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香りを分析【旅の匂い】

皆さまこんにちは。
【書くンジャーズ】水曜担当のAKIです。

今週のテーマは【旅の匂い】

旅行といえばもっぱら温泉の私にとって「旅の匂い」といえば温泉臭しかないだろう。

代表的な温泉臭といえば「卵が腐ったよう」とか「硫黄のような」と表現される匂い。移動中にこの匂いがだんだん強くなってくると「温泉が近づいて来たな~」と気分があがってくる。

この独特な硫黄臭の元は硫黄泉に含まれる硫化水素だ。H2Sという分子式の硫黄と水素の化合物である。水に溶けやすい性質の気体で、水に溶けると硫黄と水素イオンに分解されていく。
ただし、溶けた硫化水素全部が全部、分解されるわけではない。水が酸性の場合、すでに水素が過剰にあるため硫化水素の分解は進まず、硫化水素の形で水中に存在する分子が多くなる。逆に水がアルカリ性の場合は水素イオンが必要になるため、どんどん分解され水中の硫化水素率は少なくなる。

また硫化水素は温度によって溶ける量が決まっている。ウィキペディアによると溶解度(水に溶ける限界量)は40℃で0.25g /100 cm3 となっている。
溶かす物質が固体の場合は温度が高いほど溶ける量が多くなるが、気体の場合は逆に温度が高くなるほど溶ける量は減っていく。
温度が高い=分子の動きが激しい。例えるなら勢いよく泳いでいる魚の方が水面から飛び出しやすいといったところか。
この飛び出してきた硫化水素を我々は匂いとして感じる。
つまり、酸性で温度が高い温泉ほど「硫黄の匂い」の強い温泉になる、という仕組みだ。


ぜひ温泉に行ったときには、この記事を思い出して表示をチェックしてほしい。
「硫黄なのになんで臭わないんだろ?(偽物?) でもアルカリ性だから、肌にはよさそうだね」といったふんわりした解釈から、
「この温泉は硫黄泉だけどアルカリ性だからあまり臭わないんだね」
と納得できるようになると、また別の角度で温泉を楽しむことができるようになる。

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