見出し画像

定量化訓練のすすめ【数字と親しむ】

今日は「定量化訓練」の話をする。
ビジネスパーソンや職人系の人、もちろんそれ以外の人にも役立つ能力の話なのでぜひ。

『畑村式「わかる」技術』(畑村洋太郎)を読んだ。非常に良い本だったので、今後自分の中で内容を深めてからアウトプットしていこうと思う。

しかし中でも「定量化訓練」の話をすぐアウトプットしておきたいと考えたので、noteを書く。

定量化訓練とは

「本当にいい設計ができるようになるためには、ものを見た瞬間に量的なものがわかるようにならないとダメだ」
(『畑村式「わかる」技術』)
こうした話を会社の経営に携わる人にすると、「それは別に設計者だけに必要な話ではなく、われわれにも必要な話ですね」
(『畑村式「わかる」技術』)

定量化訓練を端的にいうと、「数を把握する能力」を高める訓練のことだ。

設計者などは量的な把握能力の高さを要求される。経営者も対象は違えど、数に対して敏感であるべきだ。

最近では数的な能力を持つべき人の範囲も増えてきていると思う。個人でビジネスをやっている人もやはりその能力を高めるべきだろう。

このnoteでは二つの種類の能力について書いていく。

ものさし、基準を持つ

一つは、物差しや基準を持つことで、パッと目の前の数を把握する力だ。

畑村さんは、愛用の薬の一回で飲む個数が20粒であったことから、20程度の数をすぐに判断できるらしい。

僕はマクドナルドでの勤務経験から5をすぐに把握できるようになった。ナゲットの数だ。油につけるときに個数をすぐに把握できたほうが都合が良かったのだ。

大好きなファンタジー小説『ドラゴンラージャ』のある場面で、仲間がパッと敵の数を数えているのを不思議に思った主人公に、その仲間は5人ずつ数えるのがコツだと答えていた。

僕もそんな感じで、5がいくつあるかで数を数えることが多い。

例えば、今、僕の部屋に散らばっている本の数が16冊であることを把握するのに2秒もかからない(片付けろ)。

このように数を瞬時に認識する力は役に立つ。

あとは自分の身体を「ものさし」にしたり、何らかの「基準」を持つのもありだ。

「基準」というのは例えば温度。
水が沸騰するのは100度、凍るのは0度。
さらにその中間として、お風呂の温度はだいたい40度くらい。
そのあたりを使いつつ、温度を大体把握できるようにする。

あくまで一例だが、このように「ものさし」や「基準」を持っておくことで、計測器なしでも大体の量的情報を取得することができるようになる。

この能力を手に入れるためにできるのは、日常の中で数を意識することだ。

一旦意識し出せば分かると思うが、この世界にはアホみたいな量の「数」が溢れている。訓練材料はすぐそこにあるのだ。

必要な数をつくり出す力

畑村さんが新人社会人だった頃、他社の社長と話す機会があった。その時、社長に聞かれたのが「この部屋に来るまでにのぼった階段の数」だ。

ワンフロアの高さ、階段一段分の高さを思い返し、そこからある程度正確な数を導き出して「合格」となった。

「わかりません」や「でたらめな数字」「後で調べます」は不合格らしい。

数字をその場で提示できなければ仕事は止まってしまうからだ。

これはいわゆる「フェルミ推定」と近い話だ。
フェルミ推定はいくつかの手がかりから、実際に計測するのが難しい数字を概算する技術だ。よくコンサルの試験に出される。
「日本の電柱の数は?」とかが有名だ。

僕も訓練したことがあるが、どちらかというと思考訓練のためのもので、実際のビジネスで使うものなのかと思っていた。
ビジネスで使うのならきちんと調べるべきで、そして調べられるものなのでは?と思っていたのだ。

だが、厳密に正確な数字が必要な時とそうでない時がある。調査だって、できることできないことがある。

その時に必要なレベルの数字をその場で出せるのなら、すぐに話は進んでいく。現代に求められる「スピード感」というやつだ。

そう考えるとフェルミ推定は大事だ。

そしてフェルミ推定には当然論理的思考が大事なわけだが、そもそも操作する数を持っておかないと難易度は上がってくる。予め数字を持っていれば、間の思考をショートカットできるからだ。

というわけで「必要な数字をつくり出す技術」はフェルミ推定能力に加えて、日頃から数字に敏感になっておくことで鍛えられるということになる。

日頃から数に敏感になろう

二つの能力を紹介したわけだが、どちらも日常的に数に敏感であることが求められる。

いきなり難しいことはしなくていい。

例えば、階段を上る時、パッと見で段数を予測して上りながら数えたりなどだ。

僕も比較的、数には鈍感な男だ。
たまたま5を瞬時に把握する能力は身につけているが。

今後はいろいろな数に対してもっと敏感になろうと思う。


学習のアーティストを目指してます。学習ノウハウの体系化・学習体験のコンテンツ化を通して、学習者のレベルアップを手伝います。現状、お金よりも応援がほしい。