見出し画像

赤虫の音作り・MIX解体新書

こんにちわ、ボカロで曲を作っています。アカヨウチュウです。
今回は、DTMで曲を作るうえで欠かすことのできない工程、音作り・MIXについて、私の全てをさらけ出します。音作り・MIXをお題とすると本当に専門的すぎて誰得記事な上、人の役に立つのかも不明。それに加えて半端ではない物量です。ただここまで詳らかにしてしまう人はいないので、そういう意味では貴重かもしれません。
私のnoteはどれもこれも長いですが、今回は文面だけでなく数多くのスクショを貼りますのでクソ長いです。スクロールバーの小ささを見て覚悟を決めてから読み進めてください→→→↑↑↑見た?ヤバない?文字数16,000超えのヴォリュームになっております。

ちなみに私はバンド系の音楽を作る人間です。
目次の長さにびびるよ、まじ。

この記事は、ボカロP Advent Calendar 2023の15日目の記事です。


まえがき

なぜMIXをやらないといけないのか。いや、しなくても良いんですが。MIXの必要性はネットで調べたら出てくるので、ここでは個人的な感覚を書きます。
昔からなのですが音が良くないな、と感じてしまった音源は1回目は聴いても2回目は聴かないことがとても多いのです。自主制作のバンドの音源なんかはそのあたり顕著に出てしまいます正直。CD買っても2回目を聴くことが少ないのよな。
私のそんな性質から、音が良くないものは出したくない!という結構ネガティブな思いがMIXを頑張りたい原動力です。音が良くないとブラバに繋がる、もちろん「音いいわー」「かっこいい音!」って言われたいけどそれは少々高望みかもって思っている。MIXの要素で曲の評価が下がるのは避けたいなって気持ちです。

ちな今回の題材はアンケートを取ってギリギリで多数になったためです。
つりっくまのことをひたすら書きたかった。。。

そんな私ですが、金額としてはぼちぼち投資してはいます。でも高級機材とかをバンバン買うようなことはしていないです。
投資先はプラグインもそうですし、本とか講座とか。youtubeも見漁っていました。
やっとMIX中級者くらいにはなってきたかなーって感覚です。色々迷いに迷って少し安定してきたかなーと思って、今回MIX、音作りについて全部放出してみます。
今回の題材にしている曲は音もそんな複雑じゃない、かなりシンプルなバンド曲になります。それでもほぼ全てを書いていくと膨大な量になりました。複雑にたくさんトラックある曲じゃなくて良かった。本当に。間に合わないところでした。もし同じことしてみようか、と思う人がいたら本当にオススメしません。まじしんどい。相当時間かかりました。
狙いとしてはMIXに迷っている初心者の方のなにか参考になる部分があるかも、また自分の備忘録として書きたいと思います。前何したっけ?って過去曲のプロジェクト開くの結構腰が重いのでね。noteなら見にこれる。

引き返すなら今だぞ!?死ぬほど長いぞ!
最後のほうにオススメプラグインとかもあるから、しんどかったらそこだけ見ていくのが健全だよ。

今回の曲

今回の解説する曲は、無色透名祭2で私があげました「ポストと合い鍵」という曲についてです。聴いての通り、本当にとてもシンプルな楽曲です。

全体のルーティング

画像を拡大して見てください。

全体図

ドラム、ベース、ギター、ボーカル2人の至ってシンプルな構成です。四角に囲まれている部分がバスだったり、FXです。
剥き出しのやつらが各トラックです。ギターは便宜上一回まとめていますが四角じゃないやつは名前の統一のためです。

DAWの状況

一部切り刻んでるのばれて恥ずい

これでホントに全部。ドラムがひとまとめになっているとはいえ、少ない。ギターの音の種類が少なければもっと絞られてきます。

MIXのほうはこんな感じ。まずはこれらの各トラックを一つずつ見ていきます。エフェクト類については随時何を刺しているか並べていきます。その中でいくつかをピックアップしながら設定値を見せていきます。

MIXしていく際の順としては、ボーカル→キック→ベース→スネア→ドラム他→上モノとしていく事が最近は多いです。見ていくのはとりあえずドラム全てから見ていきます。

ドラム

ADDICTIVE DRUMS2
STUDIO POP→SonorRock(ここは時々で違う)

全てをパラで出力して、MIXは外部エフェクト処理
AD Drums内では、VOLUME ENVELOPEで音の長さは調整します。大体は初期値から短くする方向に触ります。あとはキックとスネアについては表裏のマイクバランスを触ります。キックは曲によりけりでアタックが欲しいか低音が欲しいかで決めていきます。スネアはスナッピーの音が好きなので裏を大きくします。裏のみの時もままある。

