euReka

短くて不思議な小説を書いています。

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マガジン

  • 子どもの小説

    「子ども」が主人公だったり、印象的だったりする話。

  • 社会・戦争の小説

    「社会的な問題」や「戦争」をテーマにした話。

  • 生物の小説

    動物や虫などの「生物」や、変な何かが重要な役割を果たしたりする話。

  • その他の不思議な小説

    分類できなかった話。

  • 男女の小説

    「男女」のやり取りがメインになっていたり、印象的だったりする話。

最近の記事

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☆短編作品の一覧

※随時更新します。現在159作品。 『夢の中』——あなたは忘れたいから忘れたの、ただそれだけのことよ 『世界の死』——誰にだって秘密くらいあるわ オイラ、旦那と友達になりたかったんだ——『犬の木』 『境界の言葉』——そこに言葉をみつけることが大切なんだよさようなら、マボロシさん——『砂漠と雨の日』 一瞬だけ、世界が自分のものになったような気がする。それが夏だね——『夏の鐘』 『化石』——長い記憶の歴史から見れば、人間はみな記憶喪失だと言えます 永遠に対する抵抗—

    • 【短編】 レッスン

       私は三歳からレッスンを受けている。  レッスンのときは裸で、幼い頃はそれが当たり前だと思っていた。  でも十歳になった頃、私は裸じゃ少し恥ずかしいと感じ始めて先生に相談をした。 「そうですか……。あなたもそんな年頃になったのですね」  次のレッスンの日、先生はレオタードというものを私に手渡した。 「まだ裸のほうがよいのですが、あなたの成長に合わせてこの衣装を用意しました」  初めは体に密着するレオタードに縛られているような違和感があったが、レッスンを続けていくうちにそれ

      • 【短編】 アウラカチューレ

         私は、牛の背中にまたがっており、目の前には田園風景が広がっている。 「ねえ、アウラカチューレはまだなの?」  声に振り返ると、一人の少女が私の腰にしがみついている。 「あたし、昨日から何も食べていないのだけど」  そういえば子どもの頃、泣いている私にキャンディーをくれた親切な叔母さんがいたなあと思い出して、上着のポケットを探すとそれらしきものがあった。 「なんか古くてベトベトするけど、甘いからまあいいわ」  アウラカチューレとは何かという疑問はあるが、私も空腹だ。  そこで

        • 【短編】 地下鉄とファーストフードと少女

           地下鉄の電車の床には、「ここは地獄だ。言葉さえ通じない」というスプレーの落書き。  車内はゴミのような匂いがするし、生きているか死んでいるか分からない人が横たわっていてたしかに地獄だ。  しかし、言葉は通じるはずだと私は思って一メートル隣に座っていた男にハローと声をかけると、男にいきなり胸ぐらを掴まれた。 「俺はハローという言葉が世界で一番嫌いなんだ!」  私は声をかけたことを後悔した。 「ハローなんて、友達みたいに近寄ってきては相手を騙すだけの言葉だろ?」  今度あんたに

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        ☆短編作品の一覧

        マガジン

        • 子どもの小説
          43本
        • 社会・戦争の小説
          40本
        • 生物の小説
          41本
        • その他の不思議な小説
          69本
        • 男女の小説
          29本

        記事

          【短編】 Aの生徒と、Bの生徒

           この学校では、入学すると二種類の生徒に分けられます。  私はBの生徒で、親友のトモカはAの生徒に分けられましたが、クラスは同じだったのでとりあえず安心しました。  入学した次の日、朝の教室でトモカとお喋りをしていたら、担任教師がやってきてホームルームが始まりました。 「みなさん、おはようございます。えー突然なのですが、入学のときにBに分けられた生徒は、制服を体育用のジャージに着替えて下さい。Aの生徒はそのままで構いません。Bの女子生徒は保健室や更衣室で着替えてOKです。

          【短編】 Aの生徒と、Bの生徒

          【短編】 二千年前の話と、遊園地と、テロリスト

          「この土地は、二千年前までわれわれの土地だったので、あなたたちは出て行く必要があります」  スーツ姿の青年はそう言って、私に書類を差し出す。  ここは、まわりに田んぼしかないような田舎だ。 「国連と、政府の承認によって、この地域一帯はわれわれの土地だと認められたのです」  いやあ、急にそんなこと言われましても。 「だから、この土地は二千年前までわれわれの土地で、そのことは先日、国連や政府にも認められたので、あなたたちにはこの土地に住む権利がないということです」  はあ、私は東

          【短編】 二千年前の話と、遊園地と、テロリスト

          【短編】 人形の国

           人形の国は、城壁に囲まれた都市国家だ。  城壁の入口には槍を持った門番が二人いて、その傍らにいるメガネを掛けた男が、私に質問をする。 「我が国に入国する目的は何ですか?」  はあ、旅の途中に寄っただけで、特に目的なんて。 「ようするに旅の宿を求める目的ですね。まあ、許可しましょう」  あのう、とても失礼な質問かもしれませんが、あなたも人形なのですか? 「ははは、わたしはただの人間ですよ。他の門番もね」  いやあ、人形の国だって聞いていたからみんな人形だとばかり。 「まあ、そ

          【短編】 人形の国

          【短編】 優しい幽霊

           彼女はいつも、ぼんやりしている。  大抵は、近所の海辺をうろうろしているだけで、まるで幽霊みたいだから誰も近寄らない。 「○○には絶対に近寄ったり、話し掛けたりしてはいけないよ! あの女は、油断した子どもを捕まえて食べるからね!」  近所の子どもたちは、皆、親からそう教えられる。  だから、彼女の姿を見ると怖ろしくなって、遊ぶ気も失せてしまい、家に帰って仕方なく学校の宿題をしたりする。 「○○は子どものとき変な男に襲われてね、その、女の春を奪われたんだってさ」  親たち

