ファッションディレクターという職業

最近のファッションブランドは、いわゆる、MDブランドといわれているディレクター不在のブランドと、ディレクターブランドといわれる、ディレクションをするディレクターブランドの2つのブランドに分かれているということを、ファッション業界に入って初めて知った。

MDブランドは、MDとデザイナーが作り上げていくブランドで、MDのスキルやマーケティング力によって、ブランドが左右される。

一方、ディレクターブランドは、ディレクターという肩書きで立つ人が、本来MDがやるべき仕事、ブランドの方向性や、マーケティング、リサーチ、ブランドの骨となる部分を作り上げ、さらには、PRもやっていく、つまり、マルチタレントじゃないとできない業務を一任されている。

さらに、予算などの管理もできるスーパーマルチタレントがプロデューサーという肩書きになるらしい。

でも、そもそも20代そこそこのファッション大好き!っ言っていて、自分が着ることが好き!(つまりデザインじゃなくて可愛いといわれる自分が好き)で、あんまり社会で働いた経験のない、人脈や経験も少ない女の子に、ブランドの方向性、ディレクション、PR、マーケティングまでできるわけがなく(ごくまれに才能のある人は覚えていきながらどんどん能力を伸ばしていく人もいる)、なんとな~く、ディレクターとしてそこにいてしまう人が多いんじゃないか。

世間一般的に、アパレル業界の収入は低いといわれていて、1日中立ち仕事なのに、販売員や営業はノルマが課せられたり、夜な夜なデザインを書いて型数をこなさないといけないデザイナーは、低い給料で雇われているのに大して、ディレクターといわれる肩書きの人は、マルチを求められているから、高給取りが多い。それでも、その人がブログやSNSを使ってPRすることによって、売れればいい。倍になって、いや3倍、4倍になって戻ってくればいい。でも、そんなにうまくはいかない。高額を支払うアパレル側は、ディレクターとしてのさまざまな業務を求め、ディレクター側はそのうちPRとしての立ち居地だけを確保したがるようになって、お互いが、お互いの業界を「わかっていない」といってけなしあう羽目になる。

2014年のSSだけで、約40弱のブランドが立ち上がっている中で、来年、その中の何個のブランドが生き残っているのか・・。

ディレクターブランドがディレクター不在になって、MDブランドになるのには大きな勇気がいるし、おそらく、MDブランドになって最初の数ヶ月は売れなくなる時期を覚悟する必要がある。

でも、もしかしたら、本来のブランドの健全な形は、MDブランドに対して、広告価値のある人や、PR戦略として著名人をCM契約する、という形がお互いに、その業界のスペシャリストが、お互いの業界を貶しあわずに、ストレスなくやっていけるのではないか、と思う。

ファッションディレクターという職業はない!といっているのではなく、ファッションディレクターは、簡単になれる職業ではなく、やっぱり、ある種の天才といわれるようなマルチで動ける人材じゃないと難しいのではないか・・と思う。その人材になりえる卵を探すのも、大変だし、ブランドにとって1つの大きな賭けなのかもしれない・・。



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