パラアウトのやり方は調べてね

ドラムMIXは基本はEQ(Claro)→COMP(1176)で作る。
Overには1176かけない。ハイハットはかける。

1176 COMP

1176は極端な設定のアタックとリリースで使う事が多いです。今回はアタック最速、リリース最遅ばかり使ってる。潰れ方がロックなサウンドに合うと思っていて、通した音が好きで好んで使います。扱いやすいと思うのはアタック最遅、リリース最速ですが今回は真逆に。(1176触り始めた時にツマミの方向が認識と逆だったので間違えて使い始めたのがきっかけ。でもこの音好き)大体は黒を使います。

Claro EQ

Claroはゲインの自動調整機能がついていて、音量が上がって良くなったと思いこまないために重宝してます。私はClaroではほぼマイナス方向しかEQしないですが。

さて、ドラムいってみましょう。

プラグイン一覧

スネア

敢えてスネアからいきます。
特徴的なエフェクトはSaturation Knobでしょうか。これまで出した全ての曲でスネアにはかけています。これで歪みを加えることで、スネアがぐっと前に出てきます。

またアタック感も欲しかったのでTransientMasterでアタックを出しています。その後に歪み。飛び出させたアタックを潰すようなイメージです。こいつは入れないことも多い。

スネアのEQ
スネアの1176の黒。他も似たようなモノ

キック

TransientMasterでアタックを出しています。これは入れないことも多い。ADの中でやったり。
キックにはPultecEQでみんなが好きなやつ、同じ帯域でブーストとカットをやるやつ。

キックのEQ

そのあとの1176はスネアと一緒。もちろんINとOUTは調整。そのあとのPro-C2で少々潰して太さをつけて、最後のClaroでベースとかボーカルとか他の音との被りを微調整。

ハイハット

金物で珍しく1176をかけます。同上設定。こいつにはローカットかましてます。
ハイハットにはWavesRcompをかけていますが、Rcompを使うタイミングはほぼ決まっていて、前に出過ぎる、後ろに下げたいなって時にアタック速めでかけます。

プラグイン一覧

タム

EQ→1176→Pro-C2だけの事が多い。Pro-C2いれないこともままある。
今回はタム類にパワーを足したくなったので、TransientMaster→Saturation Knobを入れてしまってます。EQはローを減らしたり、スネアと当たるなってところを少し削っています。ずっとなるものでもないので、割とタムは適当にやっちゃってる。オカズでかっこいいことが大切。でも間延びしないように設定していきます。AD内で音の長さはだいたい触る。

オーバヘッド(シンバル類)

オーバーの金物にはコンプを掛けない事も多いですが、今回は余韻が少し欲しくてアタック少し遅めのコンプを掛けています。ドラム音源ではオーバーへの被りもなくせますが、太鼓類も入れる形にしています。(キック、スネアは初期値よりは小さく)全くないと味気ない感じがするからです。

その他

マスター(BUS)とかROOMとかは、EQをかける程度で、それよりもどれくらい混ぜるかが重要ですね。ドラムのかっこよさには重要なのである程度いれます。
バンド曲だと、一番音をこだわるべきはドラムなので、ドラムだけで結構な時間をかけてMIXしていきます。

ベース

EZbass
音作りは全体的に柔らかい音にするようにセッティングします。大体はジャズベースタイプのVintageを使います。もちろん録音の場合も多いです。

EZBASS
ベースのプラグイン

WavesL1は音量差をリミッティングして揃えるために使用。
ベースはだいたい歪ませる。Waves CLA BASSかTSE BODで歪みつけます。BIAS FXのベースアンプ使った事もあったか。最近はベースをリアンプするとMIXが難しくなる印象なのであんまりしない。パラで生とアンプの音をミックスして使うとかならまだやりやすいかも。
キックで使ったPultecEQで、帯域を変えてベースで使用。

CLA BASS
明らかにベースを優先していないEQ

1176はシルバーを入れてます。黒よりもう少し歪んだほうがいいかなって思ってシルバーを使いました。多分。気分な気がする。
Gateはエフェクトの兼ね合いなどで、小さいノイズがずっと乗ってる時に気持ちが悪いから入れてます。他のものでも入ってたら一緒の理由です。
最後のEQは何もいじってなくて、音量調整用のオートメーションをこれのゲインをいじる形で書くために挿してます。フェーダーは終盤まで微調整で触るのでフェーダーでオートメーション書きたくないためこの方法を取っています。ベースでオートメーション書くのはオカズのフレーズを少し目立たせたい時に書きます。

ボーカル

男性 SynthesizerV Ryo
女性 CeVIO AI 裏命

ボーカルはまず初めにMelodyneで音程を改めて調整します。調声では音程面ではある程度にしてMelodyneで微調整してます。裏命さんは特にご機嫌伺いながら調声するので、丁寧にEDITしてます。
Melodyneでは他にブレスの音量を小さくする調整をします。

