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病院の屋上

何回か入院をしている中で必ず

可能な限り行く場所が

病院の屋上

今頃は屋上に行けなくなっている病院ばかりだろうなあ。

昔は行けるチャンスがあった。

それぞれ違う理由で入院していたその時々で、辛かったり、希望が見えていたり、不安だったり。

そんな私には太陽が眩しすぎたり、反対に清々しく感じたり、様々な感情が生じる屋上。

その屋上では風を感じ、暑さも寒さも、街の喧騒も、洗濯物のいい匂いも、全てに生命を感じることが出来た。

病室のベッドの上で一日が終わるのではなく、時間の動きを感じたかった。


きちんと看護師さんに許可を貰い、母に付き添ってもらいながら。


私がただ何も言わずに空を見上げ、遠くを見つめている間、母は何を思っていただろう。あまり口数が多い方ではなく、聞き手にまわる事が多い母が、よく喋っていた。

他愛もない事をいつも話しかけていてくれて、それが鬱陶しく感じたり、有難かったり。どうってことない会話。

今日はいいお天気だから、洗濯物がよく乾くね〜

今日は川がキラキラ光ってるね〜

今日は患者さん多いね〜

今日はバスがなかなか来ないね〜

今日は…

いっぱい私に声をかける母。

不安なのは母も同じはずな中で。母は必死に私を励ましていた。頑張れ!ではなく、日常の会話で。

今思えば懐深い人だとわかる。


おかげさまで今は健康な私。

いつか反対に私が母に他愛もない事を話しかける時が来た時、私はあの時の、あの屋上で母から受けたさり気ない優しさを伝えたい。そっと寄り添いたい。

相変わらず聞き手にまわる母とお盆を過ごしていて思い出しました。

無駄口を叩かない、真っ直ぐな母を思い、台風の被害が少しでも少なく済むように願いながら過ごします。

ではまた明日。

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