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全国の人口ランキングをまとめたら、1番若々しい県がわかった

今回のかきあつめのテーマは『街』。個別の街は他のかきあつめメンバーか触れてくれていることなので、市区町村別の人口データを分析することにした。

総務省が公開している「平成30年住民基本台帳人口・世帯数、平成29年人口動態(市区町村別)」と「平成30年住民基本台帳年齢階級別人口(市区町村別)」を元に、市区町村別の出生率・死亡率・人口増減率・若年層率をまとめた。

データは平成30年1月1日時点のデータを元に集計し、”人数”ではなく”率”を採用したので価値のある数字かどうかは読者に委ねるとする。

はじめに

市町村の人口:平成30年1月1日現在の住民基本台帳人口(住民票に記載されている者の数)
変動数:平成29年1月1日~12月31日の人口動態(住民票の記載及び消除の数)
対象: ①日本人住民 ②外国人住民 ③総計(①日本人住民+②外国人住民)
<用語の説明> 人口・世帯数における 「本年」…「平成30年1月1日」 「前年」…「平成29年1月1日」 人口動態における 「本年」…「平成29年1月1日~同年12月31日」 「前年」…「平成28年1月1日~同年12月31日」
総務省HP 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数より

社会増減率ランキング

まず調べたのが社会増減率である。出生数を除いた人口増加数(転入者数)を求めるので、いまどこが注目されているかの指標になる。

社会増減数:転入から転出を差し引いた数
社会増減率:市町村の人口における社会増減数の割合
東京都総務局HPより

第1位 北海道 勇払郡占冠村 (15.5%)

北海道中央部の村。驚くべきは社会増減率の割合であり、人口1,450人の村に1年で580名の転入(転出は385名)があり、人口増減率は15.5%を誇る。これは第2位北海道 虻田郡留寿都村の4.6%と第3位東京都 中央区の4.0%を大幅に超える。

調べると勇払郡占冠村には星野リゾートのトマムリゾートがあり、村でも積極的にリゾートの宣伝をしている模様。事業拡大による従業員の転入も考えられる。

第2位 北海道 虻田郡留寿都村 (4.6%)

発表してしまったが、2位も北海道中央部の2,049名の村。転入427名(転出は337名)で4.6%と高い。まぁこの手の数値はもともとの人口が少ないほうが割合が高くなりがちだが。

第3位 東京都 中央区 4.0%

3位は東京都の中央区がランクイン。人口156,823名に対し転入20,871名(転出は14,881名)で4.0%となった。実はこの4.0%は東京都の区内では圧倒的に高く、千代田区の2.0%、墨田区の1.4%が続く。築地や勝どきのタワマン効果か。

最下位 高知県 長岡郡大豊町 (-3.3%)

大豊町は高知県の四国山地の中央部、吉野川中流域に位置する人口3,817名の町。転入数が123名に対し転出数が256名となり、社会増減率-3.3%とワーストとなった。

大豊町では「大豊町まち・ひと・しごと創生総合戦略」として移住・定住の促進を勧めている。

出生率ランキング

次に調べたのが出生率である。「出生率が高い=生みやすい環境」とはならないが、出生率が高い地域は自治体の取り組みや、子供を生みやすい何らかの原因があると考えれる。

出生率:普通出生率と呼ばれる一般的な人口1,000人当たりにおける出生数を算出した。日本全体では7.55。単位はパーミル(‰)

第1位 鹿児島県 鹿児島郡十島村 (22.6‰)

十島村は鹿児島県、東シナ海上の吐噶喇(トカラ)列島各島を行政区域とする村であり、人口709人に対し年間16人の新生児が生まれている。

島では妊娠・出産の不妊治療費助成事業をたてており、不妊治療費やその渡航費・宿泊費に対して助成金を出している。

本来出生率は人口1,000人に対しての数値なので、人口が1000人を切る場合は厳密的には当てはまらないが、今回は無視している。(なので元々の人口が少ない方が、出生率は高い傾向になる。)

第2位 東京都 御蔵島村 (21.9‰)

御蔵島村は伊豆諸島にある東京都の人口320名の村であり、年間7名の新生児が生まれ第2位となった。確かに320名の村で7名の新生児は多い気がする。。

第3位 沖縄県 島尻郡南風原町 (15.8‰)