ボーカルのプラグイン

ボーカルの処理は男、女関係なく指すプラグインはだいたい同じです。後半はその時々で変わってきます。

まずはEQ(Claro)→COMP(LA-2)→COMP(1176)で作ります。
コンプ2つとも、大きく針が振れないくらいが多い。
EQではもこっとした部分を押さえて、少しハイを上げたりあげなかったり。ここでもローカットはせずにシェルフで処理します。
LA-2で少し太くした上で、1176の歪みで抜けさせる、ようなイメージ。ここでも1176のアタックとリリースはドラムと同じ最速最遅にしてみてます。

裏命も近い処理だけど、帯域は違う

ディエッサーは何を使うかはその時々で違います。(試すというより気分)Nectarはどこに反応してるか分かりやすいから結構すき。

コンプPro-C2で全体的に均して音量を整えていきます。アタックはボーカルはちょい遅めにしたい意識。今回だとRyoくんのは1.33ms、裏命さんが9.05ms。Ryo速めですね。

潰しすぎないとか書きながら、割といってんな。

倍音付加のためにWaves VitaminでHiMidをすこーしだけ上げてる。もう少し抜けてほしいなという隠し味的な。これはなくていいなら入れない。かけてもホント控えめにするようにしてる。すぐかけすぎてカリカリになるので注意。

Waves Rvoxで少し圧縮してぐっと前に出す。ラフにやるならこれだけでやっちゃうのがよくあります。ボカロには結局刺してしまうことが多いですね。ボカロに太さを出すのにとても相性がいいんじゃないかと思ってます。なるべく頼らないようにーと思ってるけど、コレ入れておけばどうにかなってしまう場合が多い。優秀で困る。

UAD OxideTapeRecorderでアナログニュアンスを追加。これを外しても気づかない自信があるのでおまじないに近い。

W495はEQ。他の音を合わせていく中で少し気になるな、刺さるなって高音を少し抑えるので入れました。

MIXの工程が進んでいった後で気になるなって部分が出てきた時には、前段の方で入れているEQなどでポイントを追加して処理するとニュアンスが色々変わるので、プラグインを追加してワンポイントで使うってやり方のほうがやりやすい(やっぱ違ったってなったらとりあえずOFFにしたらいいから)

Ryoにだけ刺さっているOzoneのDynamicEQは特定の音の時だけちょっと目立ちすぎかなって音を抑えたい時に、ここまでの音にあまり影響を与えないように使ってます。MIXで終盤で気になってくるとDynamicEQでちょっと抑えるってやり方をよく使います。

今回はやっていませんが、ベースと同じ手順でボリュームのオートメーションを書くことはあります。出だしの頭を一瞬上について誰が主役か分からせるみたいな。

ギター

改めて、ルーティングを確認して、ギターをどう細かく面倒なことになっているかみてみましょう。

赤丸がギター関係。半分以上じゃん

え、こわ。半分ギターやん。
ここから半端でない長さ確定です。逃げるなら今です。
バッキングは基本的に2回録音していて、左右に振っています。所謂ダブルですね。そこにリード・ギターが入っていてそちらは一本。

ギタリストじゃない人はアンプのつまみってどんな感じにするの?って分からない人も多いんじゃないかと思うのでアンプの設定全部スクショで公開してみる。アンプって種類によってかなり挙動が変わるので、あくまで参考までに。使用しているギターアンプは全てNeuralDSPのものです。
ちなみにギターはストラトでピックアップはセンター、ソロだけフロントのはず。両方シングルコイルです。
ギターに対しては基本的にはミックスでの処理が少なめです。

バッキングギター

バッキング ミュート

0:07~
Recを2トラック分して、左右に振り切っています。
アンプはNeuralDSP MateusAsatoです。シングルコイルとの相性がいいアンプです。
アンプの音作りのコツ、というか美味しいところは、このアンプでいうとMASTERをガッツリ上げること、何ならMAXでもいいです。ここを上げることでパワーアンプ部の歪みという所謂ギターの歪みの音、ディストーションではない歪みのニュアンスが加わりパワフルで美味しくなります。あとで邪魔になるかもしれませんが、それはMIXで削ればいいです。音作りはとにかくかっこいい音にしないと面白くないので。
キャビ(アンプのスピーカ部)はここでは内蔵のマイクシミュレートを使っていました。

あさとはシングルコイルに抜群の相性

まずはEQで他の音とのぶつかりなど気になるところを削ります。痛い部分が多ければ色んなポイントで削る事も多いですがなるべく削る量を少なくするように意識。じゃないと私はやりすぎる。やりすぎ基準は-5dBと自己ルールで決めてます。あとQを絞りすぎず、ゆるいQが多い。
コンプはブリッジミュートに少し音量ムラがあったのでかけて均す事が目的です。

バッキング ジャカ

1:01~
じゃかじゃか弾いてるやつです。頭の悪いトラック名ですね。分かりやすいからいいんです。普通、人に見せないしな!

