見出し画像

【能力開発note】これからの基礎となる3つの能力を理解しよう【観察・思考・行動-基礎編】

――能力をどのように鍛えていきたいと思っていますか?

このnoteは「自分の可能性は信じている。でも何をすればいいかはわからない」という人に、成長の指針を与えるためのnoteです。

『LIFE SHIFT(原著:The 100-Year Life)』でリンダ・グラットンは寿命100年時代を提唱しました。変化の激しいこの世界で100年も生き続けるのだとすると、「生涯学習」の重要性が高まってきます。

100年の中で僕らが修める能力は次々と移り変わっていくのです。

しかしながら。

スキルをシフトする度に能力がリセットされていてはたまりませんよね。能力開発面でのコスパが悪すぎます。

ゲームで職業を変える時、レベルが1に下がってしまう。
苦労して上げたステータスが初期値に戻る。

でも安心してください。
実際には能力というのは引き継がれます。

類似領域ならもちろんですが、まったく違う領域においても引き継がれる能力というのがあります。

これは放っておいても鍛えられる能力ではありますが、意識したほうがより効率よく鍛えられますし引き継げます。筋トレとかでも、どこの筋肉を鍛えているのか意識したほうがいいって言いますよね。

今回のnoteはこの基礎能力についての話です。
基礎能力を上げることは無駄になりません。どの領域でも(程度の差はあれ)引き継げるからです。
その基礎能力の上に、新たなスキルや専門能力を積み上げていくことでレベルの大部分を繋いでいくのです。

「能力開発のコスパ、上げてこうぜ!」

そういうことです。

僕らがいま生きているのは、職業すら変わっていく世界。人一人の人生はかつてなく長くなり、今日の常識は明日の非常識かもしれません。

だからこそ。

自分の能力を識りましょう。人間の能力を識りましょう。

まずはすべての基礎となる3つの能力からです。

***
このnoteは有料となっていますが、前半部分は無料で読めます。
筆者の情報はプロフィール、または運営サイト「LearnTern(ランタン)」の方を御覧ください。
***

1. 観察・思考・行動

僕はすべての基礎となる力が存在していると思っています。
その根拠は単純です。

僕らがこの世界と関わる上で絶対に存在するプロセスがあるからです。
そのプロセスはすべてのスキルに関わってきます。当然、仕事や学習とも密接に関わっています。

3つのプロセスです。
何でしょうか?


いやまあタイトルにも見出しにも書いてあるわけなんですが、それは、

――観察。
――思考。
――行動。

この3つです。

僕らは何かを観察することで、環境から情報を取得します。
僕らは思考することで、新たな情報をつくり出します。
僕らは行動することで、環境に影響を与えます。

わかりやすい言葉に置き換えると観察はインプット、思考はエディット、行動はアウトプットです。
「エディットって何?」という人は以前のnoteに書いたのでそちらを参考にどうぞ。

ここでも簡単に言っておくと、エディットはインプットとアウトプットの間にあるプロセス。得た情報をアウトプットのために別情報に加工するプロセスです。

ここまででわかると思いますが、この3つのプロセスは、繋がっています。そしてサイクルになっています。

イメージしてください。

………………

貴方は商談のため河を渡らなければなりません。

しかし橋は大きな岩で塞がっていました(観察)。
少し視線を横にやると、河を渡る舟のサービスがあります(観察)。

貴方は早く向こうに渡りたいと考えます(思考)。
しかし商談のことを考えると、泳いでいくのは好ましくありません(思考)。
だから舟のサービスを使うことに決めます(思考)。

舟サービス担当者に近づき、値段を尋ねます(行動)。

貴方は舟サービスの価格を知りますが、しかしお金が足りません(観察)。
周りを見回すと、同じようにお金が足りない人が多いようです(観察)。
ふと現在渡っている舟を見ると何人かが同時に乗っています(観察)。

舟の価格は一人当たりではなく、舟当たりかもしれないと思いつきます(思考)。
だから担当者に尋ねました(行動)。
予想は合っていたようです(観察)。

………………

何やらよくわからない例を出しました。
でも観察・思考・行動のサイクルを見るのには十分です。

観察によって得た情報をもとに思考で新たな情報をつくり出し、その情報をもとに行動を起こして新たな情報を手に入れます。

基本的に、人間の生き方というのはこの繰り返しなのです。
実際にはもっともっと複雑で、感情なんかも関わってきてすごいことになりますが、思いっきり抽象化したらこうなるのです。

***
能力開発のポイントですが、「抽象化」「シンプル化」は重要になってきます。
「転移」のためです。あとで詳しく話します。
***

すべてのプロセスに観察・思考・行動が含まれていることについては理解いただけたでしょうか?