          【短編】 優しい幽霊

          【短編】 赤ちゃんは危険な

           道路で信号を待っていたら、隣にいた女性が、いきなり赤ん坊を差し出した。 「この子はあなたに預けます。問題が解決したらきっと迎えにいきますから、どうか今はこの子を預かって下さい」  私は、突然のことでいろいろ頭が混乱しているうちに、会社の、貴重な昼休みが終わってしまった。 「その赤ちゃん、君の子?」  会社の上司だ。  私は、状況をかくかくしかじか説明した。 「ふーん、よく分からないけど、わたしのマンションに空き部屋があるから、君と赤ちゃんが一緒に住めばいいよ」  いや、私は

          【短編】 赤ちゃんは危険な

          【短編】 怪物と人間

           怪物は、人間の五倍ぐらいの大きさがある生き物だ。  昔は、農作業や土木工事などでよく使われていたが、今は便利な機械が普及してきたので、怪物の力を使う必要がなくなった。  田舎にある私の実家は昔から農家をやっており、今でも何百年も前から使っている怪物がいた。 「ようケン坊、元気そうだな。東京でイジメられてないか? 土産は買ってきたか?」  私は、東京でさんざんイジメられているけど、たまに田舎へ帰って、怪物と話をしていると少しだけ自分を取り戻せる。  でも土産はいつも忘れて

          【短編】 怪物と人間

          【短編】 コンビニにはもう行かない

           十年ぶりにコンビニに入ったら、出口が分からなくなった。  私は、トイレの用で入ったのだけど、何か買わないと悪いと思ってビスケットを探していたら迷ってしまった。  三十分うろうろしても誰とも出会わないので、どうしたものかと悩んだ末、私は携帯電話でコンビニの電話番号を調べて掛けてみることにした。 「はい、ファイブトゥエルブ○○店です」 「あの、今店内にいる者ですが、何というか、その迷ってしまって……」 「ああ、遭難者の方ですね。本社のほうへお繋ぎしますので……」  意外とあ

          【短編】 コンビニにはもう行かない

          【短編】 民間人と軍人と、英雄

           工場の仕事に採用されてホッしたけど、明日から早朝に起床しなければならない生活が始まるのかと思うと、僕は急に、憂鬱になった。  それで街の道端で寝転んでいたら、突然もの凄い音が鳴り響いて、人々が逃げ惑っている姿が見えた。  遠くを眺めると、巨大な人間のような何かが雄叫びを上げている。  街の中には人間型の巨大ロボットが横たわっていて、操縦席を開けると死んだ人がぽろっと落ちてきた。  機内のコンピューターはまだ起動できたので、僕はロボットの姿勢を立て直し、ロボットが持ってい

          【短編】 民間人と軍人と、英雄

          【短編】 絶対に、言葉を売ってはいけません

           街を歩いていたら、チラシを差し出された。 「あなたの言葉を、一個あたり一万円で買います。例えば、『犬』という言葉を一個売れば、あなたは一万円を手にできるということ!」  今の時代って、こんな商売があるのか?  数カ月後、スーツ姿の女性が私のアパートを訪ねてきて、いきなり私の胸ぐらを掴んだ。 「どんな言葉でもいいのです。今日、誰かの言葉を買取らなければこの仕事を首になってしまいます」  私は暴力的なことに不慣れで、あなたの話を聞きますからとりあえず手を放して下さいと懇願す

          【短編】 絶対に、言葉を売ってはいけません

          【短編】 昼休みの公園で出会う少女は危険

          「ねえ、一緒に遊んでよ!」  昼休みに公園のベンチに座っていたら、小さい女の子がそう話し掛けてくる。  私は腕時計を見て、五分だけならいいよと。 「じゃあ、この木の枝を投げるから、拾ってきてね」  女の子の投げた木の枝は、ベンチから五メートルぐらい先へ飛んでいった。  私は、首をかしげながら小走りで木の枝を拾い、すたすたと戻って女の子に木の枝を差し出す。 「よくできましたね!」  そう言うと女の子は、小さな手で私の頭をなでた。  次の日の昼休み。 「今日はね、投げた木の枝

          【短編】 昼休みの公園で出会う少女は危険

          【短編】 教師失格!

           アパートの郵便ポストを開けたら真っ黒な封筒が入っていて、開封すると中から真っ赤な紙が出てきた。 「あなたは教師失格です。地図に記した場所へ○月○日に来て下さい」。  私は教師なんてやったことないし、きっと何かの詐欺だなと思いながら、私は手紙を小さく折り畳んでゴミ箱へ捨てた……。  数年後、アパートのドアを激しくノックする音が聞こえた。 「あなたは教師失格です!」  恐る恐るドアを開けると、全身黒服の人が立っていて真っ赤な紙を私に差し出す。 「たくさんの生徒があなたの助け

          【短編】 教師失格!

          【短編】 名前のない人々

          「民間人でも学生でも構いません。現在、戦闘機のパイロットが不足しています。志願者の受付は……」  そんなアナウンスが流れ、巨大なビルに避難していた人々は不安の表情を浮かべる。  でも俺は、戦闘機に乗れるかもしれないというワクワクを止められず、避難している人々をかき分け、ビルの中にある受付の場所へ向かった。 「あなたが搭乗するのは、FF26AI7・タイプC・バージョン8という最新鋭機です。タイプCのバージョン8は全てAIが操作しますから、搭乗者はただ乗っているだけでよい仕様

          【短編】 名前のない人々