Recを2トラック分して、左右に振り切っています。
ギターアンプに入る前にEQをひとつ挟んで、レンジを狭くしています。アンプは同じくMateusAsatoですが、左右でモデルが違います。
このアンプの音は欲しいけど、ちょっとうるさすぎるなって時には前段にEQを入れるってのをやったりします。今思うとここはアナログ系のEQのほうが良かったかも。
キャビはここではIR(インパルスレスポンス)を入れて作っています。そこはほんとに趣味の世界になっていくので省略します。

ちょいレンジ狭く。コレするとリアルになる場合あり。
見た目かわいい
結構アンプ、エフェクターの大切なこと書いてる!
やりすぎ感出てるかも。でもロー処理してないのちょっとえらい

LとRのarp

1:42~
2番の裏命のAのパートでのアルペジオ
こちらもRecを2本分。振り切ったLRにはブリッジミュートがいるのでLRに48%ずつ振っている。
アンプはこちらではNeuralDSP CoryWongを使用。左右でモデルが違います。
アンプに入る前に内蔵のコンプをかけて、アンプに入り、スピーカー前のグライコで微調整されています。キラキラな音を作って、キャビネットのマイクはRibbon121に。このマイクの音綺麗です。
MIXではEQで少々削るだけにしています。高域をあんまり触らないようにしているのがえらいなと思います。このアンプの音づくりに神経使った様子が窺える。

マイクでめちゃ変わってきます。

バッキングアルペジオ センター

2番のサビの最初の静かなアルペジオ
ここでもアンプの前にClaroを入れて上と下を削ってます。アンプはMateusAsatoです。ここではアンプ内のストンプボックスでコンプをかけています。
PulsarMuで温かい音を目指しています。真空管の音ですね。クリーンのギターにはよく合います。このコンプはほんと音が変わる。使い所を選ぶけどハマれば最高です。

マスターの使い分けは意外と難しいのかも?
ちょこっとかかってるくらいでも、刺すだけで効果あり

リードギター

リードギターはパンを左にもっていってそこからセンドでディレイをかけています。そのディレイのパンを右に寄せています。
ディレイはDAW付属のBeatDelayでした。なぜコレをチョイスしたんだろう。たぶん素直目なディレイが欲しかったのでしょう。
その後にEQでギターの目立つところを比較的しっかり削っています。
仕上げにリバーブBLACKHOLEで溶かしています。
リードはダブルで録音せず1本のギターです。

リード ハーモニクス

綴り合ってるのか?もうチェックすらめんどい

0:34~
1番の「わかってんの」のところのハーモニクス部分
アンプはCoryWongでアンプの前でコンプ入れてます。前段でストンプボックスを置くのは言語化しにくいけどアンプでの歪み感とか音質の安定感を求めるって事かな。ベロシティの均質化?要するにうまくなる魔法よ

corywongは扱いむずい部分あるけど、きれいな音

EQでハーモニクスがきれいに響くようにしています。
Rcompで後ろに下げて全体を包むようにしたいなと、アタック速めでかけています。
SHIMMERVERBでオクターブ上とか、なんか複雑な音できれいで神秘的にします。原音の後からシンセのような音が追いかけてくる感じです。この音が好きで、クリーンギターにここぞという時にかけてます。

ギターにローカットかますの相当珍しいかも
飛び道具で使うには高すぎるけど、ほんとにコレでしか出せない音がある。

リード Mute

0:47~
Muteって言ってますが、ブリッジミュートのことをMuteって言ってます。無音じゃないよ。

こちらもアンプはCoryWong。ハーモニクスと同設定。
EQもRcompもハーモニクスと同じようなイメージ。EQのハイシェルフだけしてない。なのでここは画像なし。
このパートでは、あ、リードいたんですねって感じの存在感を意識してます。原音はL41でパン振ってますが、ディレイで右にもいるのが分かりやすいパートです。

リード バッキング

1:01~
サビの裏命さんの歌っている後ろで鳴っているギターです。巻き弦の単音を他の弦のブラッシングで男らしく演奏したパートだったかな。ここから分かるのは、実はこのバンドは裏命さんがリード・ギター担当なのですね。Ryoがバッキングという。かっこよ。ツインボーカルで作る時は誰がどのパートがを想定して作ります。理由はそのほうが楽しいから。
アンプはTomMorello。マーシャルです。漢の音がします。
ここはEQを刺して他とのぶつかりを抑えつつ、リードぽさも持たせたいので主張しつつなEQだけですね。しっかり歪んでいる音は私はあまりコンプかけません。

