私のことは旧姓で呼んで(わたしと旦那の家族のかたち)

こんにちは、Webディレクターのakazunomaです。
入籍3日前に旧姓の名刺を作りました。
仕事用に使うものです。

2/2の入籍にあたり、旦那の姓を選びました。
理由は私の姓よりも旦那の名字の方が可読性が高いからです。

(私の姓は比較的珍しく、訓読みのところをわざわざ音読みで読むような名字で、初見での誤読率がとても高い。良い例えが見つからないのですが、大阪市長の橋下徹の「橋下」を「はしした」と読むような、「あっそっちなんすね」みたいな微妙な読みの苗字です。ちなみに下の名前は千尋といいます)

職場が縁で知り合った旦那のことは、いまだに「◯田くん」と名字で呼んでいたりします。

元々、HNで呼ばれる機会が多いこともあり、入籍で名字が変わる際も「なんか使える名前が1個増えるな」程度にしか考えていませんでした。
不動産屋やブライダルプランナーに旦那の姓である「◯田様」と呼ばれる分にはなんとも思わず、今まで関係性のあった友人などに「◯田さん」と旦那の姓で呼ばれて初めて、旧姓に対して持っていた愛着と、アイデンティティの喪失に気がつきました。

というか、社会的性別を「女性」で生きてきたからには、幼い頃から結婚や名前の話になるたびに「女の子は名字が変わるからね〜」みたいなことを常々言われるわけです。
そんでもって小学生くらいになると、好きな男子の名字に自分の名前を足してみちゃったりして、ノートの端っこに書いちゃったりするわけですよ。

私も例外なく書いてましたし、
旦那に限っては付き合う前から考えてました。

「◯田千尋か、悪くないな。良くもないけど」

今思うと付き合ってもないのに何様なのかな?

そんな風に、26年間かけて「名字の喪失」に対して長く準備してきたにも関わらず、とてもじゃないけど受け入れられなかったです。
旦那と入籍前に私の姓にするかなど、たくさん話し合いましたが、前述した可読性と旦那のキャリアの都合上、旦那の姓にすることに異論はありませんでした。事実婚や他のさまざまなかたちを考えましたが、そういった便宜上の都合とは別に、受け入れられなさというのは言葉にできないセンシティブな問題だということに気がつきました。便宜上の理由に納得がいっていて、同じ世帯として書類上の手続きなどで旦那の姓を使う分には嫌ではない。そうして、私は社会的な名前として、旧姓を使うことを選びました。


私は基本的に家族というものをあまり信頼していません。
私たちは何をもって、家族になるのでしょうか。血の繋がり?家が同じ?姓が同じ?
26年間の経験を通して、様々な家族の形を見てきました。高校のクラスメイトの幸せな家族、DVで子供を殺す家族、児童養護施設のスタッフと子供もみんな「家族」でした。最後に至っては同じ姓を名乗ってすらいませんし、2つ目は血や姓と家を同じくしても、とても家族と言い難いです。血の繋がりにしたって、そんなこと言ったら夫婦は永遠に他人です(子供を産むことによって血の繋がりができるのかもですが、子供を産まない夫婦だっているよね?)結局家族というのは、法律が保証してくれる最小コミュニティの単位でしかありません。

人は家族という器を用意したからと言って、家族になれるわけではなく、個人間の信頼と責任によって家族になれると考えます。

家族というのは液体のようで、やっと器に収まったと思ったら、壊れて流れたりもする。もしこのエントリを読まれる方で、本当に幸せなご家庭で育った方がいたとしたら、それは母や父、兄弟や、貴方個人の努力の結果です。コミュニケーションコストや維持コストを経て出来上がった、信頼と責任による奇跡のものです。
姓だとか血の繋がりではなく、生活の中で積み重ねたお互いの信頼ですとか、責任からくる愛情に包まれて、私は家族になりたい。

入籍1週間の私と旦那は、まだ家族じゃなくて、家族になれる可能性を秘めた何かです。

実は、家族という名称も個人の領域を曖昧にさせて、少し苦手な言葉です。早くに実家を出てきた私には、家族というものがよく分かりません。私には家族というのはとても曖昧で難しい、でも幸福なものなのかなと考えています。

同じ姓を名乗ったからといって、家族になれるわけでもなく、便宜上のものでしかない。それであれば、別々の姓を名乗って、一生個人でいるのもいいかもしれない。

私にとって旦那は一生「◯田くん」
旦那にとって私は一生「△田さん」

私にとって旧姓は、一生をかけて家族を作っていくその証跡で、大事なものです。一度家族を否定して行き着いた、私の思う家族のかたち。目指せるかたちです。

いつもお話しして、遊んでくれて、一緒にご飯を食べて、大事にしてくださる友人のみなさま、ありがとうございます。

私のことは、親しみを込めて、ぜひ旧姓で呼んでください。

おしまい。

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