南風原町は沖縄本島南部に位置する人口38,580名の町であり、年間609名の新生児が生まれ第3位となった。人口の少ない離島などで出生率が高くなる傾向はあると思っていたが、流石は沖縄県。4万人弱の町であっても第3位にランクインした。

最下位 群馬県 多野郡神流町 (0.5‰)

最下位となった神流町は、群馬県の南西部多野郡にある人口1,921名の町である。神流町で年間に生まれた新生児の人数はなんと1名で、0.5‰となっている。

町では『神流町子ども・子育て支援事業計画』にて少子化の原因を「20歳代の男女の未婚率の上昇と、それに伴う第 1 子出生時年齢の高齢化によるもの」として対策を立てている。

死亡率ランキング

出生率を調べたので死亡率を調べてみた。寿命による死亡の他にも、地域性の死因があるかもしれない。どうだろう。

死亡率:今回は人口1,000人当たりにおける死亡数を算出した。日本全体では10.55。単位はパーミル(‰)

第1位 東京都 西多摩郡奥多摩町 (38.6‰)

そもそも意味があるか分からない数値『死亡率』であるが、栄えある第1位(死亡率が高い)町は奥多摩町であった。

奥多摩町は東京都の多摩地域北西部にある人口5,233名の町であり、1年間の死亡者数は202名、死亡率は38.6‰となった。(5千人の町で1年間に200人死ぬって、大丈夫か?)

筆者は隣接している青梅市に住んでいるのでよく遊びに行く町なのだが、まさか死亡率が1位だったとは。。

第2位 群馬県 多野郡神流町 (35.9‰)

出生率最下位の群馬県の神流町が、死亡率でも第2位とランクイン。死亡者数は69名で死亡率は35.9‰となった。

第3位 山梨県 南巨摩郡早川町 (34.8‰)

早川町は山梨県南西端の長野県や静岡県と県境を接する町である。人口1,091名に対し死亡者数38名となり、死亡率34.8‰で3位となった。

最下位 東京都 利島村 (3.1‰)

利島村は伊豆諸島にある東京都の人口321名の村である。年間の死亡数はなんと1名で、死亡率は3.1‰となった。

離島なので危篤患者は本州本土に移送されるのか?とも考えたが、住民票まで転出されるとも考えづらい。からくりは不明だが、健康的な島とも考えられる。(にしても不謹慎なランキングだなぁ。)

男女別 若年層比率ランキング

人口を性別と年齢で区分けし、市区町村別の若年層比率を比較した。20歳~39歳を若年層とし、この層が多い地域と少ない地域を男女別にランキングにした。

【グラフ内の名称】
子供:0~19歳 若年:20~39歳 壮年:40~59歳 
老年:60~79歳 ご長寿:80歳~ と区分けした。(名称はテキトー)

全国平均は以下の通り。男性も女性も若年層は22~24%の比率でいることが分かる。

ランキング結果が男女とも興味深いものになったので、まずは結果を発表したい。

【男性ランキング】
第1位 大阪府 大阪市浪速区
最下位 群馬県 甘楽郡南牧村

【女性ランキング】
第1位 大阪府 大阪市浪速区
最下位 群馬県 多野郡神流町

驚くことに、若年比率第1位は男女ともに大阪府大阪市浪速区になり、最下位は男女どちらも群馬県となってしまったのだ。

しかも神流町にいたっては出生率と死亡率に引き続き3度目の登場だ(!)。新たに出てきた群馬県の南牧村も高齢化日本一を公式HPで謳っているという状況である。

浪速区と群馬県の2村を比較すると、浪速区では60歳未満の層が4分の3を占めているのに対して、群馬県の2村は60歳以上の層が4分の3を占め、逆転現象が発生しているのが分かる。うおお。。

最後に

いかがだったろうか。今回の結果により、北海道の山間部や東京の中心地などには転入が多く、九州や沖縄の離島では出生率が高く、東京や山梨・群馬の山間部は死亡率が高い傾向がみられた。

また、大阪の浪速区は『若者の街』で、群馬の山間部は『高齢者に優しい町』という状況が垣間見れたといえるだろう。

データは毎年公開されているので、自身が住む自治体の状況が知りたい人などは、調べてみてはいかがだろうか。

記事:アカ ヨシロウ
編集:ホン サチ

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