こいつはほんと、使用感が実機

リード ピロピロ


1:14~
サビ後半の単音です。こういうトラックの名前ってみんなどうつけるんでしょうか。私はバカが丸出しです。綴も間違えてそう。だけど気にしない。
アンプはCoryWong。前段でストンプボックスのコンプはかけています。
次にEQで他のパート、特にボーカルを邪魔しないように抑えています。
最後にコンプを軽くかけて下手くそがバレにくいようにしている・・・

歪みの量、とても大切。歪みを気持ち下げるのは重要。
EQで抑える周波数って似通ってきませんか

ギター・ソロ

1:55~
間奏のセンターのギターです。
初段にEQで上と下を抑えています。
使用アンプはGojiraです。このアンプがメタルな音でレンジが広いのもありますが、アンプ前にEQでレンジを絞ってから後段のアンプでハイやら上げ気味にするのは五月蝿過ぎない太い音を作る一つのテクニックかと。TS踏むのに近いですかね。緑のオーバードライブがだいたいTS=チューブスクリーマー

次にEQで少し処理。ボーカルもいないのでそこまで触ってません。キック、ベースとで気持ち悪いところだけ抑えています。その後のコンプはアタック遅めでかけて前にしっかり出て太くをイメージ。でもかなり薄くかけてるからおまじないですね。その後からディレイ、リバーブと続くのでノイズがのこってるの気持ち悪いなってGateを入れてから空間系にいってます。この2個ありきのフレーズですね。

ソロ2

最後の一音だけ、空間系を外して次のパートに残響を残さないようにしているだけです。

各トラック終了!

これでやっと全てのトラックが終わりました。お疲れ様です。
次からバスチャンネルとFXチャンネルにいきます!
各トラックからの音は一旦バスに入ってから最終マスターに飛びます。
バスは四角で囲っているところです。

今回は珍しく、バスからFXチャンネルのリバーブにセンドしてます。(普段はトラック1個1個から送るけど、今回はバスの音がが時間軸であまり変化しなかったから。)

バス・トラック

バスチャンネルはそんな特殊なことはしてないです。
DRUMはMuをかけて所謂グルー感を。でもドラムのグルーにはMuが合わないときが多々ある(個人的には)ので、ここはいくつかのコンプを試してみて一番ハマったやつにします。よく試すのはWAVES SSL COMP、Pro-C2あたり。
あ、ちなみにキックはDRUMバスじゃなくて、LOWバスに送ります。

LOWバスにはキックとベースが入り、少しコンプかけてます。低いところが安定してノリが良くなる、気がします。キックにリバーブかけたくないからってのもありますが。

VOもふたりともバスに入れてコンプ。
激ゆるコンプかけてます。ツインボーカルで同時に歌った時にバランス取れるようにかけてます。同じエフェクト通ると質感が近くなって一体感が出る。何かで読んだの書いてみただけ。

FXチャンネル

FXチャンネルはだいたいはリバーブ3種。PlateとRoomとHallを併用します。
プラグインは何を使うかは試してみながら決めていきます。新しいものが手に入ると試してみたり。Lexicon224はどのリバーブもハマる音が出るので、3種ともレキシコンでも良いのですが、それは面白くないから色々試してみてます。

全てのリバーブでローカット入れてます。ローがリバーブで広がると濁る感じ、回る感じがするから。

roomとhallにはキックとベース以外は全て入ってます。
Plateにはヴォーカルとギター・ソロのみ。

マスタリング

マスタリングは割と大体でやっています。

LA-2 COMP
最初に入れて、少し均しているつもり。かかり方はかなり少しです。

Imager Ozone
低音をモノラルに寄せる処理をしています。ベースとキックしかほぼ聴こえない帯域の範囲を選んで50%程度抑えています。

HitsvilleEQ
足りないかなというところを少しづつ上げたり下げたりします。Spectrumを見ながらどこをどうしようかなーといじってみたり、耳を信じてやってみたり。

Ozone9
MasterAssistantでとりあえず自動でやってみてます。ここでEQがかなり過激にいじられたら、マスタリングやMIXの工程であまり良くない状態と判断する一つの基準にしています。イメージャーでハイを散らしたらこの段階で怒られた事があり、イメージャーでローしかいじらない。この作業はミックスの段階でマスターに刺してある程度進んだ時点で試してみてます。この段階で良くない判断をされたときは、私の場合はキックとかベースの処理が甘い場合が多いです。シンバルが大きすぎてもあまりハイを下げてこないんですよね。