ここで基礎となる能力の話に戻ってきます。

これらのプロセスに関わる能力をそれぞれ、

――観察力。
――思考力。
――行動力。

と定義します。
これがこのnoteで追いかけていく3つの基礎能力です。

2. 当たり前? ちょっと待って、基礎ってだいたい当たり前のこと

「ふん、まあそうだよね」
「当たり前じゃない?」
「そんな当然のことを知って、能力開発のコスパ上がんの?」

ちょっと待ってください。言わせてください。

――“基礎”って、だいたい当たり前のことですよ?

そういうもんです。基礎は当然で何の面白みもないようなこと。

でも僕らは案外、基礎のことをよく理解していません。基礎をないがしろにして生きています。

観察・思考・行動のサイクルについて考えたことがありますか?
この3つの基礎能力が、あらゆるスキルにおいて応用がきく基礎であることを認識したことがありますか?

言われたら当たり前、なんてことはいっぱいあります。
でも言われるまで考えたことなんてなかったりするでしょう?

ああ、僕もよくありますね。
「そんなん当たり前ちゃう? 意味ある?」

そんな思考が浮かんできたら危険信号だと思っています。
自分の世界の外にあったこと、もしくは世界の中で埋もれていたことがその声を聴かせてくれているのに、無視しようとしているのです。
“能力開発的に言うと”ひどくもったいない。エジソン並の好奇心を持っていないからこそ、その危険信号を僕は大事にしています。

というわけで、つづけて話を聴いてくれると嬉しいです(――有料ですが)。

3.「転移」を目指して

もう一回だけ、能力開発のコスパ的な話をしましょう。
最後、観察・思考・行動に戻ってきます。

「転移(transfer)」というものがあります。

主に認知心理学、教育心理学などの分野で使われる言葉です。

例えば、スペイン語を学習した人がポルトガル語を学びやすくなったりすることがあります。
これはスペイン語の学習時に使っていたテクニックやスペイン語の知識構造を、ポルトガル語の学習時にも応用できるからです。

学習だけでなく、問題解決時にも「転移」は起こります。
バイトで小学生相手に教えていた経験のある人が、商品説明を非常にわかりやすくできるなどはそれです。

端的に言えば、経験を活かすということですね。

「転移」には「近い転移」と「遠い転移」があります。
スペイン語学習にとってポルトガル語学習は比較的近い転移先ですが、プログラミング学習は遠い転移先となるでしょう。

近い転移については多数の報告がありますが、遠い転移は基本的に難しいとされています。

例えば将棋の棋士(余談ですが、認知心理学は将棋やチェスのプレイヤーをよく実験に使います)。
棋譜を空で並べられるほどの記憶。常人には計り知れない記憶力です。

しかしその圧倒的な記憶力が発揮されるのは将棋(それに類似したチェスなど)のみです。
平均よりは高いかもしれませんが、他の記憶課題についてはそこまで飛び抜けた成績を残したわけではありませんでした。

こんなところで「転移」についてのイメージは固まってきたでしょうか?

――能力開発のコスパを上げる基本戦略は「転移」です。

「転移」を狙うことです。

「転移」には「類推」というプロセスが深く関わってきます。
が、類推の話をここですると長くなるので割愛です。興味あったらメッセージください。

いろいろ端折って言うと、大切なのは「構造」です。

「この構造、あれと似てんな―」となったら転移目前、その転移が良いものとは限りませんが、脳内では転移システムが起動し、プロセスが着々と進んでいきます。

で、「構造」をストックしたり発見するためには?

――「抽象化」と「シンプル化」です。さっき言いましたね。覚えてました?

だからですよ。
僕はいったん抽象化してみたわけです。

つまり、「人間と世界の関与」ひいては「人間のパフォーマンス・プロセス」を、です。

では、お待ちかね(してくれていると嬉しい)。

――観察力と、――思考力と、――行動力。

それぞれについて見ていきましょうか。

<ここからの内容>
■ 観察力とは?
→能動的な観察と受動的な観察
→速読の二段階
■ 思考力とは?
→「問い」の数と量
→思考が深い人と浅い人の差
■行動力とは?
→実行力と遂行力
→行動の監視と制御
■3つの力+αの〇〇力と〇〇○力
■【鍛錬編】について
■ メタ認知について

ここから先は

6,972字

¥ 250

学習のアーティストを目指してます。学習ノウハウの体系化・学習体験のコンテンツ化を通して、学習者のレベルアップを手伝います。現状、お金よりも応援がほしい。