいまで冷え込むので、前日に炊いといたアルファ米(山用のインスタント米)は完全に冷たくなっている。そのカチカチの米におじやの素とお湯をかけ食べるのだが、沸騰させたお湯も一瞬で冷める。なので、朝は寝起きのボーとした頭で、グチャグチャになった塩味つきの冷たい炭水化物を体に流し込むのである。もちろん美味いはずがない。

一方、美味いご飯もあった。夕飯である。1週間山にとじこもる部活にとって、夕飯は唯一の楽しみであったし、その中でもレトルトカレーはご馳走だった。

フリーズドライ食品と比較して水分を含んでいるレトルトは、重いので多く持っていけない贅沢品だ。11時間の行程を歩き終えた男子部員は、テント場につくとワクワクしながら飯を作り出す。作り出すと言ってもお湯を沸かして米を炊き、レトルトを温めるだけである。それでも僕らにとってはご馳走であった。

そんなある日、同じテント場で一緒になった大学生部隊に衝撃を受けた。野菜を切り、肉を焼き、カレーをはじめから作り出したのである。

「マジかっ!!!」僕らは衝撃を受けた。流石にテント場で焚き火をすることはなかったが、野菜を水で洗い、肉を焼くために食用油を持ってきている姿に驚いた。

もっとマジマジと見たかったが、女性がいてワイワイきゃっきゃしている大学生グループを僕らは直視できなかった。「あんなの登山じゃない」などと皆で笑い蔑んだが、正直羨ましかったのである。「大学生になったら、女子と登山をしよう」と、全部員が思ったに違いなかったし、その日に食べたレトルトカレーは少し惨めな味がした。

大学の登山サークルは男だらけだった

大学に進学すると、高校時代の友人はよりストイックに山岳部に入る者と、登山から離れる者に分かれた。僕は趣味として続けれる範囲の登山サークルに入会したが、そのサークルに女性はいなかった。

以前、男子校出身者は男性コミュニティに所属したがるという話を書いたが、僕もご多分に漏れずに男性コミュニティに浸かっていたのだ。

メンツも気楽な人間が多く、大学生は楽しかった。高校時代と違って教員がいないので、自分でバイトをして、自分で行き先を決めるなど、好き勝手にできた。夜中に車を走らせ、無人駅で野宿をし、焚き火を囲って酒を煽った。高校時代に憧れたカレーもイチから作った。

野菜を切り、肉を焼き、ビールを飲みながら煮込む。あぁ最高だ。焚き火を囲い、カレーを注ぐ。満点の星空の下、フルチンでカレーを食べた。

カレーは最高に美味かった。美味かったし、楽しかった。ただしかし、望んだ味ではなかったのだ。

その理由は当時分からなかったが、その後転機が訪れ、理由が明らかになった。

理屈は分からないが、女子がいると元気になる

その後サークルに転機が訪れる。なんと女子が入会したのだ。

女子が入会したのには理由がある。会員が少なすぎて存続できない可能性が発生し、これまでビビっていた女子への門戸を開いたのである。

当初、我々は不安であった。女子が入ることによってコミュニティは崩壊するのではないか。自由がなくなり、これまでのような楽しさがなくなってしまうのではないか。そもそも女子と話すことができるのだろうか、と。

結果を言うと、コミュニティは崩壊せず、すべての事象について女子がいたほうが楽しかったのだ。

長野までの長距離ドライブも、助手席に女子がいたら苦にならず、人数が増えた分のテントもラクラク背負った。そして合宿での念願のカレーは、これまで味わったことのない格別の味がした。

その日、同じテント場でレトルトカレーを食べている男子高校生集団がいたが、若干の申し訳なさと、優越感があったことを覚えている。「少年よ、コッチ側は楽しいぞ」と。

【結論】女子と食べる料理は美味い

なんだかアホっぽい結論に達したが、恥ずかしい話これがオチである。

現状、かきあつめメンバーは女性が多いのが特徴なのだが、正直楽しい。先日「肉を切って食べる会」という内容でオフラインイベントを、かきあつめメンバーとその友人、僕の妻とで行ったのだが、その際にも妻に「女性ばっかで楽しそうだね。」とツッコミを貰った。まぁそうなのである。はっはっは。

もちろんストイックに登山をやり、レトルトやフリーズドライのメシを食べるのも楽しい。しかし一方、キャンプ場や河辺で女子とビールを飲みながら肉を焼くのも楽しいのだ。中高の頃に憧れていたことを、この歳になってやっとできている感じがしている。あぁ、大人になったものだなぁ。

そろそろ夏が近づいてきた。今から皆とやるBBQが楽しみである。

記事:アカ ヨシロウ
編集:円(えん)

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