ここのOzone9では、EQとDynamicEQだけを使用しています。
どちらも自動処理から出てきたものに対して、少し触ったり触らなかったりです。

UAD StuderA800TapeRecorder
テープサチュレーションを加える、そんなやつですが薄味なアナログ、隠し味みたいなものかと。おまじないに近い。マスタリングやってる感のために刺してる。

最後にOzoneのMaximizerで音圧調整をしています。といってもほぼmaximizerでは潰さないのですが。リミッターとして使用している感じです。
音圧の大きさはフリーのYOULEAN LOUDNESS METER2で1曲通して値を決めています。-13.9LUSF以上にするようにしています。曲によっては上げ気味にしたり対応は様々です。確認してみると今回は-13.6LUFSになっていました。ぶつす必要も全く感じなかったのでラウドネスノーマライゼーションに少しかかる程度で止めています。maximizerで反応しているのも数か所、極小さくだけでした。
LUSFをいくつにするか、は以前検証してみた事があるので参考に。

今は結論あまり気にしない、ノーマライゼーションが反応する程度以上であればOKと考えてます。マスタリングで潰して音圧上げるみたいなことはしません。

感想戦

さあ、一通り終わりました。
いかがでしたか?ここまで斜め読みでもついてきた方がいますか?
ここからは少し感想戦を。

まず、このプラグインを真似ても同じMIXにすることは難しいことをお伝えしておきます。
「ここまで読ませといてそれを今言うのか?!コラァ!!」とお怒りの声、届いております。わかります。私もMIXが上手い人が使用しているプラグインを使えば同じ音、とまでは行かなくとも良い音になると信じて色々買っていましたし、今後も同じ動機で買い続けるでしょう。

私がMIXが上手い部類ではないですが、色々迷った結果、かなり勘違いしていた部分がありました。それはMIXの本質は音量管理にあるということです。つまりフェーダーの値でかなり完結する事が多い。シンバルうるさいな、と思ったらコンプ刺したり、EQでポイントをつくんじゃなくで、フェーダーで下げたら良いです。めちゃくちゃ当たり前なのに、これが本質なのに忘れがち。私も頭でわかっているけど行動が伴っていませんでした。これはホント忘れてはいけない。

コンプもEQも、音量管理の派生です。

個人的MIX哲学

私のMIX哲学として、邪魔なものを探せというのがあります。
よくミックスの悪い例として、「ベースが聴こえないから上げたら、次はドラムが聴こえなくて次はそっちを上げたら、歌が聞こえなくてそちらを上げて・・・」の無限ループが上げられています。たぶん初心者が陥りやすい状況なんだと思います。何かの音を出したい時に、その音を上げる以外の方法はどうすればよいかを考える必要があります。
でもこれも少し私と哲学とは違います。MIXは全体の話だし、私のMIXの狙いはマイナス要素をなくしたいと思っているわけです。前記からですが、MIXの要素で曲の評価が下がるのは避けたいなって気持ちです。音悪いと感じる時は、何かの音がうるさいな、のパターンが多いのです。なのでマインドとして、今、この音源は何がうるさいのか?を常に感じるように心がけます。最後の詰め段階ではフェーダーを少しだけ下げる、というのを繰り返して最終の音を整えていってます。EQをちょっとだけ上げ下げなんてのもある。(もちろん上げたりプラグイン指すこともありますが)終盤はツマミを1目盛りだけ変更して聴き比べとか詰めていきます。毎度色々変更しちゃうと迷子になってしまいます。戒め

この精神はある意味、私のEQのセッティングにも見えていて、私は基本下げ方向でしかEQを使いません。EQは原理的に下げ方向のほうが得意らしいので、割と正解なアプローチではないかと思っております。目立たせたい音があるなら、フェーダーで音量上げてうるさいところ、邪魔なところを削れという考え方です。

さてさて、そんな感じでMIXについてだいたい書いたかなと思います。
最後に、今回使用して何度も出てきたプラグインのおすすめ度合いを書きたいと思います。初心者向け目線で。

オススメプラグイン

Claro(EQ)

オススメ度★★★★☆
初心者にオススメです!
音量を自動で調整して、音量が大きくなった=良くなったと勘違いさせることを防げますので、とても良いです。ダイナミックEQの機能がついていないのが少々あれですが、全然問題ないです。
EQって音が良くなる感じしないから、有料買うにしても後回しにしがちじゃないですか?
でも、MIXで一番使うのってEQだと思います。だから投資の価値は大きい!
またEQ同士でマスキング箇所を分かるようにしてくれる機能があり、コレがとてもいいですね。音がこもってる、ぶつかってるってどこよ?って初心者はなると思いますが(私もそんなに分からん)、それを可視化してくれるので勉強になる。星一つマイナスしてるのは、めっちゃMIXの上手い人が愛用をあまりしてない印象で、どこかの段階で使わなくなる理由が出てくるのかなという意味でマイナスしてます。しかし価格も高くないのでオススメです。

