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イメージ化の技法①【メリット編】

何回かに分けて「イメージ化」について書こうと思う。

記憶術を使うようになって、日常的に意識しているイメージ化。イメージも「思考」の一つなので、他人のイメージ化をみることはできない

イメージ化というのは役立つ技術であり、ぜひ身につけたい能力であるけど、しかし他人のイメージ化をみることができないので、観察によって身につけることができない。

そんな現状に投げかける石として、できる限りの言語化をしようと思った。全部で何回になるかもわからないし、とびとびの更新になると思うが付き合ってほしい。

今回は「イメージ化のメリット」について。

イメージ化って何?

一応イメージ化を定義しておこうと思う。

対象からイメージを膨らませる(想像する)ことだ。

例としては、小説。文章を読んでいて、そこに見えるはずのない情景を思い浮かべる。

暮れる夕日、よくある河川敷、野球少年たちの声、眼前に立つ幼馴染の震える手、紡がれる言葉……、汗ばむ自分の掌。

僕らはこれをただの文章、言語情報として受け取るのではなく、一つの視覚的表現として想像することが多い。これがイメージ化だ。

基本的にイメージは視覚表現を意味する。imageだ。

文章だけでなく、音楽や会話などからイメージ化が行われることも多い。

そんなイメージ化をもう少しかっちり定義しておくと、僕は次のように考えている。

イメージ化は、対象に属性を足して想像すること

上に列挙した言葉には、「日の色」「河川敷の大きさ」「幼馴染の慎重」「顔」「性別」などは書いていない。しかしイメージ化によって生まれた像には、文章の状態ではなかった属性が付加されているだろう。

これがイメージ化だと、僕は思っている。

イメージ化のメリット① 記憶しやすくなる

今回はイメージ化のメリットを3つ考えてきた。

■メリット① 記憶しやすくなる
■メリット② 理解しやすくなる
■メリット③ 連想しやすくなる

まずは1つ目、「記憶しやすくなる」から。

冒頭でちらっと言ったとおり、記憶術にはイメージ化を伴うものが多い。
これは「精緻化」と呼ばれるプロセスでもある。

少し理論を引っ張ってくると「処理水準仮説」だ。
ざっくり言うと、人は深い処理をした記憶ほど覚えやすいのである。

イメージ化は深い処理でもあるので、記憶を促してくれる。そもそもイメージ化しようとするプロセスがいいのである。

また、イメージ化したものにはさまざまな属性が付加されており、それが他の記憶とのネットワークを強化してくれる。基本的にいろいろな記憶に根を張っている方が再生の数も多くなり、覚えやすい。

イメージ化のメリット② 理解しやすくなる

つづいて、イメージ化することで理解もしやすくなる。
イメージ化は一種の具体化だ。

人間は抽象的なことよりも具体的なことのほうが理解しやすい。身近な例に例えるなどすれば、理解を促進できる。

そしてイメージ化が理解を促進するのはある意味当たり前のことだ。なぜならイメージ化は「自分の理解できる範囲・既存知識の範囲」で行うからである。

イメージ化は、対象を自分の記憶へと紐付けようとするプロセスでもあるのだ

イメージ化のメリット③ 連想しやすくなる

3つ目のメリットして連想を挙げる。
これはメリット①のネットワークによる記憶増強ともつながることだが、ここではより「アイデア発想」に焦点を当てる。

イメージ化によって属性が増える。属性が増えると、本来は出会うはずのなかった情報・知識同士がめぐりあう。

基本的にアイデア発想は既存のアイデアの組み合わせであり、人には思いつかないアイデアの方が独自性もある。モノになるかは別の話だが、まずは「量」が大事だ。連想は「量」を増大させてくれる。

何かアイデアを出さなければならない時は、「イメージ化」をふんだんに使ってほしい。

イメージ化の視点を得る

今回はイメージ化のメリット紹介のみで、具体的な技法については紹介しなかった。が、ほとんどの人がイメージ化を体験してきているし、意図的に行うことが可能だと思う。

今後はイメージ化をより豊かなものにする「視点」を提供していきたい。逆に提供もしてもらいたい。

イメージ化で能力を伸ばそう。



学習のアーティストを目指してます。学習ノウハウの体系化・学習体験のコンテンツ化を通して、学習者のレベルアップを手伝います。現状、お金よりも応援がほしい。