UAD1176(COMP)

オススメ度★★☆☆☆
あんだけ使っててオススメ度低くない?
僕も大好きだし、いい音だと思います。1176というリアル高級機種を再現したものになります。超人気の機種なので各メーカーからシミュレートしたものが出ています。その中でもUADのものはトップレベルといって問題ないものなので、買って後悔するような事はきっとないでしょう。
ただ初心者向けかというと、それは違うなという意味で★2としました。コンプの機能を求めて使用しているわけじゃないかなってのが初心者向きじゃない理由。
UADは高くて、購入に覚悟がいると思います。UADじゃないと絶対だめ!って僕も思っているわけじゃなくて、高くて頑張って買ったから他の1176じゃなくてUADを使うってのが正直なところ。(Wavesのも持ってるし、STUDIO ONE付属にも入ってた)
今検索してみたら、1176だけなら$39か。バンドルで買うから高いわけですね。単品ならありかも。

Pro-C2(COMP)

オススメ度★★★★★
これは本当にオススメ。
まずコンプを通って音がどうなったか?という事が視覚的に分かりやすいです。これは初心者には有り難い。コンプって最初わけわかんないと思うのです。そのくせツマミも多いし。Pro-C2はそこを少し解決してくれます。そして機能もしっかりしていて、MIX上手い人も使用している。なので長く使える。正直、私は1176以外は全てPro-C2でも問題ないのかなって思ってしまうくらいです。
ちょっと高いから躊躇するけど、これを使えるか使えないかで結果も時間も変わると断言できる。MIXがうまくなると思う。コンプが理解できるから。

コンプというエフェクトは正しく理解できないと使いこなすことが難しいデス。なのでMIXの勉強をするなら最優先でCOMPの勉強をするのがオススメです。
https://1176fire.com/comp-knowhow2/
探した中ではこの記事が解り易かった。読みやすいと思えば1~4まで全て読んでみてください。

https://sonicwire.com/product/B3625

NeuralDSP関係(アンプシミュレータ)

オススメ度★☆☆☆☆
今回使用したギターアンプは全てこのNeural DSPです。多用してますが、これは趣味の領域だと思うから初心者に進めるようなもんではないです。BIASとかの方がたくさんアンプの種類もあって楽しい。私の曲「カート・コバーンは好きじゃない」では、片方のチャンネルはBIAS FXで作りました。
DTM初心者だけどギター弾きの方でギターの音に納得がいかない!って方はNeuralDSPお試しを。これはほんと試奏してからにしましょう。ギターとの相性もあるし。高めのBOSSエフェクターとそんな変わんねぇ値段だな!安いわ!ってなる人だけにおすすめです。音は良い!だけど汎用度は高くないから、たくさん集めたくなって沼。

これ見て欲しくならないギタリストおらんでしょ。

COMP Waves R comp

オススメ度★★★☆☆
普通にいいコンプです。わかりやすく効いてくれます。お求めやすい価格なので、もっていて損はないと思います。ただ、少し古いコンプなので視覚的なわかりやすさには少々微妙かも。
Wavesはセールで半端なく安くなるのでその時に買いましょう。改めて使ってみるといいじゃんってのが多いのがWavesですね。バンドルなら広く揃うので困ったときに頼りになる。

Ozone マスタリングツール

オススメ度★★★★★
マスタリングはほんと奥が深くてわけわからんのが正直なところ。なのでこれ買っておきましょう。脳死で及第点までは持っていってくれるツールは頼りがいがあります。
izotope社のNeutronというミックスツールもいいと思います。私は使わなくなってきたけど、UIの分かりやすさが素晴らしいので、そういう意味でも初心者にはオススメです。有料のプラグイン何もないけど何から買ったら?って状況なら、izotopeのバンドルをまずはおすすめします。何かしらのセールで買いましょう。よくやってますで。

モニター環境は大切

モニターヘッドホンはクローズド

色んなプラグインの話が出てきました。そして設定も見せちゃいました。MIX初心者の方でこんなふうに思った人がいるかもしれません。意外と優しく使ってるなと。EQはかけるポイント少ないし、コンプもがっつりかけたりしてないなーって。
それは元々私が陥っていた状態です。昔は過剰に極端に処理をする事が多かったです。ズドーン、ばこーん、ギューン、チュイーンみたいな。
その必要はあまりないのかもって気づいたのは、もちろん色々勉強したり、人のやっている処理を見せてもらったり、教えてもらったりとあります。

でも忘れちゃいけないのは、環境面の改善が大きかったように思います。
以前はヘッドホンをオープンタイプのものを使ってミックスしていました(DT990PROを使ってました。今でも普段遣いで愛用)が、クローズドのモニターヘッドホンを使い始めてからかなり改善しました。
私が使用しているのはDT770というヘッドホンになります。これを使い始めてから、コンプの意味合いが分かりやすくなって、設定値でどう音が変化したか捉えられるようになったし、リバーブの空間も把握しやすい。そのヘッドホンで詰めたMIXを他の環境、他のヘッドホンやスピーカー、イヤホンに変えても自分が想定している音から大きく外れる事が少なくなりました。追い込みが早くなった。そんなに高くないし、オススメです。
beyerdynamicがつけ心地がよくて好きです。メガネしたままで使えるから有り難い。

オーム数が3種あるので注意。簡単にいうとオーム数が高ければ高いほど、音量が上がりにくい=繊細な音も聴きやすい調整が出来る、だけどアンプ側のパワーが必要というイメージ。

いくつかの環境でチェック

ある程度MIXが進んだら、いくつかの環境でチェックします。
いろんな環境でも音の印象が変わらないように、という意味合いが一般的な意義かと思います。私はいくつかの環境で、変にうるさい楽器がないか、というチェック、あとローの出方をチェックしています。

MIX時の環境と変えてチェックしているもの
・モニタースピーカー(YAMAHA)
・オープンのヘッドホン2個(beyerdynamicとSennheiser)
・イヤホン(Anker、Shure、飛行機でもらったボロ)
・PCスピーカー(Creative,JBL)
・スマホのスピーカー(iPhone,Huawei)
・車のスピーカー

時間があれば全てチェックするけど、色々試した結果すべてはやらなくなってきた。
今はモニタースピーカー、オープン型ヘッドホン、無線イヤホン、車は試す。車は特に走りながらが良い!ロードノイズって結構ありますから印象変わります。上記で確認しておくと他の環境いっても失敗した!というのがでなくなってきた。

その時にすぐに自分の曲を聴くんじゃなくて、ワンコーラスでもリファレンスになる曲を聴いてから自分のを聴くと、ローの出方は一旦基準を作れるので良いです。

普段使っているものをこの中に入れておくのが吉。そしてボロいものもこの中に入れて試してみるのが面白い。

MIX時、ヘッドホンの音量について

以前、MIX時の音量は小さくしてMIXしていくほうが個人的に合ってるって発言してます。今もそう思ってます。

https://note.com/akayoutyu/n/n9759c3e56ff2

過去にMIXについて簡単にまとめてたものが上。夏のボカコレの後でMIXについて盛り上がったときにまとめていました。

どのくらい小さい音量かというと、キック、ベース、スネア、ボーカルあたりが入った状態で、ヘッドフォン外の音(エアコンとか、空気清浄機のファンの音)が聴こえるくらいの音量でやります。ベース、キックのアタックが聴こえるくらいが基準。
コンプとかEQで詰める時に確認しづらかったらヘッドホンの音量上げて狙いをつけて、また音量を戻してMIXを進めます。

なんでこの方法がやりやすいのかなーと考えてたんです。
制作中ってガンガン音量上げて、テンション上げてつくったりすると思うんですよね。スピーカーで爆音にしたり。大きい音ってかっこよく、いい音に聴こえてしまうんですよね。EQでついたら音量上がってよく聞こえるのも同じ。

音量大きければ良く聴こえる、ということは、音量小さくてかっこよく聴こえる=いつでもかっこいい、ということなのかなと思います。体調とか朝とか夜とかに聴いても、小音量のほうが体感の変化が少ない。

まあ、何が言いたいか、試してみてってことです。コレをやり始めてから安定感はかなり増しました。上でも述べた、音量管理がMIXの本質では?と書きましたが、それが分かりやすくなる方法だと思うのでお試しを。

最後に

ほんとにここまで読んでくれた人、ありがとうございました。
何か役に立つかな?正直わかんない。
あくまでこれだけ音が少ないバンド曲でのミックスですから、シンセがたくさん入ってきたり、ストリングスとかホーンとかあるとまた全然変わってくると思います。強い音のMIXってどんな風にしていくのか分かんないけど全然違うアプローチも必要だと思います。
あと、ここに出てきた設定値に囚われたりしないように。答えでもないし、曲のアンサンブルの中で決まっていくものなので。そして私はMIXが上手いわけじゃないから。これも今の一つの形に過ぎない。また今後もやり方含め変わっていくでしょう。
こんだけ詳らかにしちゃう人間なので、何か疑問とか質問とか、聴きたいことがあればご連絡くれたら大体答えちゃうと思います。

ありがとうございました。アカヨウチュウでした。
またどこかで。
良い年末を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?